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目つきが悪い俺のアイドル力が高かった件!

よろしくお願いします。

 心地よい朝日を浴びながら俺は胸を張り、足早に高校に向かっていた。


 いつもだったら周りの視線を気にして陰鬱な気分の中、重い足取りで登校するのだが今日だけは違った。


 一通の封筒を手に持ち、学校の門をくぐり抜け1年A組の教室の扉を開けて、いつも教室の隅で固まって居る奴らに向かって宣言した。


 「この封筒が目に入らないか。頭が高い。控えおろう。」


 水戸黄門様のように掲げてみた。


 「いや、目に封筒入れたら痛いから。」

 「いやいやいや、そう言うツッコミはいらんからな。」

 「それだけ自信たっぷりだと言う事は一次審査の写真選考、受かったのか?」

 「フフフ、刮目するがよい。」

 「なになに、目黒 力様、書類選考を通過致しました。指定の期日に面接を行いますのでお越しください。お待ちいたしております。」


 4人は覗き込む様に一枚の用紙を見つめた後、口々に勝手な事を言い出した。


 「詐欺だな。警察に捕まるぞ。逃げるなら今のうちだな。」

 「写真加工も甚だしい。」

 「化粧だとか言っているが、どう見ても特殊メイクだろ。」

 「本当、VFXだよね。」


 「「「「だいたい、こんな目つきの悪い奴にアイドルが務まる訳が無い。」」」」


 「4人声を揃えて叫ぶんじゃねえ!」


 練習してたのかよ。


 ひでぇじゃん。


 とは言え。


 まあ、自分でもその言葉、納得出来ちゃうんだけどね。


 何でこんな事に為ったんだか?

 自分でアイドルをやる気なんか、さらさら無いのに。


 何でこうなった⁉


 確かあれは・・・・・・。


 最初しのぶが言い出したんだ。神田 忍が。


 いつものように後ろの席で五人そろって、お昼ご飯を食べ終わってまったりとした時間を過ごしている時。タブレット端末で来月のアイドルオーディションのページを開いていた神田 忍が声を上げた。


 「誰かこのオーディション受けて見ない。」


 「あほか!これ女子アイドルのオーディションだろが!」

 「いやあ、このオーディションの審査員に歌姫ちゃんの名前が有るんだよ。生、歌姫ちゃん見たくねえ?」


 「「「見てぇーーー‼」」」


 「歌姫ちゃん、コンサートもライブもやってくれないから、生で見る機会が無いんだよなあ。」

 「一応ミュージックビデオとかの作られた映像では見れるんだけどねえ。」

 「テレビのミュージック番組、生放送でも彼女だけは録画だもんな。」

 「生良いよね。ファンとしては押さえておきたいよね。」

 「と言っても女子アイドルのオーディションじゃあ、流石に無理だよなあ。」

 「しのぶなら、化粧次第で行けんじゃねぇ。」

 「顔と背丈は行けても声がなあ」

 「そうなんだよな、意外と声低いからな。お前。」

 「むしろちからの方が向いてるよな、声だけなら。」

 「声だけならな。後は全部アウトだけどな。」

 「アウト言うな‼」

 「ちからが女性アイドル、ぷっ、笑える。」

 「ぎゃははは、いい、いいよ。是非女装してくれ。」

 「げっ、何言ってんだ。ちからの女装なんか見たくねえぜ。」

 「色ものとしては面白いかもな。」

 「えっ、そう?結構いけそうに思えるけど。」

 「しのぶは力がどんな格好してても誉めるからな。」

 「本当、力の事好き過ぎだろう。隠さないのがしのぶらしいけどな。」

 「そんなんじゃないよ。本当にそう思ってるんだよ。多分、凄い美人に成れるはず。多分?」

 「はいはい。」

 「女装は無理でも男性アイドルぐらいなら化けられるぜ。」

 「おっ、ちからも言うねえ。」

 「成って貰おうじゃ無いか。是非とも。」

 「いいよ。しのぶ化粧品持ってるだろ。貸してくれ。」

 「アイドルおたくに化粧品は必需品ですよ。はい。」

 「サンキュウ、借りるよ。」


 ちょいちょいと化粧する事3分ぐらい。


 出来上がりを見た4人が驚愕を表すのは、少しの空白の間が有ってからだった。

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 少し離れた席に居る、4人で向かい合って喋っている女子たち。3人は話に夢中だが、1人だけ、オタク5人組の会話に耳を傾けて居て、女子3人の話を聞いていない。


 「ミイも行くでしょ。もう、聞いてた?」

 「聞いてない。」

 「相変わらずなんだから。そんなんでよく委員長が務まるわよね?いつも不思議なのよ。」

 「本当にね。」

 「委員長の時は委員長モード。友達といる時は素の自分。」

 「あっそう。」

 「で、行くでしょう?」

 「聞いて無かった。」

 「ハイハイ。それはもういいから。今度の休み4人で遊びに行かない? って、聞いたのよ。」

 「どこに行くかによって、行くか行かないか決める。」

 「どこなら行くの?」

 「・・・。食べ物屋さん?」

 「あんた、本当色気より食い気よね。」

 「そんな事は無い。ちからくんの家なら今からでも行く。」

 「はいはい、あんたもぶれないわね。聞き飽きたわ。」

 「そんなに好きなら告白すればいいじゃない。」


 「こ、こ、こ、告白、そ、そ、そ、そんな事して、も、もし旨くいったら、あ、あんな事やこんな事をして。きゃ、キャーキャーキャーッ・・・。」


 「はいはい、落ち着いて、どう、どう、どう。」

 「私は馬か。」

 「本当にいい加減告白すればいいのにね。」

 「本当、本当。どうせ目黒に好きな人なんか居ないだろうし早い者勝ちでしょう。」

 「目黒なんかにミイをやるのは勿体ないけどね。」

 「ホントだよね、なんであんなのが良いんだか、謎だ。」

 「不良だし、オタクだし、目つき悪いし、付き合ってる友達があれだし。」

 「ヤバい、良いところが一つも浮かばない。」

 「まあ、親が金持ちらしいわよ。」

 「それは一考の価値があるわね。」

 「それは大事な事だわ。生まれが勝ち組なのは大事よ。」

 「流石ミイ、先を見据えてるわね。」

 「そんなんじゃないわ。ちからくんは凄い人なの。」

 「いつもそう言ってるけど、何がどう凄いのか具体的に説明してくれないわよね。なんで?」


 言える訳ないわよ。何度も助けられてるし、結構非合法な事も係わって来るし。それにちから君のカッコイイ所なんて教えたらライバルになるかも知れない。敵は断固せん滅する。それには先ず敵を作らないに限る!


 なんて事を考えて居る内に、3人組は別の事を話題にし始めました。ちから君の事なんか本当に興味がないのですね。


 良い事です。


 ほっと胸をなで下ろして居ると、ちから君が化粧道具を持ち何かしています。


 どうやらしのぶ君の顔に化粧をしているようです。


 『ぶぅ。』


 思わず飲んでいたお茶を吹き出しそうになりました。


 しのぶ君の顔が無茶苦茶美少女になってます。


 いえ、元から美少女顔でしたが今は絶世の美少女って感じです。男の子なのに、アイドルなんて目じゃないです。やばいです。鳥肌ものです。


 ちから君以外のオタクたち三人が顔を真っ赤にして見入ってしまっています。


 そりゃあそうよねこれだけ美少女なら写真集出せる程です。


 なんて思っていて何気にちから君の顔を見て。


 『ぶっ。』


 またまたお茶を吹き出しそうになりました。


 ちから君の目がアイドルの様にパッチリしています。

 きつめだった目じりが少し下げてあり優しそうでいて、でも隠し切れないりりしさを醸し出しています。


 やばいです。鳥肌が立っています。きつめの目が彼の素敵なところだと思っていましたが、これはこれで素敵です。


 惚れなおしました。


 おへその下あたりがきゅっとなります。


 お持ち帰りしたくなります。


 はっ、そんなこと思っている場合じゃないです。

 周りの女子にばれたら・・・。ライバルが増える・・・。


 私はカバン代わりのスポーツバッグから、今日の体育で汗を拭くのに使ったチョット大き目のタオルを出して、一緒にウエットティッシュも持って、オタク五人組の所に駆け寄ります。

 

 先ず素早くタオルをちから君の頭に被せ、皆の目から隠します。おもむろにウエットティッシュを引き出し、丁寧にちから君の目元を拭い化粧を落とします。証拠隠滅完了。


 おもむろにしのぶ君の方を向き宣言します。


 「ちから君としのぶ君は教室内で化粧禁止です。オタクたち3人が教室で発情期を迎えたら臭そうです。絶対禁止!」


 しのぶ君にウエットティッシュを渡して顔を拭くように言います。


 しのぶ君の顔に見惚れていて顔を赤くしていたオタクたち3人が、別の意味で怒りに顔を赤くして食って掛かります。


 「ぶーっ、委員長おーぼうだぞ!強権発動禁止‼」

 「我らに教室内の自由よこせ!」

 「そうだ、そうだ!」

 「女の子は化粧してても止めないのに、しのぶが化粧をするのを止めるのは男女平等の精神に反するぞ。」

 「断固撤回を求める。」

 「我らにしのぶの美少女顔を愛でる権利を!」

 「権利を‼」

 

 「却下!あなたたちオタク3人がホモの、おホモだち関係に成るのを見逃せません!」


 「お、おホモだち関係なんかに、な、成る訳無いだろう!」


 私は机の上に置いてあった、多分ちから君が自分の顔に化粧をした時に使った鏡を持ち。


 「では、3人もう一度しのぶ君の顔を見て。」


 「なんでだよ?」

 「見たからって何が有るんだ。」

 「おーぼう。」


 3人のオタクはしのぶ君の美少女顔を直視、途端に顔を真っ赤にして見惚れて。アホ面をさらします。

 私は鏡で3人のオタクの今の顔を見せつけます。


 そこには、馬鹿が鼻の下を伸ばし、発情した馬鹿面が映っています。


 流石にヤバイと思ったのか無言に成る馬鹿3人。


 男に惚れた一瞬後って感じですもんね、まじヤバいです。


 「納得してもらえたと思います。絶対禁止で!」


 ちから君の方を向いて力強く宣言します。


 「ちから君もです。化粧絶対禁止!」


 我関せずのマイペースなちから君は私が頭に被せたスポーツタオルを鼻の処へ持って行ってクンクンしています。


 「なんかこのタオル凄くいい匂いがする。」

 とか言っています。


 はうっ、それ、今日の体育で私の汗を拭いた、私の匂いがタップリしみ込んだタオル!


 それをいい匂いだなんて、きゃーっ、ヤバいです。今度は私が発情しそうです。アホ面をさらしそうです。


 素早くちから君に被せたタオルを奪い取り、胸に抱きしめて自分の席に駆け戻ります。


 にへら、にへらしてしまいます。

 ポーカーフェイスも有ったものじゃ無いです。


 自分の席でほけ顔をさらして居ると心配した友達が大丈夫?

 今度のお休み出かけるの止めようか、とか要らぬ心配をしてくれていますが、ほけ顔が戻るには暫く掛かりました。


 今日は良い日です。


 ~~~~~~~~~~~~~~~

 

 委員長が席に戻った後。


 オタク3人は学校では禁止されたけど、学校の外でならOKだよな。


 とか、しのぶの写真撮ってオーディションに応募してみたくねえ。


 とか、ついでにちからのアイドル顔の写真も撮って応募しょうぜ。とか、不穏な展開になっていたのを委員長が知るのは、ちからのデビューが決まってからの事でした。


 知っていれば全力で阻止していたでしょう。


 アイドルなんかなる気は無くて俺は断固拒否していたのだがそこは俺の扱いに慣れているこいつらは上手く挑発をしてきていつの間にか応募することになっていた。


 絶対無理だとか言われるとそんな事は無い!ってなるよね。


 いつもこの調子で無茶ぶりをされる。


 いや、分かってて乗せられる俺が悪いんだけど。

 

 今回の事は高くつきそうだ。


どうもありがとうございました。

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