2話
真ん中に大きなテーブルと椅子。その奥にキッチン、キッキンの隣には2階へと続く階段があった。
「おじゃまします」
玄関でスニーカーを脱ぎ、叶夜に促されるままリビングへ行く。家の中は、ふわりと木の匂いがした。
「あ、お客さんだ!」
ベージュのくせっ毛を揺らしながら、1人の少年が僕に近づいてくる。
「初めまして。陽斗です」
陽斗は元気良く頭を下げた。
「どうも」
連られて頭を下げると、彼は僕の方に手を回した。
「仲良くしよーね」
陽斗から無邪気な笑顔を向けられ、僕は戸惑った。
「陽斗、初対面の人との距離近すぎ。困ってるじゃん」
そう言い僕から陽斗の手を離したのは、陽斗と同じ髪色をした少女だった。彼女は、首元まで伸びた髪の左側をそっと耳に掛けた。
「うちの弟がごめんなさい。姉の月凪です」
月凪は優しい笑顔をこちらに向ける。陽斗と月凪はどちらも目元が垂れており、笑った顔は瓜二つだった。
「ちょっと叶夜」
キッキンの方から、体格の良い男性が近づいてくる。
「帰って来るのが遅いんじゃない? しかもお友達も一緒じゃない。連れて来るのはいいけど、その子の親御さんには連絡したの?」
彼は低い落ち着いた声に、女性らしい柔らかな話し方をしていた。
「ヒロさん違うよ。家の前にいて、困ってるみたいだったから声掛けたの」
叶夜は、僕を見ながら説明した。
「そうだったのね。私は海光。みんなからはヒロさんって呼ばれてるわ」
ヒロさんは黄色と黒が複雑に混ざった髪色をしていて、その長い髪を1つに束ねている。切れ長の凛とした目が特徴的だった。






