藍色街の噂話
僕の住む藍色街には、色々な噂話がある。例えば、僕の通っている北山中学校の旧校舎には存在しない四階があって、その先は死後の世界へと繋がっているとか。自殺した生徒が悪霊になって住みついているとか。今紹介した2つはどちらも学校関連だけど、それ以外にだって嘘か本当か分からない噂話が沢山ある。僕が向かっている場所だってその1つだ。
『ねぇ聞いた? 北山中学校の裏山には、魔法使いの住んでいる一軒家があるんだって。そこへ行って悩みを相談すると、どんなことでも魔法を使って解決してくれるらしいよ』
別に本気で信じているわけではない。でも、もし本当に悩みを解決してくれるなら。この気持ちを、僕は抑えることができなかった。それがいけなかったんだ。
「どうしよう。完全に迷子だ」
空がオレンジ色になった頃。ひんやりと伝い風が吹く。僕は1人、雑木林を歩いている。こんな所に1人で来るんじゃなかった。そもそも、あんな噂話を少しでも信じるなんてどうかしていた。
僕は一体、どうなるのだろう?
不安と後悔で頭がパンクしそうになっていた時、前を歩く1人の少年が目に入る。
「あの、すみません」
僕は震える声で、少年を呼び止めた。少年は無言で振り向く。
「あの……」
僕が話そうとするのを制し、少年は笑った。
「ねぇ、君の悩みは何?」