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お祭りに行きましたの。お化け屋敷編ダーリック無双

戦闘はしません

「お祭りって初めて来ましたけれど、とっても楽しいですの。」


ニコニコと笑いながらティファニーはご機嫌に串に刺された大きな苺を一つ頬張る。

今日は昨夜ダーリックに誘われたお祭りに来ていた。

初めてのお祭りはやけに視線が多いのは緊張するけれど、楽しい事がいっぱいである。


「疲れてはいないか?」


「楽しくて疲れを感じる暇もありませんの。」


そう言い最後の苺を食べ終わると手近なゴミ箱へと串を捨てに行く……途中でおそらくゴミの回収係の人に回収された。

さっきからティファニーがゴミ箱に捨てに行こうとする度にゴミは先に回収されてしまっていた。

ティファニーとしてはちゃんとゴミを捨てダーリックに褒められるチャンスだと思っていたのだけれど、回収されてしまったものはしょうがない。

次は何を食べようかと辺りを見回すと香ばしい香りが鼻をくすぐり、香りに誘われて行ってみると白いモニョモニョとした物が串に刺さっている。


「おじ様、これは何ですの?」


「これは白子って言う魚から取れたやつだよ。」


周りは声を出し営業している中でおっとり黙々と焼いていたおじさんは「1つどう?」と勧めてくるので、一本だけもらう事にする。

数歩離れ一口ティファニーが食べるとなんとも言えない不思議な味に首を傾げる。


「不思議な味ですの。ダーリック様はどう思います?」


食べかけた串をそのまま口元へ持っていき食べさせるとダーリックも同じく言葉にしにくい味なのか首を傾げた。

その時後ろでおじさんが他の客に「これはね、魚の精巣だよ。」と説明する声が聞こえると、いつものように仮面を付けたダーリックは咀嚼をやめ迷う素振りを見せるが何とか飲み込み手で口を押さえる。

ティファニーは精巣と聞いてダーリックの下半身を見ていた。


「ティフ、凝視する物ではない。」


「ふふっ、わたくしダーリック様の精巣大好きですの。」


可愛らしく無邪気に笑みを浮かべるティファニーは意味を分かって言っているのか小悪魔めいたものを感じさせる。

そういえばとふとダーリックは一つ思い出す。


「一つ行きたいところがあるのだが……」


二つ返事で行きたい事を了承するティファニーだが、この選択をすぐに後悔する事になる。


「きゃああああああっ!」


突如頭上から振り落ちる骸骨に驚き悲鳴をあげるティファニー。

薄暗い室内は不気味な雰囲気に包まれており、垂れ下がる骸骨、壁にかかる蜘蛛の巣、謎の煙は先程から足元にだけ漂っており得体の知れない恐怖を醸し出す。

2人は祭りの出し物の一つ、お化け屋敷という場所に来ていた。

突然行こうと誘われたのは薄暗い蔦の絡まる屋敷……のように見せかけた広い敷地をとっている建物。

やけに元気なお姉さんに送り出され屋敷の中へ入ると薄暗い雰囲気に怖がるふりをしてダーリックの腕に抱きついた。

そのまま鼻歌まじりにルンルン気分で足を進めると恐怖は突然やってくる。

突如足元をさわさわとくすぐられる感触、下を見るが何も無い。

おかしく思いダーリックに確認するも何も無いと言われ首を傾げる。


カシャンッ


突如目の前に吊るされた骸骨、驚き響かせた悲鳴。

目の前に垂れ下がる骸骨は何かを求める様に両手を伸ばしティファニーに当たる。

触られた感触にぞわりと鳥肌が立ち拒絶し全てを突き放し、腰は抜けペタリと座り込む。

咄嗟の骸骨の出現と本気の悲鳴にダーリックも驚き、ティファニーに手を伸ばすが骸骨を拒む動作と共に払い除けられてしまった。

幼児の様にティファニーが泣き出すとどこからともなくズ……ズ………と這う様な音が響く。

ふと音のする方へ視線を向けると半分顔が溶け腐っている者達が這い、足を引きずりながら次から次へと湧き出す。

顔が溶けた人達は泣きじゃくるティファニーを反応の良い格好の獲物だと脅かしにかかろうとするが皆一斉に動きが止まる。

この薄暗い不気味な雰囲気漂う空間でティファニーの傍らで狼狽えるダーリックを視界に入れると皆ガタガタと震え初め逃げる者、腰を抜かす者で溢れた。

怯えつつも幾分冷静になったティファニーは異変に気付く。

恐ろしい亡霊達は皆近寄って来ない、皆ダーリックを見て腰を抜かし怯えているのだ。

その姿はまさに聖者の力に怯える悪霊。

もしかしてダーリックには浄化の力があるのでは?あるに違いない、だって一緒にいるとあんなに気分が上がるのだ。

尊敬の眼差しを向け両手を伸ばすと抱き起こされるので腕を絡ませ出口へと向かう。

その間も包帯を巻いた男が現れてはダーリックを見て倒れたまま動かなくなり、赤い水を滴らせた髪の長い女が現れてはダーリックを見てアンモニア臭を放ち、皆が戦意を喪失する。

もはやティファニーにはダーリックがこの混沌とした世界の救世主にしか見えなくなっていた。

そしてやっと明かりが見えホッとしたタイミングで一斉に骸骨が垂れ下がり、そもそもダーリックに連れられこんな恐ろしい空間に来たのだと思い出しティファニーは絶叫した。


「ふぇぇっ、ダーリック様の嘘つきっ」


ぐすぐすと鼻を鳴らし、瞳からは大粒の涙が零れ落ちる。

透明感のある白い素肌は真っ赤に染まり、ピンクダイヤの瞳からは止めどなく涙が流れる姿を自分が導いてしまったとダーリックは罪悪感に苛まれた。


「すまなかった、以前舞踏会から帰った後に言っていただろう?その、舞踏会には私のような人が沢山いるだろうから楽しみにしていたと。」


「そういえば言ったような……気もします。それが何ですの?」


すっかり忘れていたけれど、舞踏会から帰ったある日にそんな事を言った気もする。

ティファニーにすれば何となく口にした後に引く話題でもなかったのだけれど、その事をダーリックは自分の様な容姿の者だらけ等もはや恐怖の館だと忘れられずにいた事をティファニーは知らない。


「以前一緒にいるとお化け屋敷にいる様だと言われた事を思い出して楽しんで貰えるかと……」


「全然違いますのっ!」


ティファニーは思い出した、ダーリックは男の趣味が悪い。

男とは自分も含まれているらしく、自分をこんな……恐ろしいお化け屋敷と一緒にするなんて。


「今日は絶対に一緒に寝ますし、お風呂も一緒に入りますの。」


「それではいつも変わらないな。もし機嫌が直るなら詫びをさせて欲しい、何か希望はあるか?」


怖かったので1人にはしないで欲しいという事を言いたかったのだけれど、ダーリックは機嫌を直す方法だと思っている様だ。

何かしてくれる。たまにあるティファニー命名、ダーリックおねだりチャンスの到来である。

やって欲しい事、お願いしたい事。

言えば大抵なんでもしてくれるので思い浮かばないが、使えるものは使いたい。


「あっ、では一緒に本を買いに行きたいですの。」


「荷物持ちでも何でもしよう。」


せっかく美醜逆転書くならこの世界での恐怖の顔(リアル世界ではイケメン)いかして顔面無双して欲しいなと思って!

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