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パーティー招待は中好感度イベントです

 学園生活初めての長期休暇。

 それは社交界シーズンに合わせられた休みである。


 学園の殆どの生徒が、王都にある屋敷(ゲストハウス)に帰る。私も例に漏れず、両親より帰宅命令が出されたので王都の端にある屋敷へと帰ってきた。


「お帰りクロエ。……変わらないな」

「ただいまレオナルド。人間たかが2ヶ月で劇的に変化するわけないでしょう」

「それもそうか」


 屋敷に入るなり出迎えてくれたのは執事であるレオナルド・デリト。

 彼は代々アッカーソン家に仕えるデリト家の長子である。

 短く切り揃えられた濡れ羽のような黒い髪と、黒い瞳。スラリと伸びた長身を包む燕尾服をしっかりと着こなす。

 ファンディスクで攻略対象になっただけあり、顔の造形は中々に整っている。


 クロエとは幼馴染みのように育った彼は、その生意気な口調と態度が人気だった。


「荷物はそれだけか」

「ええ。最低限のものはこっちにあるし」

「……荷物は部屋に運んでおく。まずは旦那様と奥様に挨拶してこい」

「有難う。お願いするわ」


 レオナルドに小さなキャリーケースを渡すと、私はリビングへと足を進めた。

 王都のゲストハウスは主に社交界シーズンしか使わない。入口から続くメインのダンスホールは広いが、生活場所は領地の屋敷の方が圧倒的に広い。と言っても子爵のアッカーソン家はそこまで広いわけでは無いが。


* * *


「お父様、お母様、ただいま戻りました」


 リビングでは父と母が優雅にお茶を飲んでいた。


「おかりなさい、クロエちゃん」

「おかえり」


 父、エヴァン・アッカーソンはルーリルと言う小さな街と、そのあたりの村を治めている。ルーリルはヌエッタ炭鉱を筆頭に大小いつくかの炭鉱がある街で、炭鉱夫たちの元気な声が町中に響く、活気ある治安の良い街だ。


 碧掛かった銀の髪と、深い碧の瞳を持つ、娘目線で見てもダンディなイケメンである。


 母、ケイシーは、男爵の爵位を持つ家の娘だった。男爵は1代貴族で世襲制では無いため、母の父はどうにかして娘を貴族家へと嫁がせたいと思っていたそうだ。

 明るい黄色の髪は腰まで長く、緩いウェーブが掛かっている。穏やかに微笑む翡翠の瞳は大きく、愛らしい印象を与える。


「クロエちゃんもお茶にしましょう。ほら、ここに座って」

「はい。お母様」


 濃い藍色のドレスを着こなす母は、1度立ち上がると私の手を取り自分と父の間に私を座らせた。

 ゲームをしていたころから娘大好きな両親だな。とは思っていたが、さすがにこれは、ちょっと恥ずかしい。


 目の前には紅茶と、アフタヌーンには早いが3段のティースタンドが置かれる。

 スタンドは下からサンドウィッチ、スコーン、ケーキと前世で試しに。と友人たちと行ったホテルのカフェで出て来たものと同じだ。


 この世界、元は日本で作られた乙女ゲーム。

 街並みや建物、設定は中世ヨーロッパだが、出てくる食べ物の基準は日本である。うん、サンドウィッチが美味しい。


「そう言えば、クロエちゃん、今年のドレスまだ仕立てて無かったわよね」

「……ああ。そうですね。学園に馴染むのに忙しくて忘れてました」

「明日朝一でノアを呼びましょう。今年はフレッカー公爵家とウッドマン侯爵家から、パーティーの招待状が届いているのだから気合を入れないと!」


 そう意気込むお母様の言葉に私はふと眉を寄せた。


 今、フレッカー公爵家とウッドマン侯爵家って言った?

 え、ジャレットとセシルのお家?


 ジャレットとは、確かに音楽の授業後、席が隣と言うこともあり良く話すようになった。パーティーに呼びますね。なんて社交辞令も貰った。……社交辞令じゃ無かったようだけど。

 しかし、セシルに至ってはマナー授業後、会話をしたのは数えるほど。好感度なんて上がっていないはず……あれー。これはさすがに予想外です。

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