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学園の図書室は膨大な資料庫です

 この国唯一の学園であるこのカデリア学園には、図書室と言う名の建物が建っている。

 レンガ造りのこの建物は趣重視なのか、はたまた何かちゃんとした理由があるのか知らないが蔦が絡まる古びた印象の5階建ての建物だ。1階正面には受付があり、その左右の壁には目録カードの入った引き出しがズラリと並んでいる。

 本の種別、タイトル毎にカードが入っている。前世だとバーコードとパソコンで管理されていた本だが、ここは実に原始的であり流石中世ヨーロッパが舞台なだけある。


 2階から4階はところ狭しと本が並び、5階は自習室。

 国のありとあらゆる本が集まるため基本事前に申請すれば一般人も出入り可能だ。


「えっと、課題の教材は……」


 膨大に本があるこの図書館の中から目当ての本を探し出すのは中々に至難の技である。

 私は目録カードの入った引き出しを見上げながら授業で出された課題の教材を探す。魔術が習えるのだから、このへんも魔術で何とかならないものかと思いながら引き出しを探し続ける事数分。やっと目当ての引き出しを発見した。


がしかし、高過ぎて手を伸ばしても届かない。


「……うう。とどかな」

「この引き出しで良いですか?」

「あ、はい。有難うございま…………」


 背伸びをして手を伸ばす私の背後からすっと目当ての引き出しを取り出す影。その影はそう言って私に引き出しを差し出した。

 頭を下げお礼を言い、しかし何処かで聞いた事のある声に私は言葉を止め頭を上げる。


「シリル様!」


 目の前に居たのは、金色の髪が特徴のシリルだった。


「こんにちは、クロエ嬢。目当ての引き出しはこれで合っていますか?」

「……あ、はい。有難うございます。えっと、シリル様は何故」

「え、ああ。経営学の資料を探しに来たんです」


 そう言うと、彼は脇に抱えていた経営学の資料本を私に「ほら」と見せてくれた。

 借り終えて教室棟に戻るところだったのだろうか。


「シリル様は経営学を学んでいらっしゃるんですね」


 知ってたけど。うん。


「家督はクリフォード兄上が継ぎますが、少しでも兄上の力になれればと」

「そうなのですか。お兄様思いなのですね」


 うんうん。それも知ってた。


「クロエ嬢は何を探していたんですか? 良ければお手伝いするよ」

「私は美術品に関する課題の教材を探していて」

「なるほど。それでコレですね」


 シリルは取り出した引き出しの中から1枚の目録カードを取り出しそう言った。それは紛れもなく私が借りようとしていた本の目録カードだ。


「……うーん。これも悪くないけど、」


 目録カードを一瞥し、また他の引き出しを眺め


「こちらの方がオススメですね」


 違う引き出しから1枚、目録カードを取り出した。

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