表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/47

好感度はバラの花束100本です

 「私」がやっていた乙女ゲームの好感度は、バラの本数であらわされていた。


 そして、好感度を上げるために重要なのは、目当ての攻略キャラクターとのイベントであり、そこで見られるスチルの回収はプレイヤーにとって無くてはならないものである。と思っている勝手に。


 ことある事にあらわれる選択肢・分岐点で上手く好感度を上げ、そこに能力を上げることで得られる好感度を足し、キャラクターを攻略し、1年最後を締めくくる全生徒出席のパーティーで攻略キャラクターにダンスを誘われる。

 のが「私」がやっていた乙女ゲームの一先ずなエンドである。


 しかし、このエンドは好感度を示す赤いバラの花束が90本あれば問題ない。

 残り10本。バラの花束100本を集めると、パーティー後のスペシャルストーリーが解放される。


 もちろん「私」が目指すのは最推しでのスペシャルエンド。なのだが、


「最推しは非攻略対象。何をどうすれば好感度が上がるのかしら」


 そもそも非攻略対象にもスペシャルストーリーは機能してくれるのか。そんな不安を抱えつつ、まずは目先のパーティーの招待をどう


「……クロエ」

「レオナルド。どうしたの?」

「明日の午前中にロア様が来るってさ」

「流石お母様。早いわね」


 ジャレットとセシルの家から届いた招待状を机に置く。

 上質な紙にはうっすらとそれぞれの家を表すマークが印字されている。封蝋にも同様のマークが使われている。

 日本で言う家紋みたいなものだ。

 封筒に書かれている宛名はきっと、ジャレットとセシルが書いてくれたのだろう。

 ジャレットは細い繊細な文字だが、とても読みやすいお手本のような字で、セシルは丁寧で綺麗だが、勢いのある男性らしい字だ。


「……本当に、俺がエスコートしなきゃいけないのか?」


 カチャリ。とテーブルの上に紅茶を置いたレオナルドが、珍しく落ちた声で呟いた。


 デビュタントから今まで、参加せざるを得ない夜会のエスコートは兄のオリバーが務めてくれていた。


 婚約者が居るのに何故?


 なんて疑問を持ってはいけない。だって根本は乙女ゲームだもの。


「諦めなさい。一緒に1曲。って言わないだけ優しさよ」

「踊らなきゃいけなくなったら自室に閉じ籠るわ」

「……そんなことしたらクビかしらねえ」

「……、それは困る」


 レオナルドの家系は代々アッカーソン家の執事である。

 そしてレオナルドは長子。ちなみに弟が2人居るが、まだ幼いため働いてはいない。

 と言うことは、執事長はレオナルドの父と言うことだ。


 アッカーソン家のお嬢様をエスコートする。という仕事を放棄したらクビだけでは済まない。


「じゃあ、頑張って」


 彼は彼なりに心の闇を抱えていて、長子として責任を持っていて、それが彼--レオナルドを攻略するのに大切な鍵なのだが、「私」はその鍵を使うことは無いだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ