仲間として
強化銃
ライフル型の銃にゾオン石を装備させる事でゾオンエネルギーのエネルギーにより銃弾を発射させる一種の攻撃デバイス。
‐郊外のとある教会‐
_____!!
爆音の根源となっているのはアグナムの大剣であり、彼が一振り入れると向かい合わせに立ち塞がっている教団の構成員は風圧と共に飛ばされ教会も瓦礫と化そうとしていた。
「あの、隊長。何か俺達の出番無さそうなんですが」
「まあしゃーねえだろ、レイビお譲様が拉致監禁されちゃってんだから。総隊長がああなったら誰も止められやしねえ」
気だるけそうな話し方で煙草を吹かす中年男性は第一部隊の隊長であったが、アグナムの圧倒的な攻撃力にただ呆然として巻き込まれないようにと隊員を後ろに引かせていた。
「あの、隊長。さっきの一振りでほとんど倒したみたいなんですけど」
「さっすが十字軍の筆頭騎士、あれで神の称号持ってないんだからチートでしょ」
第一部隊はただただ唖然としてるしかなかったが、それでもアグナムは半壊状態の教会の中に前線を切ろうとした。
「ああ実に嘆かわしい!聖なる新カトリック教団の教会を壊すとは何たる神に対する冒涜だ!」
「穢れた聖職者には十字架を掲げる資格もねえよ、てめえらレイビはどこにいる?」
すると中にいたスティーブはアグナムのそんな質問を聞くと突如として笑い始め、それでも笑い足りないのか顔に手を当てながら嘲笑をしてみせた。
「レイビ、それはもしかしてレイビ・J・キリストのことですかな?だったら残念だ、彼女は後一時間後には失われた称号の御方達の元へと引き渡される!貴様達十字軍はまんまと我々の陽動作戦に乗ったという訳です!」
「……」
この時アグナムは特段何も思わずにいようとしたが、感情の深淵には確かに怒りという感情が噴出しそうになる感覚が伝わった。
「それにしても昨夜の裁きは最高でしたな!旧貴族邸で起こった悲劇!痛み狂う彼女の声と絶望した顔!兄であるあなたにも見せて___」
グシャ___
その時、アグナムの理性を保っていたものが切れ、彼は自分でも抑えられない怒りに駆られ剣を振り翳していた。
「そうか、なら死ね」
「あ……」
次の瞬間にスティーブの体は見事に一刀両断され、直後に大量の血が噴出し無機物となった彼の遺体は地面へと倒れてしまう。
脳、心臓、肺、膵臓、胃、腸までもが外へと放たれそれは無惨な物へと変貌したのを見ると、アグナムはネックレスとして付けていた十字架を手に持ち祈りを捧げる。
「お疲れ様です、総隊長さん」
「ローガンか、悪いが後の処理は任せる」
「ちょっと待ってください、レイビお嬢様の件はどうでしたか?」
「……旧貴族邸にいる、それが奴の遺言だ」
すると第一部隊の隊長であるローガンは頭を掻き始め、まるでアグナムに言い難いことでもあるかのように溜め息をし始める。
「正直言ってあそこは真反対の位置です。今から行こうと思えば六時間近く掛かると思いますが?」
「それは常人の計算か?ならやり直せ、俺は十字軍総隊長だぞ」
「あーそうでしたね、総隊長はレイビお嬢様のことになると無敵状態になりますもんね」
「いいや、単にまだ怒りが収まりそうにないから、敵を狩りに行くだけだ」
そう言い残しアグナムはゾオンエネルギーを足に収束させて脅威の跳躍力を発揮すると、物凄い勢いで瓦礫と化した教会を後にするのだった。
「全く、あの人も素直じゃないな……」
ローガンはアグナムの後姿が見えなくなるまで見つめていると、彼の倒した教団関係者を気絶している内に確保する為に隊員達に命令を下すのだった。
_________
旧貴族邸、ここは嘗て貴族が住んでいた邸宅と跡地だと言われており、現在では廃墟となっている巷では不気味な場所として疎まれる建物であった。
立地は山の頂上付近にあり、都市側からは森林に隠れ見えないが隣町側からでは確認ができる作りとなっている。
そして新介達もまた、レイビの探索をする為に旧貴族邸の近くにまで迫っていた__
「シン、旧貴族邸まではもう少しだ」
「そうか、ならペースを上げるぞ!」
全員レイビを助けたい気持ちが強いのか、新介の掛け声と共にグループ総勢十人は走るペースを速めるのだった。
「それにしてもシンの洞察力には驚いたよ、少ない情報量であれだけの憶測を飛ばせるのは常人じゃない」
「そ、そうか?」
だが新介にとっては仲間が敵に捕らわれるのも自分が捕らわれるのも既に経験済みだったので、今回はその経験が幸を奏して教団の陽動作戦が何となく予想できたということだ。
失われた称号の関与を疑ったのも同様に廃墟の館でラプンツェルの市長であるガルシャワが彼等の構成員だったという事実を知っていたからであり、この地区は既に失われた称号が根強く住み着いているであろう地区の一つだという認識をしていたからだった。
「そうだ、そもそも何で失われた称号が関係していると思ったんだ?」
「いや、それは何というかその……」
だがその経験に基づく察しの良さに違和感を覚えたのか、マークとデウスは新介が何故それほどまでの推測ができたのか疑問を飛ばしてくる様子から新介は同様を隠せないでいた。
「失踪した前市長の噂じゃないの?」
「ああ、あの胡散臭かった市長が失われた称号に関与してたって噂か。確かにあの噂が本当ならラプンツェルにも彼等の影が根付いていても不思議じゃないな」
「そ、そうそれ!それが言いたかったんだ!」
どうやらそれは新介の杞憂だったらしく、この地域では既に前市長の黒い噂が既成事実化されていたので彼はマーク達の会話の流れに合わせて返事を返した。
そして頂上へと続く坂を上り終えると、前方には森林が抜けた場所にポツリと佇む旧貴族邸が姿を現す。その建物の形状は随分と四角張った構造であり、木陰に隠れている新介達の目線からでは前方に中に入る為の扉のような物が見えていた。
「あれが例の場所だね。旧貴族邸、中には中庭があり吹き抜けの構造となっている随分と変わった構造の建物だ」
「そうか、問題はこれからどうするかだが……」
するとエマは他の探索グループから候補地の情報を受信したのか、何やら独り言を呟き始め内容を確認するように理解する相槌をしてみせていた。
「シン、他の候補はどこも外れみたい。今他の探索グループ達もこちらに向かっているらしいわ」
「まずい、やはり四つに絞ったのは間違いだったか……」
そもそも広いラプンツェルから憶測だけで位置を特定すること自体無謀だったのかもしれない、新介は遂にそこまで自嘲的に考えてしまい頭を抱えてしまう。
が、そんな彼の姿を見兼ねたのかエマは新介の手を取ってみせる。
「大丈夫、それにまだ終わってないのにマイナス思考になるなんてシンらしくないよ?」
「そうだ、別に違っても俺達はお前を責めたりしねえよ。そしたらまた探せばいいだろ」
「チェスではあんなに攻め気の攻撃をするのに、こういう時は君も弱腰になるんだね」
「お前達……」
そんな三人の励ましを聞くと、新介はいつの間にか自嘲的になっていた自分が恥ずかしくなった。
今の自分には信じてくれる仲間がいるじゃないか、だからこそ後ろ向きで考えるのをやめ立ち上がらなければならないと新介は思い、弱腰だったその腰を起こし自分の精神の葛藤に決着を着けた。
「ありがとう、それじゃあ作戦を立てよう」
そして新介はレイビを救出する為の算段を頭の中で全て計算し始める。
彼女を旧貴族邸に監禁するとしたらどこに配置するか?敵の配置と数は?考えられる可能性からどれだけ先を見通して突入するか?まるでマークとしていたチェスの自分の駒を弄るかのように作戦を練り始め、そして
「――整ったぜ、救出までの算段が」
チェックメイト、確かに新介の脳内ではその言葉が浮かんだ。
確証はない、だがこの建物に敵がいるとしたならば最も考えられる行動パターンを予測して自分達の行動も当て嵌めてみたのだ。
「シン、君の作戦を聞かせてくれないか?」
「ああ――」
そして新介はマーク達にも自分の考えた最善の策を教え、彼等に合意を求める。
最善で唯一の手段、レイビを救う手段はこの一つしか新介には思い付かなく、尚且つ仲間の協力が肝となるのだ。
「なるほど、確かに予想される彼等の行動パターンとして無い話ではない」
「でもそれって、シンへの負担が大きくなるってことでしょ?」
「俺なら大丈夫だ、方法があるわけじゃないが何とかしてみせる」
この作戦は新介にとって自分が最も負担をする作戦であったのは違いなかったが、レイビ奪還が最も成功する方法として彼も覚悟を決めていた。
「なら早速始めるか、囮作戦を__」
エマを除いた全員が旧貴族邸に近付き作戦の配置に就くと、新介はいよいよ正面の扉を開き中へと足を運ぶのだった。
________
ガラ__
それは中庭に入る為の扉であり、新介は中へと続く玄関の扉を開いた直後に目一杯両手で錆び付いた扉を押した。
「っ……レイビ……?」
次の瞬間には新介の視界に衝撃の映像が広がる。
そこには確かにレイビの姿があったが、彼女は惨たらしい程に顔を怪我しており、体を必要以上に縛り上げ拘束されていた様子に思わず新介も絶句してしまい言葉が出なかった。
「ん……?」
するとレイビは新介に気付いたのか意識を取り戻し前を見ると、彼女はありえない光景を見たかのように唖然としてしまう。
そしてその光景を見兼ねた新介は周りに誰もいないことを確認して、口を覆い隠されて喋ることができなくなっていたその布を取り払い彼女に呼び掛けた。
「もう大丈夫だ、俺が助けに来たからよ」
「__何で、どうして私の場所が分かったの……?」
「経験論だ、敵が拠点を置く場所はできるだけ人目に付かない場所って決まってる。それより悪かったな、深夜に帰って来なかった時点で俺が街を探し回るべきだったのによ」
新介の声を約半日ぶりに聞いたレイビはまるで何かが切れたように泣き始めると、今までの辛い思いを言葉にして洩らしていた。
「怖かった……たくさん殴られて……たくさん罵られて……私の存在まで否定されて……」
「そうか、そんなに辛い思いをしたんだな……本当にお前が生きてて良かった……」
「シン……っ!」
彼女を安心させ心を落ち着かせると新介は敵に悟られる前にレイビの拘束を解こうとした、その時
「きゃあ♪助けてシン、私はここよ♪」
「っ……!?」
新介は急いで声の主の方向へと目をやると、そこには声質と表情が釣りあってない程の満身創痍の顔をして教団構成員と屋上に立つエレナの姿が飛び込んだ。
「エレナ……!!」
「ああん♪助けてえ♪このままじゃ私もレイビみたいに乱暴されちゃう♪」
「……ふざけるな、お前、教団の手先だろ?」
溢れ出る激怒の感情を極限まで耐え抜き新介はエレナに尋ねると、彼女はそれを聞いてすっかり萎えたかのように吐息を漏らす。
「あはははは!よく分かってるじゃない!そこのグズとは違って物分りが良くて何よりよ!」
「お前……!!何でこんな事をしたんだ!?」
「何で?そんなの私が隊長になる為じゃない♪レイビを引き渡した後に私が縛られて十字軍に保護されるって魂胆だったけど、私の姿を知ったあんたもどの道殺すわ♪」
レイビからは背後、新介からは向かい合わせの位置の屋上に立つエレナ達は上を取っていることを良い事に二人に向け本性を晒す余裕を見せていた。
「まあ大したヒントも無しにここまで来たことは褒めてやるわ。でもその口じゃ新人が故に誰もあなたの意見を聞いてくれずに一人で来た身でしょ?最近成績を上げているようだけどあなたでは私達は倒せないわ♪」
「……」
「それにもうあなた達の慕う隊長は見るも無惨な姿になってるわ、だってそうでしょ!散々殴られて顔腫れてんじゃん!ぶっさあああああ!!」
「っ……エレナあああ……!!」
遂に怒りを露にした新介を見越してエレナが右手を上げると同時に七人の教団構成員が彼に銃口を向けた、どうやらそれは構えのサインだった様子だ。
その様子に新介も戸惑ってみせる、彼の立ち位置からでは通常の攻撃は向こうに当らず狙い撃ちされてしまうからだ。
「これは麻酔銃、連発はできないけど三発も当れば永遠に眠っちゃう程強力な代物よ。避ければレイビが死ぬ、避けなければあなたが死ぬ、さあどっちを選ぶのかな♪」
「チッ……!!」
麻酔弾が新介のもとに到達するまで約0.1秒、その間に拘束されている縄を切りボロボロになっているレイビを背負いながら逃げるのは不可能に近かった。
だからこそ新介は、その瞬間笑いを浮かべてしまう
バン_____!!
「__え?」
エレナはまるで体に力が入らなくなったように屋上に倒れると、同様に教団構成員達も次々に前方に倒れこむように気を失っていった。
「あーあ、女を叩くのは俺の流儀に反するんだけどな」
「君はあんなのを女と認めるのか?なら相当目が腐っているぞ」
「デウス!?マークも、それに……」
エレナ達の背後から迫っていたデウス達がそれぞれ剣の鞘や十字架で敵の後頭部を殴りエレナ以外を気絶させると、レイビは彼等が登場したことに驚きを隠せない様子を見せていた。
そして屋上で倒れ込んでいる彼女は未だに自分に何が起こったのか理解できない様子で倒れている。
「何……で……?」
「何で?それはつまりどうして俺達がここにいるのかって聞きたいのか?」
「エレナ、君は二つだけ見誤った事がある。一つがシンの立場、そして二つがシンの洞察力だ。新人のシンを格下だと思い込んでいた君は既に彼の策略に溺れていたって訳だよ」
格下だと思える存在、それは優位に立つ者にとって取るに足りない存在だと認識をされる。
だが同時にそれは優位に立つ者への最大の油断を生み出すものとなる、新介は新人である自分だけが中に入ることによってエレナを油断させ忍び寄る影の方向へと振り向かせなかったのだ。
「過信、それはチェスでも最大の難敵だ。全て上手くいっていると思っている時ほど人間は隙を生むからね」
「クソ……があ……」
「口を慎めよエレナ・ツベルティ、お前は十字軍第一級の裏切り者だ。さっさと牢屋にぶち込まれて隠居してろグズが」
マークは嘗ての副隊長に対してまるで侮蔑するかのような視線を送り暴言を吐い散らすと、エレナは屋上の床に顔を擦りつけながら彼を睨み返していた。
「どうだエレナ、まだ俺達とやるか?」
「っ……」
「返事なし、それはつまり承諾ってことでいいか?ならこれでチェックメイトだ」
デウス達は屋上で倒れているエレナ達教団構成員の手足を拘束すると、彼等を屋上の内側に寄せて新介とレイビの視界に入るようにした。
「皆……」
「全員レイビを助ける為に集まってくれたんだ、帰ったらあいつ等に感謝するんだな」
「本当に……ありがとう……」
レイビはデウス達の方を振り向き涙を流す、それを見兼ねた新介は今度こそ彼女の拘束を解こうと背中に背負っていた剣で縄を切り体を自由にした。
「酷い……体中痣まみれじゃねえか……」
「あ、あんまりジロジロ見て欲しくないかな、こんな傷だらけの姿恥ずかしいし……」
「そんな事ない、お前はいつも通り綺麗だよ」
「っ……」
レイビは新介が不意に漏らした言葉を聞いて顔を紅潮させるが、肝心の本人は悲観的になっている彼女を元気付ける為に励ましただけなので特段意識をしていない様子だった。
そして新介は何時間も椅子に座らされ続けたレイビをゆっくりと地面に下ろし怪我の具合を確認しようとした。
「外傷は酷いけど、骨なんかは折れてないみたいだな。おいデウス、さっさとそいつら下に下ろして別のグループが来るのを待つぞ!」
「了解!おい、さっさと起きろエレナ」
「……ふふ」
するとエレナは不気味な笑いを浮かべるが、この時まだデウス達には彼女の笑いの意図が分からない様子でいたのだ。
「バーカ♪」
「っ……!?逃げろお前等!!」
新介は何かに気付きデウス達に屋上を離れるように忠告した、その時だった。
____!!
次の瞬間、エレナと教団構成員を捕らえていたデウス達は何者かに背後から銃撃され意識が朦朧としているのが新介の目線から分かった。
「……あ?」
「残念だったな、落ちろ」
千鳥足になっているところを隊員達は押され、そのまま二階の高さからの屋上から落下してしまう。
次々と中庭に落とされる隊員を見ると全員が見事土手っ腹を撃たれ血を流しながら意識がない状態だった様子に新介は思わず唖然としてしまう。
「い、いやあああああ……!!」
そしてレイビは泣き叫ぶ、先程まで喜びに満ち溢れていた涙は一気に絶望の涙と変わり眼前の光景を受け入れられずにいたのだ。
「__失われた称号!!」
黒のローブで身を包み、手には堕天の紋章を刻印している彼等は間違いなく失われた称号の構成員とその手下達だった。
「来ましたね♪さあ早くあの女を連れて行きなさい♪」
「ああ、だがその前に__」
____!!
「……はえ?」
中央に立つ男以外が銃口をエレナに向け何の躊躇いもなく引き金を引くと、彼女の体は風穴だらけになり即死だった。
そしてそれは気絶している教団構成員にも同じことが執り行なわれ、彼等の額に一発ずつ弾を撃たれ協力者全員を殺してみせたのだ。
「もうこいつ等は用済みだ、支部長達からも消しておけとの命令が下されている」
「っ……お前等仲間を……!!」
「仲間だと?違うな、こいつ等は我々の手足だ。仲間などという対等な立場ではない、要らなくなったら捨てられる運命にある屑だ」
エレナや教団構成員達は気に入らなかったが、新介はそれ以上に彼等の人間を人間とも思わない歪んだ価値観に吐き気すら覚えていた。
そして彼は屋上から落とされた隊員に再び目をやると、失われた称号がいる屋上側付近に向け新介は歩み始める。
「やめて……!!行かないで……」
「レイビ……」
彼女の声を聞いた新介は彼等の方へと向かっていた足を止め、恐怖で振るえ立つことすら儘ならないレイビの方へと再び足を運び彼女の耳元で呟いた。
「大丈夫、すぐ終わらせる__」
そしてその言葉と共に笑ってみせる、全てを告げた新介は再び銃口をこちらに向ける男達の元へと歩みを始めた。
「ほう、我々と戦うつもりか、少年」
「ああ、さっさとお前達を倒して隊員誰一人として死なせねえよ」
「口だけは一丁前だな!しかし貴様に向けられた銃口は全て強化銃、一発でも当れば致命傷は避けられないぞ?」
「でかい口叩く前にさっさと撃ってこい、失われた称号」
構成員と思われる男が合図を出すと、強化銃を持っていた手下達は新介に向け拳銃の弾を放つ。
中庭の中央に向け銃弾は空中を飛び交う中、新介は剣を抜くことなく両手で構えを取り始めた。
『ラグオス』
___!!
直後に凄まじい熱風が男達の元に伝わり、銃弾もその熱で材質ごと溶かされてしまう。
その様子に中央に立っていた構成員の男も仰天とした表情を見せ、同時に彼が徒者ではないことをようやく悟ったのだ。
「し、神技だと!?お前は神なのか!?」
「違う___」
吹き荒れた熱風の影響で新介が左手に巻いていた包帯は解け、刻印された賢者の紋章を露にする。
「俺は、賢者だ――」
________




