閉章 動乱の序章
最北の地‐ヘルヘイム‐
ディアス達が第七支部研究所を爆破させた数時間後、失われた称号のボスには特例任務の失敗の確定通告が届いた。
この結果は彼等にとっても相当な損害であり、当初予定されていた幹部会議が支部長クラスの通話を含めての緊急会議へと変わる。
そして現在、次々に失われた称号の幹部、支部長が集結し始めるのだった。
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「「まさか第七支部が消されるとは、呪いを掛けられた全能神ユピテルの力を油断していた我々の誤算だな」」
「「やれやれ、純愛を掲げていた男の末路がこれですか……まあ最愛の相手に殺されたという点では美徳ですかね」」
「「それはお前の曲がりきった観念だろ、シャーロットは結局ユピテルを溺愛していたに過ぎない」」
「「相愛になれなかったことをご冥福御祈りします、純愛の求道者よ……」」
支部長は『音声のみ』という意味の言語が表記された画面越しから会話をしているが、幹部達からすれば随分と騒がしい面子が増えて腹立たしい様子であった。
「うるさいぞお前等、弔いなら他でやってくれ」
「「ああ!!私殿方に罵られていますわ!!もっと私を罵倒して下さいませアスティマ様!!」」
「変態は黙ってろ!!」
「「変態ではなく偏愛ですわ!けど心地良い♪やっぱり私は世界に愛されている♪」」
アスティマは一人の支部長との相手が面倒になり無視しようとする、彼自身支部長クラスに在籍する者は随分と変人が多いと思っていたのだ。
「……ったく、毎度毎度騒がしい奴等だ」
「そうカリカリすんなよアスティマ、こんな奴等だが腕は立つ。ああ見えてもほとんどが元神だからな」
「そうは言うがベルセブブ、こいつらに今のG7を相手取る程の実力があると思うか?」
「第一支部の『悲愛』は良い勝負をするだろうな、後は場所と状況下次第だ」
幹部の『ベルセブブ』は冷静な推測をすると、アスティマもそれに項垂れるように納得するしかない。
そもそも支部長クラスは純粋な戦闘技術というより特殊系の神技を使う輩が多い、その為に現在政府の最高戦力である七人の神々と対峙するとなれば分が悪いというのが正直な見解だ。
「今は政府よりユピテル達をどうするかが重要だ……このまま奴を野放しにするのは危険だ……」
「ベリアル、それは真っ当な意見だが無理な話だ。何でもボスは奴等をまだ泳がせておく方針らしいからな」
「そうか、なら寝る……」
「寝るな、これから会議だぞ」
もう一人の幹部『ベリアル』はフードを被り円卓の机に凭れ掛かる形で寝ようとするが、それを何とかアスティマが食い止めようとする。
「全く喧騒に満ちている、今がどれ程有事の事態か弁えて欲しいものだ」
「……ルシファー、帰って来てたのか」
そして遅れて自動ドアから入って来た幹部『ルシファー』が円卓の座席に腰を下ろすと、幹部四人、支部長六人が挙って揃い今にも会議が始まりそうな雰囲気に包まれた。
「揃いましたか。幹部、支部長、全ての中枢構成員達よ」
「ボス……!!ちょうどお待ちしていましたよ」
そこに最後の一人、失われた称号のボス『サタン』がヴァンパイアとともに参上すると、そのまま幹部が座っている円卓の机に近付きこう宣言した。
___「始めよう、天界を滅ぼす為の会議を」
第二章 END




