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#007「真っ赤な男」

@掲示板

チアキ「最終日は、この現代文と政治経済がネックなんすよねぇ」

ダイチ「だから、こうして確認してやってるんだ。なっ、琢己」

タクミ「良い復習になるよね、大地くん。――今回は共産主義者にならないようにしない駄目だよ、千晶くん」

チアキ「大丈夫っすよ。もう、陰険バーコード眼鏡と再試験するのは御免っす。――これが件のプリントっす」

ダイチ「スメハラじじいに小言を喰らいたくないわな。――刻苦勉励、立身出世、融通無碍」

タクミ「パワハラおじさんと一緒は嫌だよね。――大義名分、頑迷固陋、繁文縟礼」

チアキ「国営放送、父母通信、登録商標」

ダイチ「コラ、千晶。関係の無い言葉を混ぜるな」

タクミ「早速、飽きてきたんだね。四字熟語は、これくらいにしようか。――次のページは、対義語と類義語か」

チアキ「保守と革新、名目と実質、基礎と応用」

ダイチ「一般と標準、伝統と先例、観念と形式」

タクミ「本音と建前、多弁と緘黙、連携と孤立」

チアキ「進歩と改良、創造と産出、転換と打開」

ダイチ「あぁ。じっと漢字を目で追ってたら、頭が痛くなってきたなぁ」

タクミ「ゲシュタルト崩壊かな? カタカナ語に移ろうか。パラダイムシフト」

チアキ「コペルニクス的転回」

ダイチ「カタストロフィー理論」

タクミ「この言葉の並びだと、ボールベアリングを連想してしまうなぁ。工学用語に近いからかなぁ」

チアキ「何だか、ひとつのストーリーが出来そうっすね。鉄工所で工場長が交代。経営方針がパラダイムシフト」

ダイチ「コペルニクス的転回を求められた現場は、混乱と内部紛争で摩擦が生じ、あちこちで火花が飛び散る寸前に」

タクミ「些細なキッカケから舌戦へ。そして最後には肉弾戦となるカタストロフィーに」

チアキ「群雄割拠する中で、潜在する不満の集積した煽動者が大多数の人心を掌握し、新たな工場長に抜擢」

ダイチ「鉄工所は、かつてない独裁体制を築き上げたのであった」

タクミ「その陰で、リベラル派のインテリは、早々に退却してそうだね」

チアキ「あれ? リベラルは左で合ってるっすか? それとも、右っすか?」

ダイチ「左じゃなかったか? 教えてくれ、琢己先生」

タクミ「良い質問ですねぇ。フフッ。左で合ってるよ、千晶くん」

チアキ「そうっすか。数年前の流行語っすよね、ソレ」

ダイチ「ニュース解説か。時事問題は解けそうなのか、千晶?」

タクミ「九月に入ってからも色んな報道があったけど、ちゃんと覚えてる?」

チアキ「バッチリっすよ」

ダイチ「そうか。それなら、心配しなくても平気だな。じゃあ、また」

タクミ「そうだね。教室に戻っても良さそうだ。また、試験のあとでね」

チアキ「チョと待て、チョと待て、お二人さん。良いんすか? そこ、確かめるトコとちゃいますのん? ねぇ!」


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