表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/20

#002「甘酸っぱさ」

@廊下

ダイチ「千晶の奴、どこまで買いに行ったんだ?」

タクミ「近くのコンビニにしては、戻りが遅いね」

チアキ「先ぱぁい。お待ち遠さまっす」

ダイチ「どこまで行ってたんだ? すぐソコだろうに」

タクミ「レジが混んでたの?」

チアキ「いやぁ。何を買おうかと迷ってたんっす。どれが良いっすか?」

ダイチ「イチゴ牛乳に、蜂蜜レモンに、桃ジュース」

タクミ「個性的なラインナップだね」

チアキ「あれ? 微妙な反応っすね。野菜系のほうが良かったっすか?」

ダイチ「飲み物の種類を指定しておくべきだったな。今度からは、コーヒーかコーラを頼む。――蜂蜜レモンを貰うぞ」

タクミ「僕は、烏龍茶か紅茶が良いな。――イチゴ牛乳を貰うね」

チアキ「紙パックより、缶のほうが良かったんすね。次から気をつけるっす」

  *

ダイチ「チョココロネやメロンパンでは駄目だな。シックリこない」

タクミ「デニッシュやクロワッサンも違うね」

チアキ「サンドイッチやクレープも、硬派な雰囲気に合わないっすね」

ダイチ「やっぱり、肉と油が無いと駄目だ」

タクミ「それから、購買部ってところもポイントだね」

チアキ「唐揚げや中華まんでないのは、パンしか置いてないからっすもんね」

ダイチ「だから、古風な不良が使い走りに言う定番のセリフは『焼きそばパン買って来い』なんだ」

タクミ「アレンジするとしても、コロッケパン止りだね」

チアキ「たとえコントの設定でも、ある程度のリアリティーが無いと面白くないっすよね」

ダイチ「日常生活でありうる設定から、どうやってありえない展開に持っていくかが、脚本家の腕の見せ所だな」

タクミ「突飛すぎず、退屈すぎない。そのギリギリのラインを攻める必要があるね」

チアキ「案外、書けそうで書けないもんっすよね」

  *

ダイチ「海賊が叙勲されて紳士になったり、非行少年が更正して社長に登りつめたり」

タクミ「サクセスストーリーには、なぜか不良時代がつきものだよね」

チアキ「物語としては面白いっすけど、コツコツ頑張ってる人間には共感されないっすよね?」

ダイチ「真面目に努力するのが馬鹿らしくなる話だもんな」

タクミ「道を踏み外した人間には勇気を与えるだろうけど、ルールやマナーを守り通している人間には不評だね」

チアキ「不公平っすよね」

ダイチ「それが社会ってものなんだろう。――あぁ、まだ歯がシカシカする」

タクミ「現実は厳しいね。――僕も、喉がイガイガしたままだよ」

チアキ「酸いも甘いも噛み分けるには、まだまだ時間が掛かりそうっすね」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ