#015「バイキング」
チアキ「ダウンコート、ダッフルコート、ピーコート」
タクミ「チェスターコートに、トレンチコートも」
ダイチ「冬場は、上着さえあれば様になるから楽だな」
チアキ「中が全裸でも?」
タクミ「寒くない?」
ダイチ「いやいや、それ以前の問題だろう。とんだ変態だな」
チアキ「あぁあ。あと十センチ背が高ければ、ロングコートが似合うんすけどねぇ」
タクミ「それから、痩せ型でないと似合わないよね」
ダイチ「そして明るい色は、より太って見える。――早く中に入ろう」
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モブ壱「こちらに氏名をご記入の上、お待ちください」
チアキ「はい。――前回はクサナギだったっすね」
タクミ「その前はヤクマルだったね」
ダイチ「何で某男性アイドル事務所で縛るんだ?」
チアキ「今回はタキザワで、どうっすか?」
タクミ「コクブンも捨てがたいところだけどなぁ」
ダイチ「そもそも、何で偽名を使うんだ?」
チアキ「それじゃあ、あいだを採ってジョーシマにするっすね」
タクミ「日頃は呼ばれない苗字で呼ばれると、新鮮だと思わない?」
ダイチ「面倒臭いだけじゃねぇか? ヤヤコシクなるだけだろう」
チアキ「平凡な苗字だと、珍しい苗字に憧れるものっすよ」
タクミ「本名だと、判子の注文や電話口の説明で困る場面が多そうだけど、たまには変わった名前を使いたくなるものだよ」
ダイチ「そういうものか?」
チアキ「そういうものっすよ。貴族や武士に関係する苗字って、カッコいいじゃないっすか。橘とか結城とか、朝比奈とか一之瀬とか」
タクミ「西園寺、道明寺、神宮寺みたいに、寺が付く名前も良いよね」
モブ壱「三名でお待ちの、ジョーシマ様」
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チアキ「冬の屋外デートは、女子に不評らしいっすよ」
ダイチ「彼女も居ないくせに、そういう情報は仕入れてるんだな。何の役に立つんだ?」
タクミ「お相手が出来てから調べるようでは、準備不足かもよ、大地くん」
チアキ「イルミネーションやウィンタースポーツに誘って、関係がクールダウンしてしまわないようにしないと駄目っすよ」
ダイチ「燃え上がってもいないというのに」
タクミ「屋内でも、人気の遊園地やレストランは、待ち時間が長くなるから注意だね」
チアキ「わかってるっすね、琢さん。そこで自分がオススメするのは、温泉、映画、鍋パーティーっす。ヒートアップすること間違いないっすよ」
ダイチ「本当か? 男同士ですることと、大して変わらない気がするけどなぁ」
タクミ「言われてみれば、そうだね」
チアキ「異性と付き合う必要は無いってことっすか?」
ダイチ「無理することねぇんじゃないか? 俺は、そのほうが気楽で良いけど」
タクミ「僕も、大地くんに同意だね」
チアキ「気の置けない関係なのは認めるっすけど、ずっとこのままなのは、ちょっと」
ダイチ「良いじゃねぇか。優雅な独身貴族が三人ってことで」
タクミ「シングルベルの和音か」




