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最終話(フィナーレ) 補填

感想をいただき、前回の話では踏み込みが浅い。

男達の結末は?

と言った内容の感想をいただきましたので書かせていただきました。

納得、行かない部分があるかもしれませんがご了承ください。

非道なる悪役令嬢。

エリザベスの手により、誰にも理解されない真実の愛を暴かれた四人の男達。


「ブラッド。次期国王たる者がそのようなことを・・・ その根性。叩き直してやろう。」


国王のその言葉に他の3人の父親も同様に頷く。

しかし、その光景を見てブラッドは舌打ちをして剣を抜いた。


「ブラッド。どうしたの?」


突如として剣を抜いたブラッドにカルロスが驚きの声を上げる。

国王も周囲にいた騎士達もその光景驚き腰に差した剣に手をかける。


「父上。今すぐ私に王位をお譲りいただけませんか?私も、できればこの手であなたに引導を渡したくはない。」


「な、何を言うブラッド!血迷ったか!」


ブラッドの言葉に国王は驚きの声を上げる。

それと同時に周囲にいた近衛騎士達が剣を抜いた。


「ならば仕方がない!あなたには死んでいただく!そして、俺はカルロスとの未来を掴んで見せる!」


ブラッドはそう叫ぶと同時に国王の下に向かって走り出した。


「「・・・!」」


その言葉にカルロスは驚きのあまり涙した。

そして、そっと剣を引き抜くとブラッド同様に国王に向かって走り出す。

それを見て宰相は「バカ息子が・・・」と小さく呟くと近衛兵に2人を拘束するように命じた。


「二人とも剣を捨てろ!さもなくば、切り捨てるぞ!」


そんな2人に対して、真っ先に動いたのは王国最強の騎士である聖騎士長だった。

剣を捨てなければ殺す。

そんな警告の言葉を発しているが、聖騎士長は最初から殺すつもりはない。

ただそう言って威嚇しただけだ。


聖騎士長の実力はブラッドやカルロスを軽く上回っている。

故に、彼は1人でも2人を無力化できると踏んでいた。


「そうはさせるか!」


しかし、そんな彼の前に立ちはだかったのは自身の息子であるジョージだった。


「ジョージ。おまえ・・・」


その光景にブラッドは驚きのあまり一瞬立ち止まる。


「行けブラッド!お前が国王になれば俺とバートンの未来も明るい!」


ジョージの言葉を受けてブラッドは「任せたぞ!」と叫ぶとカルロスと共にジョージと聖騎士長の横を駆け抜けて国王の下へと向かった。


「ジョージ!貴様!頭でも打ったのか?!正気に戻れ!」


ジョージの言葉に聖騎士長が父として言葉をかける。

だが、そんな言葉がジョージに届くことはない。


「悪いな父さん!男同士の恋愛なんて正気の沙汰じゃないのかもしれない。でも、俺は本気だ!」


「ジョージ・・・」


ジョージの気合の入った愛の言葉を受けてバートンは涙を流す。

そして、また自らも剣を取りジョージの邪魔をしようとする者に剣を向ける。


「ああ、バートン。いったいどこで育て方を間違えたのか・・・」


そんなバートンの姿を見て彼の父親である公爵はめまいがして壁に手をついた。


「ジョージ。最早お前を正気に戻すことはできそうにない。ならば、父として貴様に引導を渡してやろう!」


「悪いな。死ぬのはあんたの方だ!」


こうして、聖騎士長とその息子の死闘が開始された。

それとほぼ同時刻、彼らの横を通り抜けたブラッドとカルロスが国王の前まで到達し、近衛の騎士達と剣を交える。


「ブラッド王子!どうか、こんなことはおやめください!」


「悪いなお前たち。だが俺は未来を勝ち取るために進まねばならん!」


国王とブラッドの間に入った近衛騎士をブラッドはあっさりと打ち破り王の下に駆ける。

この密会は事情が事情だけに、ここにいる近衛騎士は口が堅く、王家への忠誠心も高い者達を選別し、さらに厳選しているため少数しかいない。

実力的には近衛として十分な実力のある騎士達も『多彩な才能を使いこなす天才児』ブラッドの前では雑魚でしかない。

この場で彼を止められるのは桁外れの実力を持つ聖騎士長のみであるが、現在は実の息子ジョージと死闘を演じている。


「父上!御覚悟!」


「く!バカ息子が・・・!!」


そう言ってブラッドと剣を交える国王。

しかし、もはや全盛期をとうに過ぎた国王ではブラッドの動きにはついて行くことは困難だった。

一合二合と打ち合うとブラッドの剣により国王の剣は弾き飛ばされた。


「これで終わりだ!」


(最早ここまでか・・・)


ガキン!


ブラッドが勝利を確信し、国王が死を覚悟した時。

その男はやってきた。

乙女ゲームのパンフレットには載っていながら攻略対象キャラではない上に、サブキャラよりも出る回数が少なく、モブレベルの存在であるはずの男。


「お前は・・・!」


「アーサー!なぜおまえがここに!」


それはブラッドの弟であり、この国の第二王子であるアーサー王子であった。

なぜ、アーサー王子がここにいるのか。

それがここにいる誰もが思ったことだった。


この国の第二王子アーサーは病弱でいつも自室にいる大人しい子だった。

医者は病弱なのは早産だった影響であり、成長すれば自然に治ると言われていたが、そんなことはなかった。

そんなアーサーがなぜここにいるのか。

剣を振るっているのか。

疑問は尽きないが、ブラッドにとってそんなことはどうでもよかった。


「邪魔だ!アーサー!死にたくいなかったらそこをどけ!」


「それはできないよ。兄さん。あなたがこの戦いに勝てばこの国の男達の未来が危うい!」


互いに自身の意志を曲げず剣戟をぶつけ合う。


「国王陛下ごん無事ですか!」


「おお! 近衛騎士隊長!」


そんな2人の兄弟が剣戟を交わす内にアーサーが呼びつけた近衛騎士達が部屋の中に入ってきた。


「クソが!死ねい!アーサー!」


「クゥ・・・!この色情魔が・・・!」


そんな状況を見てブラッドは勝負を急いだ。

そのせいだろう。

ブラッドの剣はアーサーの剣を弾くだけではままならず、その首筋にまで剣を向ける。


(決まった・・・!)


ブシュリ!!


弾け飛ぶ鮮血。白き白人の刃が白く染まる。


「ァ・・・」


小さく空気が抜ける様に発する声。


カラ カララン


力なく項垂れた腕が剣を握ることができなくなり、その手から零れ落ちる。


「な・・・ なぜだ・・・」


血走った眼で力がうまく入らないのか。

ゆっくりと油の切れた機械のように小刻みに首を振り男は振り返った。


「カルロスさん・・・」


アーサーの目に映ったのはブラッドの胸に剣を突き刺したカルロスの姿だった。

しかし、その情景に最も驚いたのはブラッドだった。

なぜ自分が貫かれるのか。

彼には理解できなかった。

だからこそ、振り返りその真意を確かめたかった。


「ごめん。ブラッド。君の願いは叶わない。君は僕だけのものだから・・・」


「おまえ・・・ 何を言って・・・」


カルロスの言葉をブラッドは理解できなかった。

国王を無き者にしてブラッドが王となり2人で平和に穏やかに暮らす。

そんな未来を手に入れる。

エリザベスによって自分たちの関係が知られた以上、そうするしかない。

そう判断した故の行動だったはずなのに・・・


「この状況じゃ、もう無理だよ。それに、僕は君が僕以外の人と仲良くするのは耐えられない。」


「だから、何を言って・・・」


「ブラッド。僕が気づいていないとでも思ったの?」


「なんだと・・・?」


「なぜ、アーサー王子が病弱なフリをしていたか。それはね。ブラッド。君に襲われかけたからだよ。」


「な・・・!」


カルロスの言葉にブラッドは目を見開いてアーサーを見た。

そんなブラッドの視線を気にすることなく、アーサーはカルロスを見つめて問うた。


「カルロスさん。知っていたんですか・・・。」


「私は医療や薬学にも精通していますからね。あなたの病状が少量の毒を飲んでの物だとはすぐに分かりましたよ。そして、それが兄上の性癖から逃れるためだということも・・・ 本当はブラッドの気持ちを僕だけのものにして解決するつもりだったんだけど・・・ それも叶いそうにないや。 だから、ブラッド。君を手に入れるにはこれしか方法がなかったんだ。 浮気癖の多い君を・・・ 僕だけのものにするために・・・ ゴフ・・・」


「カルロス!」


突如として血を吐いたカルロスを見て宰相が声を荒げる。

カルロスの表情は青ざめており、唇の色も黒く変色していた。

それは誰もが良く知る強力な毒の症状だった。

おそらくはブラッドを刺したすぐ後かその前に飲んでいたのだろう。

アーサーと近衛兵の参戦により勝利がないことを悟ったカルロスがブラッドとの心中を図ったのだ。


「ブラッド。大丈夫。君を1人にはしない・・・」


そう言い残して、カルロスは地に伏した。


「クソ・・・ カルロス・・・ よくも・・・ よくも玩具の分際で、この俺の邪魔してくれ・・・!」


その言葉を最後にブラッドはこと切れた。

そんな兄の最後の言葉を聞いてアーサーは涙を流した。

そんな彼の横には兄の首が転がり、周囲には血の雨が降り注いだのだった。






そんな2人の愛憎劇が幕を閉じる少し前。

アーサー突入と同時に近衛兵が部屋に入ってきたのを見てジョージは声を上げた。


「チッ! 逃げるぞバートン! 撤退だ!」


ジョージは近衛兵の参戦でこの戦いに勝ち目がないことを悟った故に即座に撤退の判断を取った。


「で、でも・・・!」


だが、バートンはすぐには逃げられない。

近衛兵は自分にはかかってきていない。

そもそも、剣技の得意でない自分には近衛兵と戦う力はない。

バートンにできるのは剣を引き抜き自分を止めようと近づいてくる父親を牽制することだけだ。

しかし、それ故に今ならば逃げられる。


ただし、ジョージは別だ。

彼は現在、この国の最強の剣士である聖騎士長と戦っているのだ。

そう簡単に逃げられるはずがない。


「俺なら大丈夫だ! だから! お前だけでも先に行け!」


「この俺との戦いの最中に他人の心配とは余裕だな!」


ジョージがバートンに撤退を促すその瞬間を聖騎士長は見逃さなかった。

一瞬の隙を突いてジョージの持つ剣を弾き飛ばす。

剣が弾き飛んだ瞬間、ジョージは鞘を取り出して応戦の構えを取ろうと動いた。


「あの世で反省しろ!」


しかし、王の御前で剣を抜いた息子を殺すことに決めていたジョージの父親は、勢いそのまま剣を振り下ろした。

自身の防御が間に合わないことを悟ったジョージが顔を苦悶に歪めた瞬間だった。


「ジョージ!!」


「な・・!」


聖騎士長とジョージの間にバートンが飛び込んだのだ。

聖騎士長の剣により、バートンは一刀両断され、即死した。

最後に「逃げて」と小さく呻くような声を上げて彼は最愛の男を守ってその命を散らしたのだった。

ただ最愛の男にこの場から逃げて欲しい一心での行動だったのだろう。

しかし、そんな彼の想いが届くことはなかった。


「く・・・ クソオヤジが! よくもバートンを!!」


最愛の男を失った悲しみと怒りに心を支配されたジョージにそんな彼の想いは届くことはなく、ジョージはバートンが持っていた剣を手に取り、自身の父親に対して復讐を敢行する。


「ヌオオオ!!」


「ハァアアア!!!」


バートンの死はジョージの中の眠れる才能を呼び起こした。

さらに、今のジョージには失うものは何もない。

そんなジョージの決死の突撃による結末は・・・。



















同士打ち。


こうして、『悪役令嬢断罪』を目的とした密会は王国聖騎士長の戦死と4人の若き男達のクーデターによって幕を閉じたのだった。












後日、アーサーは次期国王候補となり、アーサーの愛人達は流刑となったのだった。

その後、アーサーは立派な国王になるのであった。

ちなみに、アーサー王の築いたハーレムには男性に裏切られ心を病んだモネ、バネッサ、リーネという女性陣がおり、その者達はアーサー王の愛の力によって無事に母となるのであった。


THE END

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