その3 野良犬たちの不運
どうも、毎度おなじみ、ネコの翔太だよ〜。
確か、この前黒猫が一匹来たってところまで話したんだよね?
実はあの黒猫(ペロっていう名前だけど今は関係ないよ)は、少し厄介な話を持って来たんだ。
何でも、見たことない野良犬が四、五匹やって来て、ここら一帯を縄張りにするとか言ってるんだって。
それで僕が呼ばれたんだ。
え、何でそれでお前が呼ばれるんだって?
あれ、言ってなかったっけ。
僕は、このあたりに住んでるネコたちのリーダーみたいなことしてるんだよ。
ボスネコってやつだね。
ん、何でそんな似合わないことしてるんだって?
それは・・・まぁ、色々とあったんだよ。
色々と、ね。
さて、そんなこんなで今僕たち(僕とタママ君とフーちゃん、それとあの後復活したトラ吉)は、とある空き地でその野良犬たちとにらみ合っている。
うーん、話し合いで解決するつもりだったんだけどなぁ。
なんでこうなったんだろう?
先ほど交わされた会話を思い出してみる。
・・・・・・
・・・・・・
僕『ねぇ君たち、話し合いで・・・』
トラ吉『おい貴様ら、兄貴の縄張りに殴り込みとは、いい度胸だな!!』
僕『・・・・・・』
タママ『話し合いする気ゼロやな。』
野良犬A『生意気な猫野郎だな。一回死んでみるか?あぁ?』
トラ吉『なんだと!?ネコだからってなめるなよ!!』
野良犬B『ハッハッハ、威勢のいい猫じゃねえか。
そういや、てめえが言ってた兄貴ってのはどうした?』
野良犬C『怖くて逃げ出したんじゃねぇのか!?』
野良犬×5『ひゃっはっはっは!!』
タママ『めっちゃ悪者っぽい笑い方やな。』
フー『分かりやすくていいんじゃないの〜?』
トラ吉『兄貴は逃げ出したりはしないぞ!
俺の右隣にいるのが、我らが翔太兄貴だ!!』
僕『(紹介してくれなくてもいいよ〜)』
野良犬D『ひゃっはっは、そのちびが兄貴だって?
なかなか良い冗談だなぁ!』
野良犬E『けっこう強そうじゃねぇの?・・・ちびだけどよ。』
野良犬×5『ひゃっはっはっは!!』
トラ吉『兄貴をバカにするな!!』
・・・・・・
・・・・・・
そして、そのまま野良犬×5とトラ吉が口げんかを続けて今に至る、というわけ。
・・・この状況って、多分にトラ吉のせいだよね。
まぁ、どちらにせよ結果は同じだったかもしれないけど。
あーもう、何で今日に限ってこんな野良犬の相手なんか・・・』
野良犬C『なんだとちび野郎。バカにしてんのか?』
僕『あ、つい思ってることを正直に口に出しちゃった・・・』
タママ『また言ってるやんけ。』
僕『あ゛』
野良犬A〜E『マジでバカにしてんのかコラァァァァ!!!』×5
野良犬たちは、一斉に飛びかかって来た。
・・・どうやら、本気で怒らせちゃったみたいだ。
気が短いねぇ。
これは自己防衛しないと、さすがにまずいかな。
はぁ、ホントは嫌なんだけどなぁ、ケンカ。
でもこの際しょうがないよね。
さて、と。
久しぶりに本気を出すとしよう。
・・・・・・
バキッ!ドゴッ!!グシャッ!!!
・・・・・・
今僕の周りでは、野良犬×5がノビている。
フー『うっわ〜翔ちゃん、これまた派手にやったね〜。』
タママ『相変わらず、性格と実力とのギャップが激しいやつやなぁ。』
トラ吉『すごいです!さすがは翔太兄貴です!!』
三匹とも口々に好き勝手なことを言ってる。
さてと、この野良犬たちどうしようかな。
とりあえず1匹起こして・・・
トラ吉『あ、危ない!!』
ズドッ!!
うわっ!野良犬B(多分)がいきなり飛びかかってきた!
どうやら気絶したふりをしていたみたいだね。
でもみんな間一髪で避けて、怪我はないみたい。
よかったぁ。
ん?なんかフーちゃんの方から怒気のオーラが・・・
フー『あんた・・・今私のヒゲにさわったでしょ・・・』
あ、これはまずい。
どうやら野良犬B(もしかしてCかも)が、飛びかかったときにフーちゃんのヒゲに触れたみたいだね。
実はフーちゃん、ヒゲをさわられるとキレちゃうんだよ。
フーちゃんがキレると、周囲1キロが軽く消し飛ぶからね。
僕はタママとトラ吉に素早くめくばせをする。
内容は、『即時この場から離脱せよ。』
そして三匹は、最大速度でその場から逃げ去った。
・・・・・・
けっこう離れたし、もう大丈夫だよね。
途中後ろの方で火柱があがっているのが見えたような気もするけど、気にしないことにしよう。
さて、逃げる途中でタママとトラ吉ともはぐれちゃったし、もうそろそろ帰ろうかな。
なんだか今日はすっごく疲れたよ。
家に帰ったら、すぐに屋根の上で寝よっと。
智貴に見つかったりしたら大変だもんね。
それじゃ、またね〜。