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twno-baby  作者: 花*
50/65

イカサマhoney

7/14にあげたツイ連小説です

お互い好きじゃない同士が付き合うことになった中学生のお話

 

①青白い、無表情、人形みたいでコワイ…

そんな理由で小学生の頃はよく男子にいじめられていた。

それがどうだ、中学にあがったら今度は告白されるようになった。『人形みたいでカワイイ』って。どういうことだ。コワイんじゃないのか。

先導きってイジメてた奴に告白されたときはマジ目まいがした。




②時を同じくしてやたら女子から告白されてる男子もいた。

南は南で小学生の頃はチビだサルだと女子にからかわれてたのに、中学生になってぐんと背が伸びてきたらモテるようになったらしい。

いろんなところで告白されるのを見かけたけど、非常階段で告白の鉢合わせになった日には…もう…脱力した…




③それは何度目かの鉢合わせのときだった。もう慣れた…。

「南くん、付き合ってる人いないんでしょ?」

「立花、他に好きなやついるのか?」

今回のは押しが強い。なかなか引きそうにない。どうすんべと思ってたら南がとんでもないことを言い出した。

「実は俺と立花、付き合うことにしたんだ!」と。




④「ええええ!?」

3人の声が響いた。ちなみに南以外です。

「なんで立花さんまで驚いてるのよ!」

南が慌てて、

「内緒にしようって言ってたんだ!とにかくごめん!このことなるべくみんなに言いふらして!」

行こう立花、と手を引っぱる。

「ち、ちょっと!」

「話し合おう、立花」

望むところだ。




⑤「どういうことよ!」

人気のない渡り廊下で「しっ」と南は指を立て「俺たち付き合おう」と言った。

「…南、私のこと好き、じゃないよね」

「実は、うん。でも、手を組もう。カレカノいればこーゆーのから解放されると思うんだ」

「…」

こうしてお互い好きでも何でもないカップルが一組誕生した。




⑥とにかく作戦会議だ。昼休みが終わる前に、ざっと決めとこうとなった。

「付き合うって何すんだ?」

「さあ…」

「とりあえず一緒に帰るとか?」

「私は帰宅部だけど南は部活あるでしょ」

「そっか…。じゃあどうすんだ」

「さあ…」

付き合うって何やるの…。

とりあえず持ち帰り案件になった。




⑦私たちの交際?は放課後には学年中に知れ渡っていた。いい仕事するね彼ら…。

廊下でこそこそ相談している私たちを周りが見てる。すっごく見てる。

「一緒に帰らないとすると…あとはSNSのやり取りとか?」

「私スマホ持ってない」

「俺もだ」

「ダメじゃん!」

ほんと、付き合うって何やるのさ…




⑧あーでもないこーでもないと散々悩んだ結果『南の朝練がない日は一緒に登校する』となった。同じ小学校だったから家は近い。8時に角の交差点で待ち合わせればいい。

「こんなんで付き合ってるってなるのかね…」

「とりあえずはな。パフォーマンスだよ要は」

確かにその後、告白は激減したのだった。




⑨期末試験前になった。

「今日から部活ないけど、帰りどうする?」と南。

「いつもむっちゃんと帰ってるんだけど、混ざる?」

「バレないかな」

「平気じゃん?」

「一緒に勉強するんでしょ!?いいなあ、ラブラブで!」

バレなかったけど、そんな約束もしてないのに一緒に勉強することになった。




⑩デートとかどこに行くの、と聞かれた。

「ヤバい。至急デートしよう。どこ行くのとか聞かれた」

「ナイスタイミング。俺もだ」

「ところでデートって何するの?」

「またそっからか…」

結局ポケモソ観にいった。楽しかったけどむっちゃんには「中学生なのにポケモソ…?」とひかれた。いいじゃん。




⑪夏休みになった。

打ち合わせの結果、夏休みは別に学校の人間には会わないからまあ特にはいっか、ということになった。

…ヒマだな…

「むっちゃんプール行かない?」

「えー、南とデートとかしないの?」

「あ、えーと向こうは部活あるから」

「そっかあ、じゃあさみしいね!」

さみしい…のかな?




⑫新学期。そろそろいっかと一緒の登校をやめた。ら、あっという間に別れたという噂が立ちまた次から次へと告白者が現れた。

「まだダメだ。続行で」

「了解」

また一緒に登校するようになったら『何やら喧嘩してたけど仲直りしたらしい』となり、何だよ~という目で見られた。

何だよ~はこっちだよ~




⑬交際は順調だった。私たちのそれは小学生の友達関係と何ら変わりなかったからだ。一緒に学校に行き、家でゲームして、アニメ観にいき、試験前は勉強する(これは中学生っぽい)。

南の評判はママにもよかった。

「彼氏なんていうから焦っちゃったけどとっても健全ね!」

まあほぼほぼ小学生だからね…




⑭その日は観たかったアニメが公開終了してしまってて、そこで目についたホラー映画に嫌がる南をひっぱってった。

隣で「うわっ」「ぎゃっ」と小声で叫ぶ南がおかしくて、映画館を出てからニコニコそこを突っ込むと、南は顔を赤くして

「お前、あんま人前で笑わない方がいいぞ…」と言った。なんでだ。




⑮「ね、南とキスとかした?」

キャー!と他の友達が叫ぶ。

「キス…ああまあ何度か」

キャー!

間接キスだけど。私たち平気でペットボトル回し飲みするし。ほら小学生だから。

「どんなだった?やらかい?」

「固かったかな…(ペットボトルは)」

キャー!歯が当たったのね!?

もう好きに言うがよい…




⑯そんなこんなで私たちの交際は中学卒業まで続いたが、進学先も違うし、さすがに付き合いは解消して高校はお互いそこそこにやっていこう、ということになった。

「立花、色々ありがとな」

「こっちこそ」

「俺けっこ楽しかったよ…」

「うん私も…」

最後に初めて繋いだ手は、なかなか離されなかった




⑰高校に入って1ヵ月と少し、GW明けに隣町の駅で南を見かけた。彼の隣には腕を絡めた女の子。

…何だよ。

何だよ!ちゃっかりもう彼女持ちかよ!

何だよ!私は今日も一人断ってきたんだぞ!

何だよ!まだひと月半じゃん!

彼らが去っていくのを見ていたら不意に視界が滲んだ。

何だよ…何なんだよ私…




⑱「立花!」

夏休み真っ盛りの8月、最寄駅で部活帰りらしい南に声をかけられた。

「久しぶりだな!今ヒマ?なんか飲む?」

笑顔が眩しい。なんかムカつく。

「やだよ彼女に悪いもん」

「彼女?」

「見たよ私、前に女の子と仲良く歩いてるとこ。よかったねちゃんと彼女できて」

「いや俺彼女いないし」




⑲「え…」

「確かに高校入って何人か付き合ったけど」

「何人も…」

「告られるんだよ!…で、試しに付き合うんだけど2回ぐらい出かけると大抵フラれる…」

「ああ…」中身小学生のままだもんね…

「俺…やっぱ立花がいいんだけど…てか立花が好きみたいなんだけど…ホントの彼女になってくんない?」




⑳ポストに一通の招待状。

電話で聞いてはいたけれど、連名で書かれているその差出人を眺め思わず顔が綻ぶ。


「むっちゃん、これ誰の結婚式?」

テーブルに置いたそれを取り上げ同居人が聞く。

「小・中のときの友達。すごいんだよ、中1からずっと付き合ってて遂にゴールインするの!」


おしまい









ちなみに毎月14日はツイノベデー

今月のお題は【偽】でした

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