表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
twno-baby  作者: 花*
3/65

2014.12

 

2014.12.02 

甘い甘いミルクティー。前の彼女が好きだった。

はい、と出されたそれについそんな思い出を引っ張り出してしまって飲むのを躊躇っていると『飲め』という無言の圧力。一口含むと甘い中にピリッとした辛みが。「生姜入りなの!身体にいいからね!」見事に思い出が上書きされた。



2014.12.14

いつもは一緒にお風呂なんて絶対おことわり。でも私の部屋でなら入っていいときもあるの。「珍しいな」と言いつつも満更じゃなさそうな彼を追いたて、二人で湯舟にぽちゃん。そこではっとした彼。「…お前、お湯の嵩増しに俺を使ってるな?」だって水道代ばかにならないんだもん!



2014.12.14

これクリプレ!と彼女が出したそれは手編みの…

「鍋つかみ?」

「ミトンじゃボケ!」

20越えた男が使うにはどうよ、と思うが「初心者にはそれが限度。それにほら!私もお揃いなの」と赤いそれを笑顔で見せられたらもう観念するしかない。

来年の編み物技術の上達を祈る。



2014.12.14

編み物技術の上達した彼女は翌年は五本指の手袋をくれて、初代手袋は無事鍋つかみの職に就いた。しかし翌々年イニシャルと「LOVE」の文字入りマフラー&セーターを寄越されて途方にくれる。何オレ愛情試されてるの?とりあえず会社の忘年会で使ってウケをとっている。



2014.12.14

するするほどかれていく毛糸。グレーの手袋、赤のそれ。結局あまり使わなかったマフラーとセーターも。するするするする、あっという間に形を無くしていく。

「結構高い毛糸だったし傷んでないし。いっぱいできそう」

ふわりと笑う彼女の手には小さな小さな手編みの靴下と帽子。



2014.12.22

「ほら買ってきたぞ、ゆずシャーベットとパンプキンタルト。今日は冬至だからな!」

「え?」

「かぼちゃモンブランの方がよかった?」

「違うようで合ってるようで、やっぱり違う!」

「えー」

「買い直してきて!そのまんまの南瓜と柚子!」


「買ってきたぞ、そのままの南瓜と柚子。まったく我儘だなあ」

「なんか納得いかないその言われ方」

「とにかくおれ風呂洗ってくるよ」

「あれ?南瓜がない。煮物にしようと思ったのに」

「え?湯船にいれたけど」

「南瓜を!?」

「うん」

「買い直してきて!」


「南瓜買ってきたぞ」

「ご苦労」

「しかし南瓜南瓜ってなんだかハロウィンみたいだなー」

「全然違うし。あと柚子の存在忘れないで」

「でも、よく考えたらおれ南瓜って胸やけ起こすし、あと柑橘類アレルギーだったわ」

「もう冬至に会うのはやめよう」



2014.12.24

「早く寝ないとサンタさんが来ないよー」そう言って私を寝かせようとするけれど。いやでもさ、27歳にはサンタさん来ないと思うよ。「来るって。去年も一昨年も来ただろ?」いや来たけどさ。確かに来たけど。いい加減普通に手渡ししてくれないかな、クリスマスプレゼント。



2014.12.24

今年のサンタさんからのプレゼントは開けてびっくり指輪だった。「どういうことだろう?」彼に訊くと「サンタさんからのプロポーズじゃない?」「サンタさんのお嫁さんになってもいいの?」「キミのサンタはキミ専属だから安心してお嫁にいっていいよ」てことは私には一生サンタがやってくるのか。



2014.12.26

1枚1枚、手描きの年賀状。

水彩で描くそれ、いつも一番いい出来なのを彼に出していた。

初めて彼の部屋に入ったとき、何年もの分のそれが壁に飾ってあって。

「来年からも送ってくれる?住所同じになっちゃうけど」

では、今後も一番いい出来のを送ります、これから一生。



2014.12.28

「ついてるよ」彼の指が伸びた。

ほっぺにご飯粒なんて、わわわ私はなんてベタなことを…!

ドラマや漫画みたくそのまま彼が食べるってことはないだろうと思ってはいた。

けれど、まさかそのままご飯粒を私の口に持ってくるとは思わなかったです…!

これは食べるべきなの?



2014.12.31

コンビニでひとつ買ったそれにお湯を入れる。大晦日の夜に神社脇で一杯のそばを二人で食べるのは思いの外楽しかった。お互いに啜っていたらくんと引っ張られ、見ると一本の蕎麦の両端を私と彼が咥えている。彼はそのままするすると食べてきてチュッとキスをした。「来年もヨロシク」



2014.12.31

リンゴォン。海辺の教会のベルを聴きながら真っ白のドレスを着た私は彼とともにフラワーシャワーを浴びる。ああ幸せ。ずっと片思いだったのに、これは夢じゃないかしら。

「…おい起きろ!ほら初詣いくぞ!」

足で蹴られて起きる。あ、アノ音は煩悩を払う方のでしたか。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ