2016.4
今回真ん中あたりに挿絵あります
別れよう>
<わかった
え、嘘だよ今日4/1じゃん>
<4/1は昨日。今日2日
何言ってんの1日だよ俺のスマホも時計も1日だよ>
<私のスマホも時計も2日ですけど。とにかく了承しました
何かわからんがヤバい!超焦って彼女の元へ走る。
「ハイ4月ばか~」やられた。
2016年4月1日 11:46
最初は中1のときだ。「すき」と言われ、困ってたら「うそだよ」と笑われた。マジ頭にきた。その次の年もやられた。次の次の年はもうひっかからなかった。そして。
「留学先からまで電話してくんなよ!」
すっかり恒例である。
でも時差でこっちは2日なんだけど。わかってんのかな
2016年4月1日 11:55
春休みが誕生日なんて大抵みんなに忘れられてる。学年の変わり目だから何かリセットされちゃうし、夏休みや冬休みが誕生日の子より絶対損してる!
って思ってたんだけど。
「お前いい時期に生まれたよなあ」
彼と桜を見上げながらビールを煽る。
うん、いい季節に生まれたよ、私。
2016年4月4日 18:10
前髪を切りすぎた。学校でみんなに大笑いされた。
「見慣れてないからだよ!ずーっと見てれば見慣れる!」
と一番笑った奴の顔をぐいっと捉え視線をばっちり合わせる。
じーっと見つめ合ううちに彼が段々顔を赤くした。
「げ、ゲシュタルト崩壊…」
違う!そこは可愛いって言え!
2016年4月7日 01:09
4月。始業式。緊張のクラス替え。
彼の名前を必死に探す。
──1組かあ。
そうして自分の教室へ入ろうとして。
「あっ自分のクラス見るの忘れた!」
友達に爆笑されて慌てて掲示板に戻ろうとしたら当の彼が
「お前も1組だったよ」
「あ、ありがと…」
ん?何で知ってるの?
2016年4月7日 01:10
一回り大きい制服の新入生たちが校門をくぐる。
その中で一際ぶっかぶかの制服を着た男の子。私は笑って「入学おめでとう」とその胸にリボンを付けた。
「こんな巨大化するとはね…」
「俺あのとき足だけは26cmだったから」
桜散る中、真新しい制服の子を二人で懐かしく見る
2016年4月7日 21:26
新入社員の歓迎会。実はザルなんだが無理矢理飲まされるのが嫌で下戸を装った。隣では1期上の彼女がどんどん酒を注がれている。でもこの人顔真っ赤なんだけど。
そっとコップを入れ替え、代わりに飲み干す。彼女が目を瞠った。「この件は内密で」それから彼女とは秘密の関係である。
2016年4月8日 21:47
中学に入学して2日め。朝読書用の本を持ってくるよう担任に言われ、気に入りの冒険ものを持っていった。そしたら周りはみんな文庫本。B6サイズのそれがすごく恥ずかしく感じた。
そんな気持ちを吹き飛ばしたのは。
「私もそれ読んでる!面白いよね!」
弾ける彼女の笑顔だった。
2016年4月9日 21:02
春の陽気にのんびりと自転車をこいでいたら同じ制服の男子の自転車に抜かされた。何かムッときて抜かし返した。また抜かされた。そのうちデッドヒート。学校の駐輪場に先に滑り込んだのは向こうだった。
「次は勝つ!」「勝ちは譲らん!」
『危険運転』と職員室で二人怒られた。
2016年4月11日 08:13
「パパのネクタイ結んであげられるようになりたいな」
小学校卒業間近の娘がそんな可愛いことを言うのでみっちり仕込んだ。朝、娘にネクタイを結んでもらう俺。幸せだー!
…なんて思ってたら中学に入学した娘が隣の家のクソガキのネクタイを結んでるのを目撃。え、どういうこと?
2016年4月13日 22:38
初めまして。いつも彼からあなたの話は聞いてるよ。可愛い妹なんだって。これから仲良くなれたら嬉しいな。
そういってその女は私の頭をなでたけど、私は仲良くする気はない。こいつのせいで最近外泊も増えて一緒に寝てくれないのに。
「フギーッ」
「きゃっ」
「こらっミーコ!」
2016年4月14日 14:44
彼が私に優しいのは顧客だからかもしれない。というか顧客だからだろう。気安いやり取り、仕事の愚痴もにこにこ聞いてくれて、勘違いしてしまう。だから行くのをやめた。繋がりを断ち切った。
それからのちに。
伝手を駆使した合コンで、私は彼ににこりと笑う。
「はじめまして」
2016年4月15日 00:04
※毎月14日はツイノベデー。今回のテーマは「はじめまして」
おじいちゃんちの庭は草木がぼうぼう。でもおじいちゃんいわく「ちゃんと考えたぼうぼう」なんだって。季節によって実がなったりする。わたしはきれいな庭よりもこの庭が大好き。
あれから家は建て替えられ庭はコンクリになった。
けどその隙間からのぞく小さな花が、私を迎えるのだ
2016年4月15日 08:33
「よぅし契約とった!今日焼肉行くぞ!」
「部長すみません私肉ダメなんで」
「そ、そうだったな。よし寿司だ寿司!」
「部長すんません俺生魚ダメっす」
「そうだったな!くそ何でお前ら付き合ってんだよ!」
「食の嗜好の一致です」
「どこが!」
「シチューをご飯にかける」
2016年4月17日 08:14
「あーちゃん一緒に寝よう」
「きょうはくまモンといっしょにねるからダメー」
2016年4月18日 20:39
「くまモン…?」
「好奇心旺盛でやんちゃ好き、3月12日生まれの九州男児だよ」
「男か…!男なのか!」
「さかな検定3級、将棋アマチュア初段らしいよ」
「さかな検定は何に役立つのか」
「れっきとした公務員だよ」
「……安定してるっ…!」
2016年4月18日 20:42
たっくんママはおさいほうがにがて。だからママがたっくんのてさげやずきんをぬってあげた。わたしといろちがいのおそろい。
そしたらクラスのだんしが「ふうふ!ふうふ!」っていうんだけど。
「ふうふってなに?」たっくんにきいたら「なかよしってことでしょ」
ならあってるね。
2016年4月21日 17:23
彼女はサークルの紅一点で、誰もが天真爛漫な彼女を好きだった。何人かは告白もした筈。だが一人破れ二人破れそのうちみんな家庭を持ち俺と彼女だけが残った。
「残り者同士で結婚する?」
この上ない最低なプロポーズに彼女は泣き笑いで頷いた。ずっと待ってたのという言葉と共に。
2016年4月24日 21:08
おじいちゃんとおばあちゃんはいつも喧嘩してる。
『食事中におならした』
『とっておいた大福食べた』
『気に入ってたくったくたのシャツを捨てた』
『都合の悪いときだけ耳が遠いふりをする』
先日の喧嘩の理由は。
『社交ダンスで他の女性と踊った!』
仲のよろしいことで。
2016年4月24日 21:17
とにかく活発でよく笑いよく喋る。そんな彼女をいい子だとは思ってたけどそれだけだったから。だから告白されたときも断ってしまったのだが、まさかあんなすんなりと引き下がるとは。ぽろぽろ泣いて忘れてくださいと言ってそれから本当に普段通り。
最近彼女のことばかり考えている。
2016年4月26日 23:47
天パだからあだ名は『モジャ』。小さい頃からずっと彼をそう呼んでたけどさすがに高校生になって、付き合うようになって、そうは呼び辛くなった。結婚して更に。名前?ムリムリ。ねえ、とかちょっと、とか不便。
─でもその不便を遂に解消できる日がきました!
「頑張ってねパパ!」
2016年4月28日 17:23