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twno-baby  作者: 花*
18/65

2016.3

 

彼がうちに遊びに来て、私の部屋の雛人形を見て驚いた。「ほんとに飾るんだ」と。そういえば彼は男ばかりの三兄弟。確かに縁はなかろう。

部屋で彼は何か落ち着きがない。私が席を外すのを嫌がる。

一瞬桃色な考えが浮かんだけど…彼の視線でわかった。


お前人形が怖いんだな!?

2016年3月3日 19:09




彼とのデートの帰り道。

「今日帰ったらお雛様片づけなきゃ」

「何で」

「片づけないと嫁き遅れるっていうでしょ」

「何で」

「いや…何でって…」

「あー。要件が終わってすぐに撤収できないだらしない女じゃ嫁に行けないってことなんだな成程」

理系オトコに風習は通じない。

2016年3月3日 21:54




「私の所為よ…つい面倒でいつも3月に入ってから出して仕舞うのは月末で…だから30過ぎてもあんたお嫁に行けないのよ!」

いやいやお母さん大丈夫。お嫁には行きますよ。ずっと断ってたけど絆されちゃって。今度連れてくるけど驚かないでね。

彼、10歳年下だけど。

2016年3月3日 22:10




やっぱそうだ。真っ黒な髪を梳きながら話しかける。

「三小で図工の先生してましたよね?」

鏡越しに目が合う。

「俺教え子です」「え」

先生全然変わってねえ。30代だよな。

よく工作ほめてもらったっけ。初恋だったんだよなあ

…つーわけでロックオン。

「次から絶対俺指名してくださいね」

2016年3月3日 22:12


※ひとつ前のやつの馴れ初め編




通勤電車で会う彼は、毎朝スマホも見ず文庫本を読んでいる。今読んでいるのをさり気にチェック。うん、昼休みに本屋さんへ行ってこよう。

そうして私は買ったそれにブックカバーをつけてこっそり一緒に読む。我ながら気持ち悪い。でも恋する乙女なんか、みんな気持ち悪いものなのだ。

2016年3月6日 23:54




月曜日。天気は雨。

…万歳!

また一週間が始まる憂鬱な月曜日も、彼に恋してからは土日はとばしたいほど。

そして雨だと彼が同じバスを利用する。誰より早く「おはよう」と言葉を交わせる。

髪がどうにもまとまらないけど、気にしない!

お気に入りの傘をさして、いざバス停へ。

2016年3月7日 10:07




約束の時間まであと1時間。待ちきれず来てしまった。待ち合わせの場所から少しだけ離れた場所でメッセージを送る。

『寝坊したw』『ヲイw』『2時間遅れるw』『ざけんなw』

なんてやってたら最後に

『前見てみ?』

「え?」

道路挟んだ向かい側に、彼。約束まであと45分。

2016年3月9日 23:41




「小さい頃に人工知能のチップ入れられたんだ」

額の小さな傷のことを訊かれそう答えた。

我ながらつまんないこと言ったな、と思ってたら彼女は興奮気味に

「だから頭よくって運動できて顔もいいんだ!」

「…顔?」人工知能で?

──うん、彼女のこういう所が好きだったりする。

2016年3月14日 21:07


※毎月14日はツイノベデー。今月のお題は「人工知能」でした。

このふたり、先月のツイノベデーのふたり、でもいいかな。




「ミー?」鈴の音がして僕は振り返った。そこには学童で一緒の女の子。うちの猫がここにいるわけない。

あの子が動く度にちりんと鳴る。首に下げてる鍵に小さな鈴がついてるのだ。鳴る度にミーを思い出す。ちりん。


ちりん。いつからかミーの鈴であの子を思い出すようになっていた。

2016年3月16日 21:40




「パパのお小遣い減額します」

「えっ」

「あーちゃんが習い事したいって」

「えいごとピアノとスイミングとバレエとたいそう!」

「何その数」

「えいごはコウくんといってピアノはゆめちゃんとであとは」

「二つとかじゃダメなの…」

「やだ!ぜんぶ!ぜんぶやるの!うわあん!」

2016年3月18日 20:57


※結局ママがいちいち送り迎えイヤになって最終的にピアノとスイミングのみ。

「でも減額」




卒業式。彼にネクタイをくれとお願いした。

「おおお弟が。使うから」

架空の弟を思い浮かべる。何つー言い訳だ。

「いいよ。じゃ俺にもリボンくれ。妹が使うから」

「えっそうなんだ。いいよいいよ、はい」

そうしてにこやかに交換した。


のちに、彼にも妹はいないことを知る。

2016年3月19日 22:39


↓オマケ


息子が卒業式で好きな女の子にネクタイをあげてしまったらしい。3つ下の弟に使うとあれほど言っておいたのに。

しかし女子のリボンを手にニヤついてるのを見ると、まいっか、とも思う。

そして弟に言った。

「あんたあのリボンして中学通いなさい」

「ヤダよ!」「ダメだ!」

兄弟の声が響いた。

2016年3月19日 23:02




「悲しいお知らせです。あーちゃんお熱出ました」

「ええっまさか先週の俺のインフルA感染った!?」

「氏ね」

「うわあああーちゃんごめん!俺が看病する!」#あーちゃん

「検査の結果あーちゃんインフルBでした」

「えっ」

「どこからもらってきたのかなー」

「あれ?俺なんか悪寒が…」

2016年3月24日 16:43


※【悲報】パパ1か月の間にインフルAとBに罹患




告白もできないまま先輩は卒業した。

後ろ姿を見送りながら泣く私に彼が「ほれ」とハンカチを差し出す。有難く拝借したけど、でもこれ全然涙吸わないんだけど。やけに綺麗だし。

どうやら絶対泣くであろう私のために、昨日新品3枚も買ったらしい。

悲しい可笑しい温かい。春だ。

2016年3月27日 08:34




送別会はお開き。春の夜を酔っ払いたちは賑やかに歩き、元気でなーと各々の帰路へ一人二人別れていく。

そうして残った彼と私。暫しの沈黙後、近づく顔に。

「あの私、キスとかしたら好きになっちゃうと思うんだけど?」

「別にいいと思うけど?」

いいのか。と私はそれを受けた。

2016年3月28日 22:17







先月、実は投稿してから2/29のお話をひとつ追加しております。未読でしたらお手数ですがひとつ前の一番最後をごらんください

(朝7時の予約投稿を少し考えるべきでしょうかね…)


あと、久しぶりにweb拍手も設置しました!感想などお気軽にどうぞ


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