2016.1
山で初日の出見るぞ、と起こされたのは4時。
支度したらそれじゃ寒いとさらに1枚着せられた。
もっこもこで登ってたらほっかほかになって、きっらきらの星に感動してぽっつぽつとそれが消えていったら。
ぴっかぴかのご来光にお祈りする。今年もらっぶらぶでいられますように。
2016年1月1日 12:17
「パパあけましておめれとうございます」
「あけましておめでとうあーちゃん」
「ことしもよろしくおねがいします」
「はいよろしくお願いします。じゃあこれお年玉」
「わぁいありがとう!あ、あとママのぶんもちょうだい!」
「ん?」
「ママにあげるおとしだまもちょうだい!」
2016年1月2日 21:07
「ふー、実家もいいけどやっぱ我が家だな」
「そうだねー。あ、ちょっと私のかばんからスマホ取って」
「はいよ。…ん?お年玉袋ふたつあるけど。あーちゃん親父の他に誰かにもらったっけ?」
「ああ、それひとつは私がお義父さんにもらったお年玉」
「ん?」
「私がお義父さんにもらったお年玉」
2016年1月2日 21:07
「お餅焼くねー」
「俺3個」
「え」
「え?多い?」
「お餅って歳の数だけ食べるんじゃないの」
「それ来月や…」
一体どんな環境で育って…あー彼女にはラグビーやってる(た)兄貴が4人いたっけ。
「明日うちに行ったら絶対食べさせられるよ」
俺無事に結婚できるかな…。
2016年1月2日 22:38
机に新聞紙をめいっぱい広げて筆を持つ。書初めの宿題、お題は『夢の実現』。
夢かあ、今のところ将来なりたいのは保育士さんだけど…
練習用の紙に『夢の実現』と書いてから、ふと思い立って名前の部分を彼の苗字で書いてみる。書いてから一人照れた。まあ、これも、夢のひとつ。
2016年1月4日 21:12
子供が筆と格闘している。宿題の書初め、お題は「ゆめ」らしい。
何とか1枚仕上げたところで「ママも何か書いてみて」と筆を渡された。
「ママ自分の名前ばっか書いてる。でもうまい」
「子供の頃からいつも書いてたからね」
しかも旧姓じゃなく今の苗字でね。年季入ってんのよ。
2016年1月4日 21:13
辞書を借りに来たら妹は部屋に居らず机には書き損じの半紙。ああ書初めか。ふと署名に目を留める。誰。あ、妹か。これきっと好きな男の苗字だな。
何となく自分も現在片思いの彼女の苗字に自分の名前を合わせてみる。あ、いいかも。男だってアリだ。婿に行く可能性もあるんだからさ。
2016年1月4日 22:45
「今日は七草粥だよー」
「へえ」
「めしあがれ!」
「…若干ニオイとあと後味に何かスーッと」
「七種類の葉っぱっぽい野菜入れればいいんでしょ?」
「何入れたか言ってみろ」
「キャベツ、白菜、ほうれん草、ワカメ、ニラ、セロリ、ミント!」
「前半はまだよかったのにな」
2016年1月7日 19:27
放課後の美術室で二人、うちの一人はいつも通りミュージックプレイヤーで音楽を聴いている。一体何しにきてんだか。
こっちは絵を描きながらいつも文句を言うけどどうせ聴こえてない。ふと思い立って「でも好きだけど」と呟く。どうせ聴こえてない、─筈なのに彼の耳が赤くなった。
2016年1月9日 00:02
①好きですって告白して②付き合って下さいって申し込んで③一緒に帰ったり出かけたりするようになって④手を繋ぐようになって。
さあお次は?
⑤ミュージックプレイヤーに繋がれているひとつのイヤホンを顔を寄せてふたりで分ける。
来たる日に向け顔を近づける練習をしておくのだ
2016年1月9日 00:14
※1/8はイヤホンの日だそうです
成人式の今日、高校の友達と会場に赴き、中学の友達と式に参加、大学の友達と食事して、小学校の友達と飲み明かす。
朝日を浴びながら解散したけど横にはまだ1人残ってた。小中高大全部一緒の奴。当然のような顔をして私の隣にいる奴。
なんで?
察しろ。
すっかり目で話せる、成人のわたしたち。
2016年1月11日 22:17
成人式の夜の飲み会は同窓会のようなものだ。初恋の彼が私の隣に座り「久しぶり」とビールを注ぐ。やだ酔わされちゃう?と満更でもなく思ったけどなぜか彼は手酌でどんどん酒をあおり…
結果私の部屋に運び込み彼は「作戦成功…」と呟いたけどオイ、その有様じゃ何もできないからな!
2016年1月11日 22:35
『1月往ぬ2月逃げる3月去ると言い、3学期は瞬く間に過ぎていきます。皆さん目標を持ち…』始業式で校長が色々言ってる。
「じゃ4月は何よ」という友達に「4月セマる5月オトす6月結婚する」と言ったら後ろから「黙れ」と頭を叩かれた。
もう。卒業したら先生、覚悟してよね!
2016年1月14日 21:13
※毎月14日はツイノベデー。今月のお題は「去る」でした
「おはよ…、って来てるのお前だけ?まあこの雪じゃなー」
「みんな1,2時間遅れるって連絡あった」
「お前早いじゃん。俺は徒歩範囲だからあれだけど」
「見越して2時間前に家出てきた」
「偉すぎるな…」
偉くなんかない。下心満載なの。
みんなが来るまで、ふたりきり。
2016年1月18日 08:15
「ただいまー」
「パパ!おそとのゆきだるまみた?」
「うん、車の前のね」
「あーちゃんとママでつくったんだよ!」
「車の前にね…」
「でっかいでしょ!」
「そうだね…」
「とけるまでこわさないでね!」
「パパ明日車使いたいんだけど…」
「ぜっっったいこわさないでね!」
2016年1月18日 20:27
↓
翌日パパが徒歩で出かけたあと
「あーちゃん、ママと車でお買い物行こう?ボールプールとかすべり台とかもあるよ」
「いく!!」
「車出すから雪だるまこわすね」
「うん!!あーちゃんもいっしょにこわす!」
──パパ帰宅
「あの…雪だるま影もカタチもなくなってるけど…?」
2016年1月18日 20:28
↓
「雪だるま融けたんじゃないかな」
2016年1月18日 20:29
「カレーうまかった」
「ちょっとー!5分で完食しないでよ!」
「あ?」
「そのカレーは鶏肉にスパイス揉み込んで焼いたのを赤ワインとトマトとリンゴジャムと一緒に煮込んでそこにニンニクと生姜入れた炒め玉葱に牛乳とヨーグルトとスパイス入れたペーストを投入してああ文字数!」
2016年1月22日 20:29
※1/22はカレーの日
ガリガリガリ。通学途中の道で雪かきしてるおねーさん。ちょっと好み。近所にこんな人いたっけ。
*
帰ってきたらまだ雪かいてた。てかここの一角全部やってんの!?思わず訊いたら「この辺お年寄りばっかだからねー」と笑う。
ちょっと待ってて!直ぐに家帰って俺も雪かき持ってくる!
2016年1月22日 23:00
彼が出てくるのを待つ。大寒波が襲来というが私の内面はホット。アルコールで勢いもつけた。今日こそは言う。
「付き合ってくださいっ」
*
大人しいと思ってたからあのときは吃驚したなと彼が笑う。だから実はお酒の力を借りたの、と種明かし。
「何飲んだの」
「甘酒」
「……」
2016年1月23日 23:32
駅前のコンビニでケーキをひとつ買った。
帰り道でとある一軒家から微かに聴こえてきたのはハッピーバースデーのピアノと歌声。今日は家族の誰かが誕生日なのかな。
おめでとう、パパか、ママか、誰々ちゃん。──そして、私。
何となく得した気分になりながら、帰り道を歩く。
2016年1月25日 20:22
※1/25アニバーサリーの家族と知人と書き手仲間さまへ
こちらでおなじみのあーちゃんですが冬の童話祭に参加しております
「あーちゃんはパパがきらい」←タイトルオチ
ちょっと大きくなった5~6歳のあーちゃんのお話です。未読でお時間あるかたはどうぞ。(純粋に童話です!)