2015.8
2015.8.2
彼女は音声案内に返事をする癖がある。
『お風呂が沸きました』「はいはーい」
『この交差点を右です』「はーい右ー」
『白線の内側までお下がりください』「はいバックバック」
僕は寝てる彼女に近づき耳元で囁く。
「結婚してください」「…はーい…」
よし、言質はとった。
2015.8.7
雨の日のデートで、遊園地に連れ出された。えー、と思ったけれど屋内のアトラクションもあるので結構楽しい。
最後に観覧車に乗ろうと彼が言う。さすがにそれは。
「何も見えないよ?」
「それがいいんだよ」
デートの〆はお互いだけを見ながらの、雨粒と空中散歩でございます。
2015.8.8
私は昔から生傷が絶えない。小さい傷は日課もの、階段から落ちて捻挫、ハードルに躓いて骨折。一番古い傷は幼なじみの彼に幼稚園のとき投げつけられた石の傷ですかね。人をキズモノにして!責任取れ! 「喜んで取るけど?」 傷物どころか宝物だけどね、と言われて私はどうすれば。
2015.8.13
バニラアイスが大好きな私。市販のものは1個の量が多いから食べるのはカップか最中、それをいつも彼と半分こで食べるのだ。
次々に新しいのを開け半分食べる。冷凍庫の中に半分残ったアイスが増える。
早く帰ってきて。アイスが溜まってるよ。
帰省中の彼にメッセージを送った。
※オマケ
「6個入りの箱とか買えばいいのに。量少ないから」
「半分こじゃないと食べた気がしない」
「意味がわからない」
2015.8.13
徐々に赤く熟れてきた家庭菜園のトマト。満足そうに彼が眺めてる。
肥料をあげて、わき芽を摘んで、早朝に水やりして、勿体ないけど後から出てきた小さな実を摘んで。そうして出来た赤い宝石。
「よし、いい出来だ!ほら食え!お前の好物だろ!」
でも彼はトマト嫌いなんだよね。
※オマケ
「赤い宝石っつったらお前、アレだろう」
「いちご?」
「違う」
「さくらんぼ?」
「違う」
「ザクロ?」
「違う」
「じゃあ何」
「イクラだ!!!!」
2015.8.14
「結婚指輪これがいいな。二人の愛は無限大って意味だって」
「無限大?」
「ほらカタチが∞」
「え?ちょっと形違う気がするし本来無限大の意味は1つの変数Xがどんな正の数Kを指定しても必ずそれより大きい値を取」
「これください」
理系男にこういう話はふってはいけない。
※恒例毎月14日はツイノベの日ってことで、今月のお題は「無限大」
2015.8.17
「ただいまー、あれママ髪切った?」
「タモリさんか」
「パパあーちゃんもみて!ままとびよーいん!」
「ん?」
「くるまにのってでーぶいみながらちょっきんした!」
「え、どこ切ったの?」
「全体を1cm」
「…いくら?」
「キッズカット3200円」
「(゜Д゜)」
※パパは9Bハウスで1000円也
2015.8.17
35℃超えの猛暑日、受け取ったそばから溶け出すアイスクリーム。私と彼は会話もせずひたすら食すのみ。
彼は甘いものが好き。女子か。
あと食べるのが遅い。女子か。
それから…ああほら、溶けてアスファルトに落ちた!
「はは。アリさんたちにお裾分けだ」
…夢見る少女か!
2015.8.19
昔振った男が夢に出てきた。相変わらず私を好きで、相変わらず優しかった。たまに夢に見る。最後は決まって背中を向け去ってゆく彼。待って、私のこと諦めないで、ごめん、素直になるから。
隣から伸びた手に起こされる。
「どうしたの」
彼は相変わらず私を好きで、そして優しい。
2015.8.30
ミーンミンミンミーン。ミーンミンミンミーン。
扇風機の前に陣取りながら「うるさーい!」と怒鳴る彼女。
でもわかってる。段々夏が終わりに近づくと寂しくなることを。
でも大丈夫、秋になれば今度は夜に虫が鳴くし、僕がベッドでくっつく。
まだまだ賑やかで、暑苦しいよ。
2015.8.31
「な、夏が終わっちゃう!」
待ってよ、まだ彼と花火(※手持ち)もしてないし、スイカも割ってない、流れるプールに夏祭りに…まだいかないで、夏!!
そんな私の心知らず彼は。
「秋かあ。読書(※漫画)にスポーツに紅葉に梨に焼き芋だな!」
…。
いいかも。カモン秋!