物体Mを見つけてしまった。
『もしも』な童話&昔話シリーズ第二弾。
息抜きに更新するつもりなので、不定期・亀更新になります。
ただ完結は必ずさせますので。
良ければ見て下さい。
「いやいやいやいや…………え?」
思わずつっこむくらいには、それは衝撃的だった。
どこか優しさを感じさせる丸い形。
ほんのり温かさを感じさせるような色。
ただいつものように川に洗濯をしに来た私の目にまさかの物体が飛び込んできた。
「大きい……桃……」
それはそれは大きい桃だった。
その桃はちょうど赤ん坊が一人入れるくらいの大きさだ。
「……………………」
私の頭の中で前の記憶が流れる。
『昔々ある所にお爺さんとお婆さんがおりました。
ある日、お爺さんは山へ芝刈りに、お婆さんは川に選択をしに行きました。
お婆さんが川で洗濯をしていると、川に大きな桃がどんぶらこ、どんぶらこ、と流れてきました。
お婆さんが
「なんと大きな桃じゃ。持って帰っ(以下略)』
……現状を改めて整理しよう。
私は川に洗濯をしに来た。いつも通り。
そうしたら大きな桃が川で流れているのを発見した。
川に洗濯をしに来た『私』。
つまり。
十六歳、独身、一人暮らし(両親とは死別)、女 である『私』である。
決して、けっっして、『お婆さん』などと呼ばれる年齢ではない。
「これはあれだな。きっとこの川の下流にはあのお婆さんがいるんだ。私はなんというか……バグ、みたいな……。まあ、とにかく私はアレを見なかった。うん、そういうことにして帰ろう」
ちょうど洗濯も終わったし。
私は服を抱え、川に背を向けて歩き出した。
しかし、散歩進んだところで足を止める。
(でも、もし下流にお婆さんがいなかったら?あの中には『桃太郎』がいるのかもしれないんでしょ?もしかして私、今赤ちゃんを見殺しにしようとしてるんじゃ?)
……。
………………。
…………………………………………………………。
「……あぁっもう!」
結局私はその大きな桃を持って帰ることにしたのだった。
(まだ中に桃太郎がいるって決まったわけじゃないし!もしかしたら本当にただ大きいだけの桃かもしんないし!!……つーか、重いなコレ!)
読んでくださりありがとうございました。