教室で
五月雨みきり。生徒会長。人望がある。成績優秀。
教師からの期待も高い。頭の回転が早い。
ちなみに。
友達という友達は一人もいない。教室では孤立。
里釘は自分の教室に入った。
授業中であった。里釘が自分の席についた瞬間、黒板に向いていた他の生徒の視線が一斉に里釘に注目する。一斉に見られるのは気持ち悪い光景だった。
「おい、里釘。また授業サボりか。受験受からないぞ。もう中3なんだ。少しは危機感を持ちなさい」
そう言うのは里釘の担任であり国語の教師。道匙先生だ。いちいち口煩く喧しいが良い先生ではある。勿論、里釘の死にたがりは知っている。が道匙曰く「人生は自分が思うようには動かない。沢山の壁や山、谷を乗り越えて生きていかなければならない。人生が自分の思うようにいかないからと死のうとする必要はない」と。しかしこの言葉は里釘の心にはちっとも響かない。
「所詮、ただの綺麗事だ」里釘はそう言う。
道匙から捨てられた。お前などどうとでもなれと言わんばかりに。
里釘は配られていた漢字プリントを裏返しシャーペンで何かを描き始める。
教室中が静か。先生も生徒も里釘に注目していた。
絵を描き続ける里釘をじっと静かに凝視。
何か汚物を見るような目で。
血。腕。足。腹。頭。胸。切断。笑。涙。女の子。
が、描かれた乱雑な絵。乱雑な部分が気味が悪く感じる。絵を描き終えて里釘はすぐ教室をでた。里釘は一応美術部に所属していた。理由は絵を描くのが好きだから。だからといって特別に上手いわけでもなく、部活中も一言も発さずに黙々と切断や血、涙、無駄に生えた手足。と言った、気味が悪い絵を。勿論、皆からは嫌われるし、挙げ句の果て、追い出された。
里釘が向かったのは、屋上。紛れもなく屋上。
屋上にはまだあの生徒会長、五月雨みきりがいた。
2人は目が合う。
その瞬間2人は思った。
「絶対に死んでやる」
「必ず里釘くんを助ける」
終業のチャイムが鳴り響いた。