屋上での。
五月雨は全て解りきったように里釘に言う。
「君は自殺しようとしてたよね、嘘ばっかり吐いてさ」
「はぁ!?違うし、だから、高所恐怖症の克服の為にだなぁ…」
「僕は一時間程君の様子をずっと見ていたんだけど、間違いなく自殺だよ」
五月雨は続けて言う。
「僕も一応生徒会長だ。生徒が困ってるならどうにかしてやりたいと思ってる」
里釘は五月雨の言葉を聞き溜め息を吐き、鼻で笑った。そして口を開く。
「じゃあ、会長さん。お前は生徒会長という立場じゃなかったら生徒を助けない。どうにかしたいと思ってるがどうにもできない人間だろ?」
五月雨は黙る。少し黙って大声で言った。
「違う!僕は口だけの男じゃない!」
その言葉に対して里釘は思った。
「お前はどこからどう見ても口だけじゃないだろ」と。勿論口に出すことは無かったが。
五月雨が優しい口調で言う。
「自殺しようとしてたのは事実だね」
里釘は吹っ切れたように言った。
「そうさ、そうだよ!自殺しようとしたさ。俺は疲れた辛い痛い!こんな世の中を生きるくらいならば死んだ方がマシだ!もうほっとけよ…大体初対面で馴れ馴れしいんだよ!俺に関わるな!干渉するな!迷惑なんだよ!勝手に死なせてくれよ!」
里釘の言葉に五月雨は冷たく返す。
「死にたいならさっさと死ね。死ぬ勇気も無いクセに」
里釘は舌打ちをする。
「あー、煩い!そんな死ね死ね言いやがって…死にたくても死ねない苦しさがお前にわかるか!?」
「分からないね、僕は生きたがりだからお前みたいに死にたい死にたい言ってる死にたがりのことなんかわかんねぇよ!」
五月雨は続けて言う。
「何かあるのなら僕に相談しろよ!のってやらないことはないから」
里釘は嫌味の如く言う。
「はぁ?それも生徒会長だからとかか?イメージアップか?死にたがりを救いました。ってか?そりゃー救えたら凄いさ!」
「俺は救われない!」
里釘は断言する。救われない。と。
「不幸のヒロイン気取りかよ」
五月雨は言った。
里釘はすぐさま言い返す。
「俺は男だ!ヒロインじゃねぇよ!」
それにまたも五月雨が言い返す。
「不幸気取ってるのは変わらないだろ!」
里釘は手首を握り締めて言った。今すぐにでも死んでやると言う風に。
「不幸気取ってるんじゃない!実際に不幸だ!家族にも見捨てられ教師共も無視、友達だって消えた。成績は悪いし高校行けずに苦しむなら死んだ方が良い!」
「僕で良い!相談しろ!」
「初対面で馴れ馴れしいっつてんだよ!そんな信用出来ない奴に相談なんかするかよ!」
里釘は即座にその場を離れた。そしてそのまま扉を開き校内に入る。
「どうしたものかな…」
どんな辛いことがあっても前向きに生きてきた五月雨みきりには死にたいということがわからない。
ー僕は寿命まで。生きたい。
と考える五月雨。生きたがりは死にたがりの気持ちはわからない。
読みにくい。