おまけ~敗者のゆくへ~
降りしきる雨の中、よたよたと歩く影が一つ。
それはどこにいくでもなく歩いていた。彼の名は木崎忠邦といった。
様子から鑑みると彼は百花流に負けたようだ。
彼はふらふらとしながら
「く、くそ。つ、次はこうはいかない……ぞ」
と呟いた。
意識が朦朧としている。よっぽど百花流の技が強力だったらしい。
……さて、仕事をするか。木崎の前に飛び出るもう一つの影。
木崎は力なくそれを見た。そして目を大きく見開いた。
「お、お前。なんでここに」
「偵察だよ、親方の命でな」
もう一つの影が答えた。
彼は続けて言う。
「まぁ、来て正解だったかな。お前は負け、その様だ。……お前みたいな負け犬は組織にはいらない」
木崎は顔を青くした。逃げようと身をひるがえす。
「……なおも生き恥をさらすのか。……実に、残念だ」
男はそれだけ言うと刀を抜き、
刀を腰だめに構えた。
「死ね」
そう言うと男が刀を突き出す。彼の放った斬撃は小気味よい音をたて、湿った空気を切り裂いた。そしてその刹那、その場に木崎の悲鳴が響いた。
「ヒャッハッーーーーーーーー!!」
と同時にある男のファンキーな叫び声もあたりに木霊していたりする……。