表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/7

5話 インフィニティ・オンライン(中編)

「ーー断る!!!」

『うーん、やっぱりダメかぁ』

「お前は魔王としての尊厳を一体なんだと思ってるんだ!?」

『そこをなんとか』

「だーめーだー!!勇者なら正面から正々堂々と来い!!そして俺と戦え!!」

『ボク、勇者じゃなくて魔法使いなんだけど』

「ええい、魔法使いだろうがなんだろうが俺は貴様に容赦情けはしない!!話はそれだけか!?切るぞ!!」

『あっーー』


一方的に電話を切られ、ましろは静かになったスマホを見つめるしか出来なかった。


「やっぱ戦闘すっ飛ばすなんて、ずるはダメだよましろー。よりによってラスボス戦を飛ばそうとするなんて。神BGMだったらどうすんのさー」


ゲームにこだわりがある綺羅々は、ましろにブーイングを送る。


「どうやら地道にレベル上げしていくしかないみたいだね」


鵜久森が地図をしまい、旅支度を整えていく。綺羅々、来夢、林檎も装備を整え始める中、ましろはコートのポケットにスマホを戻した。


「ましろさんも、早く支度を整えて。お菓子の準備はよろしくて?」

「……そうだね。鞄いっぱいに詰めていくよ」


来夢に急かされ、ましろも仕方なく旅支度を始める。


「村の中に居た他の勇者パーティから聞いたんだけど、ゲームの世界だからか、ステータスが見れるんだって」


おうじ レベル1

HP80

MP20

力40

防御20

俊敏20

魔力3


そこで鵜久森はハッとして来夢を見た。来夢は眉を顰めて鵜久森のステータスを見つめている。


「鵜久森さん……貴方のステータス、おかしいですわよ。勇者なのに王子になってますわ。何かのバグかしら?」


綺羅々は何のことかを察し、腹を抱えて笑い始めた。来夢は首を傾げている。


「綺羅々さん?なんなんですの、もう……」


気を取り直して、来夢は自分のステータスを表示する。


らいむ レベル1

HP50

MP50

力10

防御10

俊敏15

魔力30


「あたしも!」


きらら レベル1

HP40

MP60

力10

防御10

俊敏20

魔力30


「私も……」


りんご レベル1

HP60

MP20

力20

防御20

俊敏20

魔力10


『ましろはどんな感じだい?』


ラプスに言われ、ましろは手を翳してステータス画面を呼び出した。


ましろ レベル1

HP50

MP50

力20

防御10

俊敏10

魔力50


「レベル1からかぁ……。なんだか気が遠くなるね……」

「それがRPGの醍醐味なの!!」

「ええー」


今度は綺羅々にましろがブーイングをする。


「ーーさて。準備は整った?出発するよ!」



◇◇◇



「うう……。マズいな、どうしよう」


効率良く経験値を稼ぐ為、5人と1匹は村を訪れていた田舎でスローライフを満喫したいという隠居勇者パーティから、1匹倒すと10万経験値が貰えるという金のスライムの情報を手に入れた。金のスライムを探しに、水妃の森という場所を訪れている。

水妃の森、と呼ばれるように、お目当て以外は水属性のモンスターばかりに遭遇していた。炎属性のましろは苦戦を強いられている。


「やあっ!!」


鵜久森が勇者らしく、双剣でウォータードラゴンに切り込んでいる。林檎は銃弾で、綺羅々は回復魔法で鵜久森を援護。来夢は星の矢を複数作り出し、複数の敵に打ち込んでいた。


「ああ……ボクだけレベル1のまま……」

『敵が水属性だらけじゃあね……』

「あぶない!ましろくん!!」

「へ?」


敵から濁流攻撃を喰らい、ましろのHPがみるみるうちに減っていく。ましろはその場に倒れ込んだ。


「もー、ましろったら、レベルがあがんないから俊敏で避けることもできないし」

「め、面目ない……」


綺羅々がましろに駆け寄り、気付け薬の入ったボトルを傾けて飲ませる。


「ましろさんはラプスさんとあっちで休んでらして。ここはわたくしたちが引き受けますわ」


来夢に敵が出ないセーブポイント付近を指差され、ましろは言われた通りに動く。


「うう……。足手纏いでお荷物だよね……」

『そうだね。僕と同じだね』

「小動物に言われたくない……」

『ましろって本当に失礼だね』


ましろは物語ソネットの領域展開の外の人物ーーアーバンに連絡が取れないかどうかを確かめる為、ポケットからスマホを取り出す。ラプスが突き出ている木の根を軽くジャンプして避ける。


「ましろ、あぶない!」

「おっと」


スマホをながら見で歩いていたせいで反応が遅れた。ましろはこけずに蹌踉めくだけで済んだが、手のひらからスマホが抜け落ちる。


ポチャリ


「え」


あまりの一瞬の出来事にましろは反応出来ない。10秒経って頭の中でようやく理解する。


「ええーー!?!ボクのスマホがぁーー!!」

『森の泉にダイブしちゃったねぇ』


ザバーッ


スマホを落とした森の泉の目の前で、ましろが膝をついていると、森の泉の中から神々しい女性が現れた。女性はましろに問い掛ける。


「ーー貴方が我が泉に落としたのは、銅の剣ですか?銀の剣ですか?それとも金の剣ですか?」

「どれも違うよ……。落としたのはiphone13のアルパイングリーンだよ……」

「貴方は正直者ですね。では、これを差し上げましょう」

「えーー」


白い光に包まれた長い杖が、ましろの目の前に現れる。


「これは……」


中央にアルパイングリーンの宝石が嵌め込まれた杖……のようにみえる。手に取ると杖にしては重く、剣よりは軽いと感じた。


「それは仕込み杖です。杖の内部に細身の剣を仕込んだもの。外見からは通常の杖と区別がつかないよう作られています。高い隠蔽性を誇る護身用の武器ですね」

『やったね!ましろが扱うのにぴったりな武器じゃないか!』

「あ、あのー、ボクのスマホは……?」


神々しい、おそらく水妃と呼ばれているであろう女性は、ましろの問い掛けににこりと微笑むと、再び泉の中へと消えていった。


「ちょ、ちょっとーー!!?」



◇◇◇



「戦闘をサボっているかと思えば、新しい武器をゲットしていたなんて……。コレ、高く売れるのではなくて?」

「売らないよ。ボクが貰ったものなんだから。というかボクのスマホが形を変えたものなんだから……」


まじまじと仕込み杖を見て目を輝かせていた来夢から、仕込み杖を抱えて距離を置くましろ。


「暫く眺めていたけど、どうやらコレ……通話が出来るみたい。ーーもしもし、赤羽根さん?」

『はいはい、ましろクンどうしたの?』

「すごーい!機能スマホじゃん」

「困ったことに、魔王に非通知にされたみたいで繋がらないんだ」

『だろうねー。魔王サマめっちゃ怒ってたからさー』

「とりあえず、魔王と戦う準備は整いそうだから、そっちに行くって伝えてくれる?」

『了解ー』


どうやらアルパイングリーンの宝石がオンオフの操作を担っているようで、ましろが手を翳すと通話が終了した。


「この装備でステータスに変化はないのかい?」

「ええっと、それが……」


ましろ レベル1

HP50

MP5000

力20

防御10

俊敏300

魔力1250


「え!?すご、なにこれ」

「武器レベルはどれくらいなんです?」


聖剣 レベル100

HP10000

MP10000

力20000

防御1000

俊敏1000

魔力3000


「武器の方が強すぎじゃん!!」

「ちょっと待って!なんか聖剣って書いてあるんだけど!?」


使ってみます?と、ましろが鵜久森に聖剣を貸すと聖剣から『所有者以外の人物が装備しました。機能をオフにします』とアナウンスが流れる。


「ゆ、勇者なのに聖剣が紐付けされてて扱えなくなってる……」

「こりゃましろさんが魔王を倒すしかないってことかしら?」

「はぁ……。やっぱりそうなっちゃうのかなぁ」


落ち込む鵜久森。首を傾げる来夢。ため息を吐くましろ。


「そうと決まれば、金のスライム狩りでレベル上げですね!狩りを続けましょう!」

「狩りの楽しさに目覚めたのか、やけに気合いが入ってるね林檎……」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ