表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鋼と虎  作者: 釘崎バット
第8章 カメリアとクー4

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

88/92

第6話

 私とクーがクエストから戻ると、お屋敷にはゲオルグが1人でいた。


「おう、カメリア、クーお帰り。」

「ゲオルグさん、戻っていらしたんですね。」

「ゲオルグもお帰りなさい。 エルザたちは? また飲み歩いているのかしら?」

「いや、どうもお疲れのご様子でな。 2人とも爆睡しているぞ。 まあ、酒は飲んだみたいだけどな。」

「相変わらずね、アイツ等は・・・」

「まあ、そう言うなって。 エルザたちも結構大変なんだよ。」

「そうなのかもしれないけどね。 私には何も話してくれないから、私はその辺のことなんにも知らないのだけどね。」

「お、おう・・・そうだな。 すまないカメリア、エルザにも事情があるんだ、勘弁してやってくれよ。」

「別にいいわよ。 打ち明けたくなった時に言ってくれればいいわ。 ただ、私やクーに害があるようなら・・・容赦しないけどね。」

「おお、怖い・・・どしたクー? なんか大人しくないか? カメリアになにかされたのか?」

「いえ、全然大丈夫です。」

「そう言えば・・・ガントレット買ったのか? 剣も買ったんだな。」

「はい・・・実はそうなんです。」

「その格好は、クエストでもやって来たのか?」

「え、ええ・・・まあ、そうですね。」

「ゲオルグ・・・その辺で止めておきなさい。」

「え? 俺なんか変な事言ったか?」

「大丈夫ですゲオルグさん。 晩御飯は食べますよね? 今から用意しますので、待っていてください。 さあ、行こうリア姉。」

「お、おう。 悪いなクー、よろしく頼むぜ。」


 次の日から、またゲオルグは姿を消した。


 エルザの方は、お屋敷に連絡が入るまでは特にやる事は無いとのこと(しかも、1月くらいはかかりそうだとのこと)であったため、私とクー、エルザの3人で再び北の森でのクエストをやることになり、ギルドに向かう。

 お屋敷を留守にするとまずいと言うので、パトリックはお留守番だ。



 私たちがギルドに着くと、ちょっとした騒ぎになった。

『血塗れ斧』と『氷嵐の魔女』が、2年ぶりにアローヘッドギルドを訪れたからだ。

 私はすでに何度かギルドに来ていたのだが、元々人付き合いが稀少な上、私を知る者には騒ぐなと釘をさしていたので、全然注目されることは無かったのだが・・・エルザは、まるで隠す気がなかったのだ。

 クーに注目されると万が一ってこともあるかもしれないので、クーにはフードを被らせて、ギルド内では私とエルザからは少し離れて貰っている。


「エルザさんも、薬草採取クエストを請けられるんですか?」

 ギルド職員が素っ頓狂な声を発する。


「おう、そうだぜ。 なんかまずいのか?」

「いえ、まずい訳ではありませんが・・・先日カメリアさんにもお話ししましたけど・・・新人冒険者とかが請けるクエストですよ? 大してお金にもなりませんし。」

「まあ、暇つぶしだよ。 一日中酒をかっ食らっていても金は減るだけだしな。 今は長期のクエストが出来ないから、日銭を稼ぎたいんだよ。」

「分かりました、それではお願いします。 カメリアさんから伺っているとは思いますけど、最近北の森には今までよりも強めの野獣が出没している様ですので、油断はしないで下さいね。」

「おう、強い野獣が・・・って、おいカメリア聞いていねぇぞ。」

「そうだったわね。 昨日のクエストで、灰色熊と戦ったのよ。 それも5頭。」

「灰色熊5頭だと? 北の森でか? おい、新人に請けさせて大丈夫なのか?」

「まあ、まだそこまで深刻では無いとの判断でしょうけど・・・困っている新人パーティを見かけましたら、手を貸してあげて下さいね。」

「ギルドは調子いい事言うなぁ・・・まあいいや、行こうぜカメリア。」

「ええ。」


 そして、私たち3人は薬草採取のため北の森に向かう。

 先日とは方向を変えて薬草を探す。

 少し時間はかかったが、無事に薬草は発見できた。


「しかし・・・結構かかったわね。 こんなに探すことになるなんてね。」

「そうだな。 薬草を採る時には、根こそぎ採っちまったらダメだってこと知らないヤツが増えたのかねぇ。」

「全部採ったらダメなんですか?」

「ああ、採り尽くしたらその場所にはもう薬草が生えてこなくなっちまう。 残しておけば、そっからまた増えるだろ? だから、多少は残して採取するもんなんだよ。」

「なるほど・・・勉強になります。 だからリア姉も前の場所で全部採らなかったんだね。」

「え? ええ、まあそうね。」


(本当は、全部採らなくても十分だと思ったからだけど・・・)


「私は、まだまだ知らないことばっかりだ。 リア姉、エルザさん、もっといろいろな事を教えてください。」

「そうね。 私が知っている事ならなんでも教えてあげるわよ。」

「おう、アタシもだ。 一緒にいるうちに、少しでも多く教えてやれることは教えるさ。」


(一緒にいるうちに? なんか言い回しが気になるけど・・・まあ、いいわ。)


 その後も、特に強敵に出会うこともなくクエストを終えた。

 ギルドで納品を行い、報酬を受け取った後


「エルザ、私はクーと買い物してから帰るわ。 先にお屋敷に戻ってくれるかしら?」

「えー? アタシだけ仲間外れかよ? お前等最近仲良過ぎじゃないか? お揃いの髪紐まで・・・ってしまった。」

「やっぱり気付いていたのねエルザ。 どう? 羨ましいんでしょ?」

「別に・・・羨ましくなんて・・・」

「リア姉、意地悪しないで。 エルザさん、この紐は・・・ごめんなさい、私とリア姉の仲良しの証なんです。」

「そうかよ・・・」

「でも、今日は『深紅』の皆でお揃いのものを揃えようと思って・・・本当は、皆が揃っている時に驚かせようと思っていたんですけど・・・リア姉が意地悪するから。」

「ゴメンねクー。 ちょっとやり過ぎたかしら?」

「クー、お前はホントに可愛いヤツだ。 それじゃあ、もうアタシを仲間外れにする理由はないだろ? アタシも連れて行けよな。」

「仕方ないわね。 エルザは何が良いと思う?」

「そうだな~。 なんか赤いヤツだな。 パーティ名にちなんで。」

「赤か・・・意外に難しくない? あんまり高いのはダメよ?」

「別に高いもんじゃなくたって良いだろう。 だた、ゲオパトが持てるようなものだとなあ・・・」

「それが問題ね・・・」


 それから色々な店を回ってみた。

 武器屋、小物屋、雑貨屋、服飾店・・・などなど


「んー。 中々コレだってのは無いな。」

「そうね。 私たち5人全員にってのは難しいわね。 クーはどう?」

「そうだね。 男の人にもって考えると難しい。 赤って言うのも難しいかも・・・あ、コレ!!」

「なにかあったの?」

「うん。 これなんてどうかな?」



 数日後、また久しぶりに戻って来たゲオルグを加え、皆で夕食を取っている際中


「ゲオルグさん、パトリックさん。」

「なんだ? どうしたクー。」

「・・・・」

「あの・・・プレゼント・・・と言いますか・・・これを受け取って欲しいんです。」


 クーが2人に赤いリボンのついた箱を差し出す。


「お・・・おう。 貰っていいのか?」

「はい。」

「ありがとうな、クー。」

「ありがとう。」

「開けてみても良いか?」

「はい。」

「んじゃ、エンリョなく・・・」


 ゲオルグとパトリックは、2人ほぼ同時に箱を開ける。


「これは・・・ハンカチか? 大きいな。」

「いえ、バンダナです。 もちろんハンカチとしても使えますけど。」

「これを俺とゲオルグに?」

「いいえ、お2人だけではなく・・・私たちはコレです。」


 エルザとクーは、三角に折りスカーフ状にしたバンダナを首に巻いて見せる。

 私は、愛用の杖に巻いたバンダナを見せた。


「お、お揃いってヤツか?」

「はい。 みんなでお揃いです。 コレならゲオルグさんもパトリックさんも、ハンカチとしてなら使ってもらえるんじゃないかと思いまして・・・ダメですか?」

「いや・・・嬉しいよ。 ありがとうなクー。」

「俺もだ。 ありがたく使わせてもらうぞ。」

「はい。 是非使ってくださいね。」


 ゲオルグもパトリックも喜んでくれているようで良かった。

 何より、エルザがとてもはしゃいでいたように思う。


 それから、しばらくは1日で終わりそうなクエストを請けたり、クーを連れて市内を歩き回ったりして過ごした。

 以前にしばらく滞在していたとはいえ、私は興味がなかったので、あまり市内のことは詳しくしらない。

 何にでも興味津々のクーと一緒にいることで、私も色々勉強になったと思う。


 アローヘッド市に戻って来てから1月半ほど経った頃、いつものように私とクーが姉妹デートを終え、お屋敷に戻って来ると、ゲオルグとパトリックが食卓に座っていた。

 リビングルームには、香ばしい香りが漂っており、奥のキッチンからは誰かが料理をしている音がする。


「あら、ゲオルグ。 今日は帰ってくる日だったの?」

「まあな。」

「で、なに? エルザがお料理をしているの?」

「おう、そうだぜ。 エルザが料理なんて、めちゃめちゃ久しぶりに見たよ。」

「私は見たことないけど。」

「いい匂い・・・エルザさんのお料理かぁ・・・楽しみ。 だけど、私より凄く上手なんだろうなぁ・・・」


「おっ、ルーナさま親子も帰って来たな。 もうすぐ出来るから、座って待ってろや。」

 キッチンの方からエルザの声がした。



 テーブルの上には、アローストリング市のお屋敷での料理・・・とまでは行かないものの、かなり豪勢な料理が並べられる。


「いや~、久しぶりに本気出して作ってみたけど、結構イケているだろ?」

「う・・・うん。 まあ、とりあえず見た目は素晴らしいわね。」

「私が今まで出してきた料理って・・・ううっ、ハズかしいです。」

「いやいや、クーの料理は十分うまかったって。 俺はクーの料理好きだぞ。」

「ゲオルグさん・・・」

「しかし、どうしたのエルザ。 突然料理・・・しかも、こんな本格的な・・・」

「ああ、皆待たせちまったが、ようやく待っていたものが揃ったんでな。 皆で飯でも食いながら今後の事を話そうと思ってな。」

「そうなのね。 じゃあ話して頂戴な。」

「おい、ルーナママ。 まずは食ってくれよ、せっかくアタシが腕を振るった料理が冷めちまうだろ? 話は頃を見てするからよ。」

「ええ、そうね。 そうしましょうか。」

「よし、じゃあ食おうぜ。 それじゃ、せーの。」

「「「「「いただきます。」」」」」


 エルザの作ったお料理は・・・凄く美味しかった。

 しばらく、皆で雑談をしながら美味しい食事を楽しんだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ