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鋼と虎  作者: 釘崎バット
第7章 クロエとミオ4

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第7話

 私が、10日間ほど図書館に通い、調べた事柄の最後として『光と闇の12勇者』のことを纏めておきたい。 


 光の12勇者とは、神をも超えんと急激な発展・進化をした古代高等人類を、世界を創造した2柱の神の片割れである秩序神が、滅ぼすために力を与えた12名の人間のことである。

 なお、12名の勇者の名前は、そのままオーディア教国の12国家の名前になっている。


 第1勇者『アリエス』は、何者も貫けないという光輝く鎧と、あらゆる魔導を跳ね返すという光の盾を与えられた防御の勇者。


 第2勇者『トーラス』は、地面を揺るがし、溶岩を噴出させるという、大地の力を持った巨大な鎚を与えられた勇者。


 第3勇者『ジェミニ』は、雷を纏い、稲妻の速さで飛ぶ上に、自由自在に操ることが出来るという4つ円盤を与えられた勇者。

 人間の腕は2本しかないのに、4つの武器を与えられていることから、第3勇者は2人だったとされる説もある。


 第4勇者『キャンサー』は、全てを切裂き、切りつけた相手の生命力を我が物としたとされる大鎌を与えられた勇者。


 第5勇者『レオ』は、盾の如く頑丈であるのに軽く、触れたもの全てを粉砕したという手甲を与えられた勇者。


 第6勇者『ヴァルゴ』は、光の12勇者を統率し導くという光の杖と、自らの庇護下にある者の能力を引き上げる魔法を与えられた勇者。

 第6勇者は、その杖と魔法の能力から、光の12勇者のリーダーと目されている。


 第7勇者『リブラ』は、伸縮自在で、短時間であれば神をも拘束することができたとされる鎖を与えられた勇者。


 第8勇者『スコーピオ』は、切っ先に触れただけで死に至るとされる呪い若しくは猛毒の槍を与えられた勇者。


 第9勇者『サジタリウス』は、星をも射抜き、射線上の全てを燃やしつくすとされる炎の弓を与えられた勇者。


 第10勇者『カプリコーン』は、一度振るっただけで7回斬れたという疾風の剣を与えられた勇者。


 第11勇者『アクエリアス』は、永久に融けることのない氷で造られ、氷を自在に操ったという斧を与えられた勇者。

 決戦の記述を見るに、光の勇者内でもかなりの実力者であったことが窺われる。


 第12勇者『パイシーズ』は、波打った2本の短剣を与えられた勇者。 その短剣が振るわれると目に見えない波が敵に襲いかかったという。


 いずれも凶悪な武器(第1勇者は防具だけど)を与えられた、如何にも集団戦に向かなそうな人たちばかりだ。

 字面では、武器の能力に差があるようにも見えるが(私的には、第3、第7、第9、第12勇者の武器が強いと感じられるが・・・人によって感じ方は違うかも)、どれも現在我々が使用する武器とは比較にならない程の強さだ。 まあ、神話だしね。


 こうしてみると、確かに第2勇者の武器には大地神の、第11、12勇者辺りの武器には海洋神の力が関係しているようには感じられる。

 第4勇者や第8勇者の武器には、むしろ冥界神などの勢力の力を感じるが、そこにツッコミを入れても仕方のないことだ。 神話だし。


 種族や性別がはっきり書かれている勇者は少ないが、第6勇者ヴァルゴは人族の女性であり、第5勇者レオは獣人族の男性であることなど、はっきりと書かれている勇者もいる。

 ちなみに、我らが第9勇者サジタリウスは、人族の女性であった可能性が高い。



 一方、闇の12勇者であるが、私が読んだ本の中では、全員分がはっきりしているのは名前だけで、中にはどんな武器や能力を持っていたのか不明なものもいる。

 明確に「倒された」と分かる者もいるが、特に死んだような記述が見られず、いつの間にか登場しなくなっている者もいる。 本によっても若干違いがあったりもするが・・・一応大勢の見解に基づくとこんな感じだ。


 第1勇者『グルナ』は、名前以外はよく分からない勇者だ。 最終決戦の序盤にサジタリウスの矢により討ち取られる。


 第2勇者『アメティスト』も詳細が不明な勇者だ。 剣の達人であったとの記述があるが、最終決戦前に死亡したと思われ、最終決戦には参加していない。


 第3勇者『コライユ』の使用武器は不明だが、水を操る魔導の得意な勇者だ。 血の繋がっていたとされる第6勇者ペルルと連携しながら戦い、サジタリウスを討ち取るが、ペルルがリブラの鎖で拘束された後にトーラスに討たれる。


 第4勇者『ディアマン』は、闇の12勇者のリーダー格と思われる。 透き通るような美しさで、どんな盾も鎧も容易に切り裂くとされる剣を持っていた勇者。 最終決戦で、光の勇者の防御の要アリエスを倒した後に、同じく剣を持ったカプリコーンと壮絶な戦いを繰り広げるが相討ちとなる。


 第5勇者『エムロード』は、緑色の光を放ち、長さを変えることが出来たと言う剣を持つ勇者。 スコーピオを倒した後に、トーラスと戦い共に果てる。


 第6勇者『ペルル』は、第3勇者コライユの妹だとされている。 姉コライユと同じく水の魔導の使い手で、コライユと協力してサジタリウスを倒すが、リブラの鎖で拘束される。 それ以降は不明だが、リブラは後に第7勇者リュビに討たれているので、その前にリブラに討たれたものと思われる。


 第7勇者『リュビ』は、炎の魔導に加え、燃え盛る深紅の槍を持つ勇者。 その戦闘力は凄まじく、キャンサー、レオ、リブラの3勇者を討ち果たしている。 はっきりと3人の勇者を討ったと分かるのは、このリュビだけである。 リブラを倒した直後に、第8勇者サルドニクスを倒したパイシーズに討たれる。


 第8勇者『サルドニクス』は、時を操る槍を持つとされる()()()。 戦いの最中、仲間を守るためにその力を発動させた所でパイシーズに討たれる。 なお、パイシーズはその時に負った傷が元で、戦いの後に死亡している。


 第9勇者『サフィール』は、美しい青色の双剣を持つ勇者。 決戦序盤から第12勇者テュルコワーズと共に、アクエリアスと長時間に渡って戦うが勝負がつかなかった。 テュルコワーズの犠牲によりアクエリアスを討ち取るも、大怪我を負い戦闘不能に陥る。


 第10勇者『オパール』も、名前以外は不明な勇者。 決戦序盤でレオに討たれている。


 第11勇者『シトリン』は、目に見えない力を操る勇者。 詳細は分からないが『コンプランド』なる能力を持っていたらしい。 戦いではジェミニを倒しているが、その後の記述が無く、戦闘を生き延びた者の中にはその名はないため、討たれたと推測される。


 第12勇者『テュルコワーズ』も、名前以外は不明な勇者。 第9勇者サフィールと共にアクエリアスと戦い、アクエリアスに討たれる。


 と、言う訳で、最終決戦を生き延びたのは、光の勇者側は、第6勇者ヴァルゴと第12勇者パイシーズの2人、闇の勇者側は、大怪我を負った第9勇者のサフィール唯1人である。 しかし、程なくしてパイシーズは死亡するため、実質的にはヴァルゴとサフィールのみである。

 ヴァルゴは、その後にオーディア教団を創立し、その初代法王(現『教皇』)となるが、1年ほどで法王位を譲り、表舞台から姿を消す。

 サフィールは、ヴァルゴからケガの治療を受けたようだが、その後の消息はまったく不明である。


 私が面白いと思ったのは、光の勇者は、皆別々の武器を持っている(結構無理して武器種を変えているようにも思う。)のに対し、闇の勇者側は、明確に分かるのが剣と槍がそれぞれ複数本あったということだ。 武器種の不明な勇者も結構いるので、剣と槍以外にもあったのだろうと思うが、光の勇者のように全員違う武装ではないと言うところに興味が惹かれた。


 ちなみに・・・光の12勇者の名前が、後(約千年後)に設置される12の国家の名前となるのは前述のとおりであるが、闇の12勇者の名前は、宝石の名前として残っている。

 グルナはガーネット、アメティストはアメジスト・・・以降、コーラル、ダイヤモンド、エメラルド、パール、ルビー、サードオニックス、オパール、シトリン、ターコイズとなる。 勇者の名前が宝石に付いたのか、宝石の名前から勇者の名前を付けたのかはわからないけど・・・オパールとシトリンだけは、そのまま同じ音で残っている。


 以上である。


 10日間に及ぶ図書館通いが終わると思うと、少し寂しいような・・・でも、やっと解放される安堵感のようなモノも感じられる。

 しばらくこの10日間の事を思い出しながら物思いにふけっていると、閉館時間の合図が鳴り響く。


「あ、まずい! 本を早くしまわなくちゃだ!!」


 私は、閉館の合図が鳴った後から片づけを始めたため、出入口についた頃には、当然閉館時間を大分過ぎてしまっていた。


 受付には、まだレンさんが残っていた。


「レンさん、ごめんなさい。 本を片付けるのが遅れて・・・本当にごめんなさい。」

「いえ、お気になさらず。 今日はいつもにも増して、随分集中されていたようですね。」

「はい。 ようやく調べ物に区切りがついたものですから・・・」

「そうなんですか? じゃあ、明日からは来館されないのでしょうか?」

「そうですねぇ・・・今までの様に毎日は来ないと思います。 けど、本を読む楽しさが分かりましたから、時間が取れればまた来たいとは思っています。」

「是非、またご来館ください。 今日は少し遅いですから、お帰りの際は気を付けてくださいね。」

「はい。 ありがとうございます。 それでは失礼します。」


 外に出ると、まだそれほど暗くは無かった。


 私は、ホームに戻る前に、いつものように公衆浴場に向かった。



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