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鋼と虎  作者: 釘崎バット
第7章 クロエとミオ4

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第2話

 私は今、アローヘッド市の図書館に来ている。

 この市営図書館に通い始めてから、既に7日目である。都市の規模からいっても、中々に蔵書の量は充実しているのではないかと思う。


 グスタフとシンシアとの騒動が無事に片付いた後、私は調べ物をしたいので、しばらくクエストを休むことの了承を得て、以降図書館に通う日々が続いている。


 王都にて期せずして出会った、兄『真鞘(まさや)』の話していたことを、自分でもちゃんと確認しておきたいと思ったからだ。


 図書館デビューの日には、ミオが一緒に行くと言うので2人で来たが、言うまでもなくミオと図書館の相性は最悪で、司書さんに超おこられた。

 よって、2日目以降は「絶対に帰りは遅くならない」との条件付きで、ミオの同行は丁重にお断りしている。

 その代償として、夕ご飯以降寝るまでの時間の全てをミオに捧げている。


 私が調べているのは、この国での「創世記」、「神々」、「魔導帝国」そして、「光と闇の12勇者」のことだ。



 創世記については、こんな感じだ。


 簡単にまとめると、全ての可能性を内包していながら、何も存在していなかった世界(?)に、いつからか、現れては留まる事なく変化を続け、最後には消えていく『混沌』が現れる。 やがて、その混沌の中から意識を持った最初の神『混沌神』が生まれる。

 次に、混沌神の気まぐれな思いから、進むべき方向性を示す『秩序神』が生まれる。

 混沌神と秩序神は協力して、ありとあらゆる方向に向かって伸びて行く混沌に、進む方向を与えた。

 進むべき方向を決められた世界は、その方向に向かってどんどん進化するも、多様な可能性を失った世界が行きつく先は滅びであった。

 2柱の神は、方向やその方向へ向かう力の加減を変えながら、何度も繰り返す。

 その過程で、自分たち以外にも『神』が誕生して行った。

 現在、私たちが生きる世界もその繰り返す世界の1つである・・・と言った感じだ。ざっくりだけど。



 神々については


 中央大陸においても、多数の神が存在する。

 それは、私の故郷『八州国』と同じだ。 神々についても、同じような役割を持つ神は沢山いる。

 違うのは、私の国では神は皆、畏れ崇める対象であるのに対して、中央大陸では崇める善神と、崇めてはいけない邪神がいることだ。崇める方は秩序神を始めとした神々で、崇めてはダメな方は混沌神を始めとした神々だ。

 神さまは沢山いるので、メインとなる神さまだけだが・・・


 崇める方の神。

 主に、古代高等人類が築いた『魔導帝国』を秩序神が滅ぼそうとした際に、秩序神に従った神々だ。


 秩序神・・・2番目に現れた神で、世界が進むべき方向を決めるという神だ。 その方向に従うものには加護を与えて見守るというが、外れるものには容赦がないとされる。 急速な変化を嫌い、緩やかに発展・進化をしながら、道を外れずに進む事を良しとする。

 進むべき道を示してくれるのは有難いことであるが、それ以外は認めないと言う、割と狭量な神さまだ。

 挿絵では、神官の着るようなローブを纏って、シンボルにもなっている槍を持っている。


 太陽神・・・混沌神と秩序神の次に生まれた第2世代の神。 その名の通り太陽の神だ。この太陽神なくしては、地上に住まう全ての生物は生きていくことが出来ない。 しかし、その苛烈な光と熱は、生物を死に至らしめるほどの力があるので、1日の半分は休むこととされている。

 挿絵では、燃える日輪を背負った美男子に描かれている。 シンボルは燃える弓だ。


 天空神・・・第2世代の神で、地上と太陽神などがいる天上までの間を支配する神。 太陽神の光と熱を和らげたり、善人が死んだ後に住むことになる『天国』の管理者でもある。 天候なども司る。

 挿絵では、鳥の頭を持ち、背中には四肢とは別の翼を持った姿で描かれている。 シンボルは雷。


 大地神・・・第2世代の神の中でも最古の神。 私たちが存在する地上を統べる神。 大地なくしてはあらゆるものが存在できない。 また、地上に住まう全ての生物に、その内に秘める生命力を分け与え育ててくれる、やさしい母親のような存在である一方、地震や火山噴火を起こしたりもする。

 挿絵では、露出の多い服を纏った、褐色肌のグラマラスな女性として描かれている。 シンボルは斧と鎚。


 海洋神・・・第2世代の神で海の神さまだが、水の神様の総元締めとされる。 水もまた生物には欠くことができないものだ。 また、海で育まれた恩恵(魚や貝など)を分け与えてくれる、 これまた母親のような存在だが、荒れる海上や大波の荒々しい印象からか男神とされる。

 挿絵では、お髭を蓄えた三又の槍を持った男性として描かれている。 シンボルはやはり三又の槍。


 月神・・・第2世代の神々の中では若い神。 太陽神の妹とされている。 太陽神が休むこととなった時間帯・・・漆黒の『夜』の間、地上をやさしく照らし出す慈愛の女神。 一方で、熱のほとんど無い光から、冷酷な側面も併せ持つとされる。

 挿絵では、非常に美しく、スタイルの良い女性として描かれている。 シンボルは柄に三日月の付いた杖。


 大地神、海洋神は、魔導帝国との戦いの際に、明確に秩序神側についたとはされていないが、力の一端を貸しているのは間違いなく、さらに重要度から崇めるべき対象とされている。


 月神は、最初は冥界神と結婚したりとか、戦争が始まっても中々秩序神に従わなかったりと言った逸話があるが、最後には秩序神に従ったため・・・また、やはり重要度が高いので崇められる方に入っているのだろう。

 ちなみに、古い神々の中において明確に女神だと分かる記述がある数少ない神さまだ。

 まあ、男女だけではなく、動物にもなれる神さまに性別をとやかく言っても仕方はないが。

 人間の間では、圧倒的に獣人族からの人気が高い。



 崇めない神々は・・・


 混沌神・・・原初の神で、最も力のある神。 過去・現在・未来、あらゆる事象を内包する。 その性質上、秩序神とは対極に位置し、魔導帝国との戦争時には、直接魔導帝国に組した訳ではないが、その力の一端を魔導帝国に分け与えた(盗まれたとするものもある)とされ、秩序神を頂点と崇める中央大陸では悪者だ。 ありとあらゆる可能性を否定しない心の広い神だが、特に悪人に好まれるため、法や秩序を守って生きる普通の人間には嫌われる傾向にある。 少し不憫な神さまだと思う。

 挿絵では、腕が何本もある(が、決まって奇数である)姿で、褐色肌の男性として描かれていることが多い。 シンボルは剣や槍などいろいろな武器が重なり合って、八方向や十六方向に向いているものだ。


 混沌ばかりでは、普通に暮らす人間にはツラいが、秩序で雁字搦めに縛られても、それはそれで息苦しい。 やはり、両者は程よいバランスで共存するのが望ましいね。


 冥界神・・・第2世代の神で、大地神の支配領域よりも更に深い地下を統べる神。 天空神、大地神、海洋神と並ぶ神。 死者が行きつく『冥界』や『地獄』と呼ばれる場所の管理者だ。 しかし、死者のうち善人を天空神が主催する『天国』に奪われてしまったため、必然冥界には悪人が残ることになってしまい、人間からのイメージは悪い。 元々は、死者の生前の行いを公平に判断して、善人にはやすらぎや新しい命を与え、悪人には永劫に続く苦難を与える神だったが、後者のイメージだけが強く残ってしまった、これまた不憫な神さまだ。

 挿絵では、角があるものの、他は人間の紳士のような姿で描かれる。 シンボルは断罪の剣。


 獄炎神・・・冥界神の子供で、第3世代の神。 父である冥界神から、地獄の炎『劫火(業火)』を受継いだ神さまだ。 その黒い炎は、冥界に落ちた悪い人間の魂を焼き尽くす。 一方で、焼き尽くした後に再び魂を元に戻して、また燃やすという、再生や復活の要素も併せ持つ。

 挿絵では、真っ黒な中に目だけが光り、全身が燃えているような姿で描かれる。 シンボルは黒い炎。


 この獄炎神という神さまが、私の左手に宿るとされる神『カヅチ』と非常によく似ている神さまだ。 私の魔法の名前も『業火』であり、青黒い炎が顕現する。

 獄炎神の炎は、『黒』であって『青』要素のある記述は見られなかったが、ちょっと引っかかるのは、その母親が恐らくは月神だということだ。

 月のイメージは『白』や『金』だと思うが、冷たい印象から『青』もイメージできると思う。 赤い月もあるけど、『赤』はどっちかって言うと太陽神の色だし。


 私はまだ見たことはないけれど、月の女神を描いた絵の多くは、金髪に青い瞳で、青い衣を纏った胸の大きな美人女性として描かれているらしい。

 本の挿絵では色までは分からなかった。

 それらの記載から、私が連想できる月の女神さまの姿は、私の姉鍔姫(つばき)の母親『(めい)』のような感じだ。 彼女は八州国では珍しい金髪碧眼で、顔立ちも八州国人離れをしていて、中央大陸の人間に近かった。

 本の挿絵にも、鳴に少し似ていると感じられるものはあった。 そう言えば、彼女は青い着物を好んで着ていたように思う。


 幼少期から母親である鳴によく似ていた姉は、今頃はとても美しくスタイル抜群の美人になっていて、数多の男性を虜にしている事であろう。


 おっと、話が脇道に逸れてしまったけど、月の女神を母に持つ獄炎神の業火は、青色が混じった黒で・・・って、これはちょっと都合の良い解釈かもね。

 そもそも、私の左腕に宿るモノが神さまの力だって言うのも本当か疑わしいし。



 それから・・・


 これは、光と闇の12勇者の戦いの後の話であるが、勇者同士の戦いには直接手を下さなかった秩序神たちだが、魔導帝国に手を貸した神々に罰を与えようとする。


 最古にして最強の力を持つ神である混沌神は、秩序神たちが束になっても勝つことは難しい。 仮に一時は滅ぼすことが出来たとしても、瞬時に蘇ってしまうし、全てを許容する混沌神には罰にもならないと考えたものか。


 次に、第2世代の神であるとはいえ、冥界神を倒してしまっては、復活までの間に冥界から地上に罪人の魂が溢れて来てしまう。 それでは、地上を魔導帝国から取り戻した意味がない。


 しかし、秩序神と敵対した神々になんのペナルティも課さないでは示しがつかない。

 そこで、第3世代の神々・・・獄炎神たち数柱の神々に罪を背負わせることにしたのだ。 彼らであれば、他の神々の力でも代用可能と踏んだのだろうか。

 例えば獄炎神が消えても、火がなくなる訳ではないし、罪人への罰も針地獄や氷地獄など別の手段がある。 そして、倒してしまったとしても、神である彼らは数百年もあれば復活することができる。

 そんな訳で、獄炎神は秩序神に滅ぼされかけるが、彼は冥界から地上に逃げ、さらには中央大陸からも逃走したのだ。

 そして、逃げた先が八州国・・・ってことは書いてはいなかった。 あくまで行方不明。 で、地獄の炎『劫火(業火)』は未だ健在であるので、どこかに潜伏しているってことになる訳だ。


 多少は、私の個人的な見解も混じってしまったが、神々についてはそんなところだ。

 図書館の閉館の時間が近づいてきているので、続きはまた明日にしよう。

 早く帰らないと、私の可愛いお姉ちゃんがスネちゃうし、何よりグスタフに叱られる。


 私は、急いで本を書棚に戻して図書館を後にする。

 ホーム帰る前に、公衆浴場に寄って、少しゆっくりお風呂に浸かって、頭を休める。



 今日のご飯はなんだろうか?

 ロアー・リブ市から戻って以降、新婚のシンシアが以前よりも料理に力を入れているので、ご飯の楽しみが増えた。 シンシアにばっかりやらせるのは、ちょっとだけ後ろめたいけど、本人はやる気なので甘えておくことにしている。


 私は、少し急ぎ足でホームに向かった。



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