第7話
クーの話が終わり、カメリアとクーが2階に上がった後
「行ったか?」
「ああ、部屋には入ったぜ。」
「よし。 ゲオルグ、お前に頼みたいことがあるんだが。」
「なんだよ。」
「ホーリーオーダーと接触できねえかな?」
「なんだって!?」
「デカい声だすんじゃねぇ。 ホーリーオーダーって言ったんだよ。」
「それは聞こえてるって。 なんでまた。」
「アタシは、ブルグマンシアに対して結構な危機感を持っているんだよ。 このまま野放しにすれば、すぐにアローヘッドにも進出して来るだろう。 いや、もうすでに入り込んでいる可能性だってある。」
「それは確かにあると思っていた方がいいかもな。」
「兄上たちも義兄たちも、自分が跡目になるためのロビー活動にしか興味がないみたいでな。 まだ見えていない危険に、時間と金を割く気はないようだからな。」
「アルベルト様たちに報告を上げているのか?」
「ああ、一応な。 だが、アタシの話に耳を貸す気はないようだ。 ここでのヤマにケリが付いたら親父殿に直接話に行こうと思っている。」
「エルザが跡目に立候補するつもりなのかよ。」
「いや、そんな気はないよ。 ただ、あの立派な親父殿が・・・そのご先祖様たちが大切に育てて来たアローヘッドであんな連中をのさばらせる気はないってことだ。 アローヘッドだけじゃねえ。 アタシは今の第9国が好きなんだよ。 だからアッパー・リブだって見捨てたくはないんだ。」
「そうかい。 それでなんでホーリーオーダーなんだよ。」
「ブルグマンシアの連中が・・・例えば王国騎士団とかな、そう言ったところにどれだけ浸透しているか分かったもんじゃねえ。」
「・・・・」
「ブルグマンシアと確実に敵対するであろう組織の中で、ホーリーオーダーは最も信頼できる心強い味方になると思わんか?」
「ホーリーオーダーにだってブルグマンシアの連中がいないとは限らないんじゃないか?」
「それはそうだが、連中は秩序神の忠実な僕の集まりだろう? 他のどの組織よりも、ブルグマンシアの連中が潜んでいる可能性は少ないんじゃないかと思うんだが・・・アタシの考えは間違っているか?」
「まあ・・・間違ってはいないと思うがね。 しかし、俺個人としては、あんまり関わりたくはない連中ではあるな。」
「そりゃあ、アタシもそうだが。 ブルグマンシアを相手にするなら持って来いの連中だ。 相手が、悪党だろうが王家だろうが・・・それこそ教団幹部だろうが、ホーリーオーダーなら関係ない。 それに・・・まあ、あれだ。 カメリアの件もあるしな。」
「ははあ・・・本音はそれかよ。」
「違えよ。 そっちはついでだ。」
「そうかよ。 ま、いいけどな。」
「ブルグマンシアと本格的に事を構えるのは、まだしばらくは先になるだろう。 今のうちから、ホーリーオーダーと接触しておいてさ、あわよくば情報共有とかも出来れば、対処も早くにできるかもしれねえ。」
「だが、第9国に潜伏しているホーリーオーダーがどれくらいいるのか知らねえが、中々難しいと思うぜ。」
「んな事は、分かってるよ。 カメリアじゃないけど・・・最悪、第6国のホーリーオーダー本部に行ってみるしかないかもな。 とりあえずは、親父殿に第9国の・・・フラムメウス王家に繋いでもらって、王家から紹介状みたいなものを出してもらうとかかな。 ただ、それまで手をこまねいているだけってのは性にあわん。」
「分かったよ。 どう調べたらいいか今は分からんが、気にかけておくよ。」
「頼むよ、ゲオルグ。」
「ところでなんだが・・・」
「なんだよ?」
「パトリックよ・・・」
「なんでしょうかエルザ様。」
「お前、今の今まで一言もしゃべっていなかったよな?」
「俺は、エルザ様の盾ですから。 エルザ様を命にかけてお守りするだけです。」
「そうかよ。 ま、今日に始まったことじゃないしな。 いいやお前は。」
「はい・・・」
「じゃ、今日はもう解散とするか。」
「そうだな。」
そうして、エルザたちも各自の部屋に向かった。
次の日の朝
私とクーが1階に降りると、ゲオルグが1人でコーヒーを飲んでいた。
「おはよう、ゲオルグ。」
「おはようございます、ゲオルグさん。」
「おう、お早うさん。 よく眠れたみたいだな。」
「はい。 やっぱりお布団で眠れるのはいいですね。」
「そうだな。」
「ゲオルグさん、朝食は済ませちゃいましたか?」
「いや、クーが用意してくれるのかと思ってな。 まだだけど。」
「じゃあ、すぐに用意します。 簡単なものしかできませんけど。」
「おう、ありがとうな。 頼むよ。」
「はい!」
元気にお返事をして、クーは台所にパタパタと向かって行った。
「エルザたちは? まだ寝ているの?」
「あ・・・いやー、なんか朝早くに人が来て、その後すぐに出かけたぜ。」
「パトリックも?」
「ああ、一緒だ。」
「そう・・・」
「エルザさんとパトリックさん、いないんですか?」
「ああ、外で食ってくるってさ。 だからアイツ等の分は必要ないぞ。」
「分かりました~。」
クーが、パンを焼く香ばしい香りが漂ってくる。
私は、エルザがまた私に内緒で動いていると感じて、なにか面白くなかった。
「おまたせいました。 ゲオルグさん、リア姉、食べましょう。」
「おう、ありがとうなクー。」
「ありがとクー。 いただくわ。」
「はい!」
クーが作ってくれた朝ごはんを食べている内に、私に対して秘密が多いエルザへの不満は一旦は落ち着いたように思えた。




