第6話
深紅のメンバー全員が、再度テーブルについた所で、クーが話始める。
「先日、暁の戦士団と一緒に戦った強盗団の腕・・・右腕には皆ブルグマンシアの入れ墨が彫られていましたよね?。」
「そうだな。 全員にあったかは分らんが、捕まえた連中にはブルグマンシアがあったな。 死んだヤツ等にもあったのは見たしな。」
「はい。 あの入れ墨・・・ブルグマンシアを私は以前にも見たことがあるんです。」
「続けてくれ。」
「はい。 以前私が誘拐されて、皆さんに助けていただくまでの間、閉じ込められていたあの建物でブルグマンシアの入れ墨をしている人を何人か見ました。」
「複数人見たってことか?」
「はい。 私が見たのは6~7人ほどですけど・・・」
「第10国での奴隷密売組織のヤツが、ブルグマンシアの入れ墨をしていた・・・か。」
「はい。」
「そうすると、今ここで暴れているヤツらは、強盗団というよりも奴隷密売組織のヤツで、人攫いの方が目的なのかも知れないな。」
「そうだな。 行方不明者が多いって話もあるしな。」
ゲオルグがそう言った後、エルザとゲオルグがこそこそと話をしている。
「あの・・・もう1つあるんですが・・・」
「なんだクー? 話してくれ。」
「これは、私が勝手に思っていることなんですが・・・」
「いいぞ、言ってくれよ。」
「その・・・ブルグマンシアには、数種類の・・・階級のようなものがあると思うんです。」
「なんだって?」
「強盗団のブルグマンシアは、私が見た限りではみんなただの線画でした。」
「まあ、そうだな。」
「私が捕まっているときに見たものには、色が付いているものがありました。」
「ほう・・・」
「色のない線画だけのもの、ガイコツが紫色になっているもの、さらにラッパが黄色になっているもの・・・少なくとも3種類は見たんです。」
「でも6~7人なんだろう?」
「はい・・・それは確かにそうですけど。 私の感覚での話になってしまいますが、その・・・ブルグマンシアに色が多い人ほど偉そうな人で、あの組織内での順位が上だと感じました。」
「なるほどね。 十分にありえる話ではあるな・・・どうしたカメリア?」
「ん・・・あの施設に組織のナンバー1がいたとは思えないから、ブルグマンシアにはもっと上の種類があるんだと思ったのよ。」
「まあ、組織のトップは貴族とかヘタすりゃ王族とかだろ。 貴族とかだと彫り物は無いか、あるとしても隠せる場所になるだろうけどな。 カシアスが捕まっていれば良かったんだがな。」
「そうだなゲオルグ。 カシアスは、一旦は捕らえられたけど、脱走して行方不明なんだっけか?」
「そう言われているな。 盗賊ギルドでもカシアスの行方は掴めていないようだぜ。」
「クー、よく我慢して話してくれたな。 偉いぞ。 まあ、裏が取れないとアレだが、大いに参考にはなるな。 アタシらは色の着いたのは見てない訳だしな。」
「ギルドには伝えるの?」
「そうだねぇ・・・確定情報ではないからな・・・色の着いたのがいるかも知れないってことだけは伝えよう。 ギルドも勘のいい奴なら察してくれるかもしれん。 それに、あまり詳しい情報を出すと、クーのことがバレる可能性も出てくるしな。」
「そうだな。 それに、そっからさらに俺たちのことがブルグマンシアの連中にバレるってこともあるかもしれねぇな。 それは是非とも避けたいな。」
「ゲオルグ、盗賊ギルドではブルグマンシアの話はどんな感じなんだ?」
「おう・・・今のところは、ギルド内でも大した話は出ていないようだぜ。 これは、俺個人の考えだが、盗賊ギルド内・・・それも上層部にもブルグマンシアの関係者はいるんだと思うぜ。」
「どうしてそう思うんだ?」
「俺たちが関わった第10国の施設だけなら見逃されていたって可能性もあったんだろうけどな、第7国や第9国にもまたがって活動しているような大規模な犯罪組織を、盗賊ギルドが野放しにする訳がねえ。 そんなのが見逃されていたんじゃ、盗賊ギルドの沽券に関わるだろう? 普通なら全力で潰しにかかるはずだぜ。」
「そうか、悪党には悪党なりの筋ってものがあるものな。」
「それなら、この案件に関わる事自体が危険なんじゃない? ブルグマンシアの連中にも、盗賊ギルドにも目を付けられたら困るじゃない。」
「ブルグマンシアの方はともかく、盗賊ギルドは個々のパーティが盗賊ギルドに関係するヤツと争って潰したとしても、いちいち狙ったりはしないハズだけどな。 キリがないし、潰されたヤツが無能だったってことになるのが普通なんだがな。」
「そんなもんか?」
「ああ、一般市民や冒険者に対しては、盗賊ギルドはそう簡単には表に出てこないもんだよ。 まあ、事によっては報復に動くことは無いとはいえないけどな。」
・・・なるほど、悪党なりの矜持ってやつか。カタギには手を出さないとかそう言ったことなんだろう。
「だが、アタシはブルグマンシアの連中を放っておくつもりはねえぞ。」
「どうしたのエルザ? あなたそんな正義の味方みたいなタイプだった?」
「おい、カメリア・・・お前らしくねえな。 連中は、クーに手を出しているんだぜ? それをお前は危ないからって避けるような女だったか?」
「それは確かにそうね。 私のクーに酷いことをして、今でもクーは傷ついているんだから許されるはずがないわね。」
「リア姉・・・エルザさんも・・・私を気遣ってくれるのは嬉しいですけど、あんまり危険なことはしないで。」
「クー・・・」
「それにな、ひょっとするとなんだが・・・ブルグマンシアには、オーディア教団が関与しているんじゃないかって思うんだよな。 教団全体がって話じゃなく、上層部の誰かがって・・・あくまで勘だけどな。」
「それは無いとは言えねぇけどな。」
エルザの見解は少し飛躍しすぎているようにも思うけど、確かに、今の腐敗しきった教団には、自分を富ませることや権力を手にしようと躍起になっているヤツもいるのだろう。
「アタシらだけじゃ、どうしたって目に見える範囲で末端連中の相手をするくらいしかできねえ。 大規模な組織の中枢を相手にするには、国の騎士団とかが動かないことにはな。」
「そうだね。 まあ、親玉がいる場所が分かれば私の大規模魔法でふっとばすことはできるんだけど。」
「おいおい・・・相変わらずの自信と物騒さだなカメリア。 だが、そっちの方がお前らしいよ。」
「でも、街中にある組織の施設だけを破壊するのは難しいというか・・・無理だわね。 都市一つ丸ごと滅ぼす方が簡単だわ。」
「すまん。 アタシが焚きつけておいてなんだけど、それはさすがにご勘弁だわ。」
「カメリアの場合、ただの与太話に聞こえないのがすげえよ。」
「まあ、いずれにしてもだ。 今スグに本体を潰すことはできねえから、今は地道に目についた末端を潰していくしかねえ。 そんで情報を集めて積み重ねて行くしかな。」
「でも、それってキリがなくない?」
「ああ・・・でもな、情報がある程度集まってからの方針については、アタシはちょっと考えていることはあるんだぜ。 だが・・・今はまだ話す段階ではないな。」
「なによ、もったいぶるわね。」
「まずは、この界隈で活動しているブルグマンシアをなんとかしてからだろ?」
「それはそうだね。」
「カメリア、なるべく連中は捕縛したい。 あまり殺すなよ。」
「失礼ね。 今回だって、私は最初の一撃以外は戦闘力を奪うだけにしていたのよ?」
「そんじゃ、これからもそんな感じで頼むよ。 捕縛したヤツの中に口が軽いのがいてくれるように祈ろうぜ。」
「あんたのそのお気楽さは見習いたいわね。」
「よし、じゃあとりあえず今日の所はこれで解散だな。」
「そうだね。 じゃあクー、今日はもう休みましょうか。 エルザ、2階の部屋はどれも同じみたいだったけど、どこを使ってもいいの?」
「あー、そうだな。 どれも一緒だけど、お前は1号室を使ってくれ。」
「分かったわ。 行こう、クー。」
「はい。 それでは皆さん。 私の話を聞いてくださってありがとうございました。 お休みなさい。」
「おう、クーお休み。」
「ちょっと、クーにだけなの?」
「カメリア・・・いちいち突っ掛ってくるなよな。 大体お前こそアタシ等に挨拶してないじゃないかよ・・・」
「そうだっけ? じゃあ、お休み。」
「おう。」
私とクーは、眠るために2階に上がったが、エルザたちはまだお酒でも飲む気らしい。 全く酒飲みって人種は、よくも飽きもせず毎日飲めるものだ。




