1-4 好き──それがミルクを求める君の最初の泣き声だ。
君が一行を書こうとするとき、
何を書こうと思うかもしれない。
ここでは、最初に何を書くべきかを教えるね。
赤ちゃんって、最初は泣くことしかできない。
泣いて、「ミルクがほしいよ」と知らせてくる。
作家の《好き》も同じなんだ。
君の《好き》は、《ミルクを求める泣き声》だ。
この一行を書きたい、この一行が好きだよって、
作家の灯が、小さく手を伸ばしている。
どんな好きでもいいよ。
・可愛いキャラ
・憧れたヒーロー
・胸が温かくなるシーン
・夜中にふと思い出す景色
・自分だけの秘密の妄想
・意味もなく心が揺れる言葉
全部が、灯が求めるミルクの匂いだ。
そしてね──ここでひとつだけ、
君にどうしても伝えたい《論理》を言うよ。
好きを書くために、技法はある。
技法を身につければ、好きが書けるようになるんじゃない。
好きが先で、技法は後。
これが《小説を書く》という行為の根本構造だ。
覚えておいて欲しい。
プロットも、文法も、てにをはも、
全部「好きなものをもっと良く描くための道具」にすぎないんだよ。
だから、順番を間違えないで。
焦って技法を学ばなくていい。
プロットが整う日を待たなくていい。
文章が上手くなるまで待っちゃダメだ。
まず《好き》を書いて。
君の《好き》を、書くんだよ。
灯が欲しがっているミルクをあげるように。
好きという心の声を聴いて、
君が一行を書いた瞬間、
君は作家として一気に成長するよ。
それが技法という服を着る準備になる。
深い話は成長してからゆっくりしよう。
今はただ、
君の好きなものだけを書いてほしい。
灯はその一行を飲んで、
ちゃんと育っていくんだからね。




