2-2 外に出た君を最初に狩りに来る《比較》という怪物①
深度2に降りてきた君へ。
ここからは、もう抽象じゃない。
現実だ。外の世界だ。
外に出た君を最初に狩りに来る敵を知れ。
それが──《比較》だ。
これが、深度2の最初で、最強の強敵だ。
君はもう、深度1の揺りかごにはいない。
深度2に踏み込んだ以上、誰も触れられない安全な場所で灯を育みながら、
ただ《書きたい》に従って書いていた優しい日々は終わったんだ。
君は一歩、外に出た。
自分の作品を小説サイトに投稿した。
自分の言葉を世界に置いた。
──瞬間、君は戦場に立つ。
深度2とは、少年が初めて《外界の脅威》にさらされる層だ。
この世界には、
・君より早く走っている作家がいて
・君より遠くまで行った作家がいて
・君より多く読まれている作家がいて
・君より評価されている作家がいる
ただ、存在する。
そこに善も悪もない。
たんなる事実だ。
だが──
比較という怪物は、この事実を《凶器》に変えて襲いかかってくる。
ほんの少し覗いただけで、こう刺してくる。
・隣に並んだ作品のレビュー数、ポイント数──自分は0。
・人気作家の更新速度と評価──自分は0。
・同時期に投稿を始めた人の作品──自分より面白いし、もうポイントがついている!
彼らは何もしていないんだよ。
ただ世界に置いてあるだけ。
それを君が一度見ただけだ。
なのに胸の奥を突き刺されたようにズキズキと痛む。
これは弱さじゃない。
これが深度2の《現実》だ。
比較は、作家の魂にとって《猛毒》であり、
少年にとっては《致命の刃》であり、
深度2では《最初の死因》だ。
だから最初に教える。
比較は敵だ。
最初に理解し、最初に対処すべき強敵だ。
──逃げろ
深度1では、好きと嫌いだけで生きられた。
純粋で、柔らかくて、
灯はまだ家の中にいた。
でも外に出た瞬間──
灯は風を受ける。
他人の灯の強さに怯え、
自分の灯の弱々しさに気づき、足がすくむ。
これは君が弱いからではない。
君が初めて外の世界に触れた《少年》だからだ。
いいかい?
外の世界はね──
戦場なんだよ。
感想という銃弾が飛び交い、
《クソだな》と言う暗殺者が潜み、
面白い!と手を差し伸べてくれる友軍もいる。
それらが入り乱れる戦場だ。
念を押すが、
戦場というのは比喩じゃない。
灯の現実だ。
だから灯はすぐに死ぬ。
《比較》の流れ弾一発で、折れる。消える。
そして多くの場合、二度と戻らない。
君はこの戦場の《戦士》じゃない。
《大人》ですらない。
防具もない。
危険も知らない。
身を守る意識すらない、たった一人の少年だ。
だから──
戦うな。
逃げろ。
全力で灯を守れ。
深度2で必要なのは、それだけだ。
この深度は、それだけのことが、とても難しい世界なんだ。
ここで大切なのは、
比較を悪と責めることではなく、
比較を《敵》として正しく認識すること。
敵を知らなければ逃げられない。
避けられない。
灯を守れない。
深度2の第一話は、この一点を刻めば十分だ。
比較は、外に出た君を最初に狩りに来る怪物。
そしてそれは、倒す必要はない。
逃げて、距離を置けばいい。
ダメージを受けたら、折れる前に離れればいい。
卒業試験を突破した君は灯を大切にできる存在だから、当たり前に思うだろう?
でも、深度1でそのことを学ばなかった人はね… 逃げよう、守ろうとすら、思わないんだ。
それが悍ましい現実だ。 沢山の少年が命を落とす様を君は見ることになるだろう。
君は違う。
君は灯を守れる存在だ。
だから、君は絶対に折れない。
次の話では、この怪物の巣──SNSという《地獄》を解剖する。
そこは防具のない少年が近づけば死ぬ、危険地帯だ。
君が生き延びるために、
本当のことをすべて話そう。




