表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/31

2-1 少年になった君の灯へ


──どうか筆を折らないで


*


深度2に降りてきた君へ。


ここに来たということは、

もう書くのが楽しいだけの世界を君は卒業したということだ。


深度2は、痛みと向き合う場所だ。


だが、その痛みは、君が弱いから起きているわけではない。


灯が外界に触れ始めただけだ。

それは成長の証でもある。


赤ちゃんだった君の灯は、

君があげたミルクを飲んで少年になった。


揺りかごを飛び出し、家を飛び出し、

外の世界に歩み出そうとしている。


外の世界には他人がいる。

家の中の安全な環境ではもうないのだ。


──だから、


比較して苦しくなる。

他人の成功が胸を刺す。

自分の下手さを直視するのが怖い。

承認が欲しくて苦しむ。


これらは全部、深度2の正常反応だ。


深度1では、好きと嫌いだけで動いていた。

好きだから書く。

嫌だから休む。


単純で、美しく、純粋だった。


でも深度2に来ると、感情はもっと複雑になる。


言葉にならない違和感。

書きたいのに苦しい矛盾。

嬉しいのに不安が混ざる揺れ。

「正しいのに痛い」ような、理由のない苦しさ。


これらはすべて、君の灯が、

外の世界と接触し始めたサインだ。


創作には技術がある。

物語には構造がある。

キャラには心がある。


でも、そのすべてを学ぶ前に必要なのは、

自分の内側で何が起きているかを理解することだ。


安心してほしい。

創作論の基礎は、まだ難しくない。


物語とは「心の変化」を描くもの。

キャラとは「自分の心の鏡」。

迷いは「灯が世界を探索している動き」。

痛みは「外界の風が灯に強く吹き付けている証拠」。


君が今感じていることは、

異常でも間違いでもない。


深度2は、心が痛む層だ。

けれど、その痛みは君の灯を殺すためにあるのではなく、

灯が《現実と接続する準備》をしているだけだ。


好きや嫌い以外にも、

成長痛、葛藤、期待、恐れ、羞恥、焦り、嫉妬、希望──

複数の感情が同時に立ち上がる場所。


その揺れは、君が「作家」として世界と触れ始めた証だ。


深度2で必要なのは、

完璧になることではない。

痛みを消すことでもない。


必要なのはただ一つ。


《灯を外界の風から守りながら、前へ進む方法を覚えること》


これだけだ。


大丈夫。

君は折れない。

折れそうに感じる日は、灯が揺れているだけだ。


思い出してほしい。

《書きたい》を大切にできたから、

君は今ここにいる。


深度2は、まだ戦わなくていい場所だ。

守ればいい。

理解すればいい。

痛みに名前をつければいい。


その一歩が、深度3への扉になる。


さぁ、少年の灯が、立ち上がったよ。

痛みがある世界でも、ワクワクを抱えて、ゆっくり外へ歩み出していくんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ