1-11 《原初の輝き》が消えてしまった日の扱い方
──《原初の輝き》は、必ず静かになる
それは「終わり」ではなく、「始まり」だ。
創作を始めると、こんな時期がある。
・何を書いても楽しい
・頭の中がずっと物語でいっぱい
・止まらない
・夜でも書きたい
・自分は天才なんじゃないかと思う
これを、創作者界隈で、
《原初の輝き》
と呼ぶ。
だが、声を大きくして伝えておきたい。
《原初の輝き》は、必ず消える。
絶対に、だ。
才能とは関係ない。
性格とも違う。
努力でも防げない。
炎の「自然現象」なんだ。
もう深度1の最深部だから難しいことを書くね。
《原初の輝き》の正体は、
脳が「新しい生き方を見つけた」と興奮して、
ドーパミンを過剰噴射する生理現象なんだよ。
作家の灯とは別のロジックで動いている現象だ。
■《原初の輝き》とは、君の灯が生まれた瞬間の炎
《原初の輝き》は、灯が産声を上げたときの炎。
生まれた瞬間の命は強く燃える。
光と熱が一気に広がる。
その熱が君に
・楽しい
・止まらない
・書きたい
・もっと書ける
・できる気がする
という《多幸感》として届く。
これは正常だ。
■だが──初期の炎は「長く持たない」
誰の灯でも、どんな天才でも、
誕生日の炎は長く燃え続けない。
理由は一つ。
《原初の輝き》は誕生の熱であり、持続の熱ではないからだ。
赤ちゃんが最初に大きく泣くのと同じ。
あれは《生命力》の叫び。
でも赤ちゃんはそのあと必ず静かになるよね。
灯もまったく同じ。産声を上げ続けることはないんだ。
燃え上がった炎は、静かになる。
そして──
その《静けさ》こそが、本当の創作の始まりなんだ。
《原初の輝き》が終わったあとに残るあの胸の静寂はね、
熱狂の死ではなくて、新しい灯の《静かな声》を聴けるようになった
ってことさ。
■《原初の輝き》が消えたときに初心者が勘違いすること
《原初の輝き》が消えた瞬間、初心者はほぼ全員こう思う。
・飽きた?
・自分には才能がなかった?
・もう無理?
・嫌いになった?
・終わった?
・前の興奮に戻れない…
違う!
違うんだよ。
すべて誤解だ。
《原初の輝き》消えるのは《自然現象》。
問題は、そこでこう誤解してしまうことだ。
「昔の燃え上がる感じが戻らない…ダメだったんだ」
「昔のあの感覚を取りもどさないと!」
違う、そうじゃない。
《原初の輝き》は戻らない。
戻る必要もない。
あれは《誕生日の炎》。
その炎の役目は終わったんだ。
■《原初の輝き》が消えたあと、君の灯が「本当の形」になる
炎が落ち着くと、灯は生まれたばかりの本来の姿──
柔らかく、弱く、壊れやすい赤ちゃんの灯になる。
そこからが深度1の領域だ。
ここまでで書いた深度1作家向けの創作論が必要なのは、ここからだ。
《原初の輝き》の間は、誰だって書ける。
ここで筆を折る人は誰もいない!
《原初の輝き》が終わった人の灯をどう守り、育てるか。
それがすべてだ。
■《原初の輝き》の消失は終わりではなく《誕生の完了》だ。
これが真実。
灯が安定し、本当の意味で生まれた瞬間なんだ。
赤ちゃんの産声が止まって、初めて《育児》が始まるように
灯の最初の炎が静かになって、初めて《創作》が始まる。
原初の輝きが終わったから、君はダメな作家になるんじゃない。
終わったから、君は本当のスタートラインに立ったんだ。
■深度1の読者へ
最初の熱狂が消えることを恐れなくていい。
炎は静かになるが──灯は消えない。
静かになった灯は、育てることができる。
守ることもできる。
そして、深度1のメソッドは
すべて、《原初の輝きが終わった後の作家》のためにある。
好きの泣き声
嫌の泣き声
続かない日の扱い
怖い日の扱い
比較の決闘から避難する方法
下手でいいという基礎思想
秘密の部屋という非公開の力
これらは全部、原初の輝きでは必要がない。
それが消えた《あとの世界》で初めて必要になる。
理由はわかるね。
灯を守り、育てるためだ。
『君の灯(=書きたい)を守り、育てることだけを考えろ』
これが深度1の最深部だ。
深度1は《灯を守る旅》だった。
次の深度2は、《灯を育てる旅》だ。
そこにはもう、最初の涙と、最初の誇りが待っている。




