1-7 比較は殴り合い──赤ちゃんを戦場に出すな、絶対に
比較って、言葉としては軽いけれど、
実際はもっと残酷なんだ。
あれはね──
決闘だよ。どちらが強いかを決める戦いだ。
始めたばかりの作家にとって、比較するということは、
赤ちゃんを、大人の戦場に放り込むのと同じなんだよ。
君の灯は生まれたばかりの赤ちゃんだ。
まだ柔らかくて、あたたかくて、
誰かの手で守ってもらわなきゃいけない存在だ。
比較ってね、その赤ちゃんに、
人気作家、上手い文章家、バズっている人、
そんな《大人の戦士》たちと殴り合いをさせることなんだ。
勝てるわけ、ないよね?
これは、勝敗以前の問題なんだ。
赤ちゃんが強い、弱いなんて関係ない。
君が才能がある、才能がないなんて問題じゃない。
ただ、相手が《戦士の世界にいる》というだけなんだ。
比較の痛みって、「もっと上手く書けるようになりたい」って純粋な願いじゃない。
戦場に無理やり引きずり込まれ、殴られた痛みなんだよ。
だから傷つく。
だからしんどい。
だから灯が揺らぐ。
そして、赤ちゃんは大人に殴られたら、助からないこともあるんだよ。
殴り合いに負けたからじゃない。
殴り合いが《成立していない》からだ。
でもね、安心して。
君の灯は殴り合うために生まれたんじゃない。
大きく育つために生まれたんだ。
赤ちゃんは、
戦場に出ていく必要なんてない。
殴り合う必要なんてない。
殴り合ってはならない、絶対に。
比べる必要は、これっぽっちもないんだ。
いまやるべきことはただひとつだよ。
灯を守ること。君の中のかけがえのない灯を守り抜くことだ。
比較で傷つくのは、才能がないからじゃない。
未熟だからでもない。
ただ、君が《まだ赤ちゃんを抱きかかえている段階》だからだ。
今の君は、外の世界に出る準備なんてしなくていい。
赤ちゃんは殴り合いに行かない。
赤ちゃんは眠り、育ち、
やがて立ち上がり、
歩き始める。
その日が来てから、初めて外の世界を見ればいい。
比較は、
君が成長してからで十分だ。
今は──
ただ灯を守ってあげて。
君にはもう、《秘密の部屋》がある。
そのことも、覚えておいてね。




