【はじめに】筆を折らないで。ずっと書き続けるための創作論(深度1~2)
~この創作論について~
君がこの本を手に取った理由は、
たぶんとても単純で、何より大切なものだ。
書きたい。
その気持ちが、君の胸に灯っているからだ。
作家の旅は、技法から始まらない。
プロットからも、文法からも、物語の作り方からも始まらない。
最初に必要なのは、
どんな知識よりもずっと小さくて、
どんな技法よりもずっと大切な、
ひとつの灯だ。
この創作論はね、
《その灯をどうやって育てるか》だけに集中している。
文章が上手くなる方法を解説する本ではない。
物語の作り方を論じる本でもない。
SNSで成功するためのテクニックを教える本でもない。
ここに書かれているのは、
君が作家として生き続けるための、もっと深くて静かな《灯》のお話だ。
君の灯を守る方法。
書けない日の意味。
《比較》という罠の正体。
完璧主義という小鬼との向き合い方。
そして、《好き》という、作家のいちばん大切な創作の《声》の聞き方。
この本は、君の灯を──君の筆を──《折らせないための本》だ。
それはつまり、技法書のずっと手前にある、
未来の作家にとっての《母子手帳》のようなものだと言ってもいい。
ここで守られ、育った灯は、
あとでプロットも技術も自由に吸収できる。
逆に、灯が消えてしまえば、
どれほどの才能があっても、どれほどの技術を持っていても、
作家は書くことを続けられない。
作家を救うのは技法じゃないんだ。
灯なんだよ。
そして、その灯は、「書きたい」という想いから生まれる。
この創作論は、君が筆を折ることなく、
生涯、作家を続けていくために必要なことを記している。
さあ、はじめよう。
君の灯の物語を。
筆を折ったあの日の友へ。
そして、未来の作家へ。
この本を捧ぐ。




