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冒険者登録

 恥ずかしさのためにしゃべりにくくなったラトムと愛している彼に夜のおかずにしていると告白されて嬉しさと恥ずかしさで顔を赤面させているヴェルサルユスは無言であった。

 とは言え悪い雰囲気かと言われればそんな事はなく、むしろ砂糖菓子より甘いと第三者がこの場にいれば言いそうな程甘い雰囲気であった。

 しかし、その甘い雰囲気も冒険者ギルトに入ると立ち消える事となる。




「ついたみたいだけど、どうやって仕事をするの?」


 ヴェルサルユスの疑問にラトムは普段と同じ様子で答える。

「まず冒険者登録じゃなかったかな。ランクがあって、一番下のランクから上がっていくシステムだったはず。最上級ランクとなれば、一度の依頼で大金を稼ぐのも、夢じゃないってサモンが言ってた……」


「サモンって誰よ。まあさっさと登録を済ませましょう」

 ちなみにサモンとはラトムと仲の良かった冒険者上がりの兵士だったのだが、サモンの存在はヴェルサルユスの記憶にはなかった。


 ラトムとヴェルサルユスは冒険者ギルドの受付カウンターに向かう。


 白いの髪をした受付嬢が営業スマイルで座っている。中々顔が整っている美人さんだったが、一番特徴的なのはおっぱいの大きさだった。ギルドの制服であろうブレザーを、はち切れんばかりのおっぱいが押し広げており、ラトムは鼻の下を伸ばしている。

 そして、それに気づいたヴェルサルユスの顔が一気に不機嫌となった。

 思わず小さな声で

「あんな脂肪の塊のどこが良いのよ?デカかったら邪魔なだけでしょうに……」

 と呟いている。幸い、彼女の声はとても小さかったため、誰にも連合最強の竜娘の負け惜しみは聞こえていなかった。

 もっともヴェルサルユスの胸も人並み以上の大きさはあるのであるが……


「どうぞ、お座りください」

 受付嬢に勧められてラトムは座るがヴェルサルユスは何故か立ったままであった。


「ヴェル、どうした?」

 席に座わろうとしないヴェルサルユスにラトムは首を後ろに向けながら理由を尋ねる。


「私は冒険者登録する必要ないでしょう。私はあくまでもあなたの騎竜なのだから」

 ヴェルサルユスの答えにラトムは成程と頷きかけて

「ちょっと待って」

 と声を上げる。

「俺、まだ竜騎士候補だからヴェルも騎竜候補じゃないかな?」


「馬鹿ね、ラトム」

 ヴェルサルユスは自信満々に続ける。

「この私が騎竜になるのだからラトムが望めば竜騎士になるなんて当然じゃない。違う?」


「その通りですね。俺が悪うございました」

 確かにヴェルサルユスは圧倒的強者であるため、彼女が騎竜になる時点で竜騎士になれるのはほぼ確定していると言って良いのかもしれない。


「そろそろ宜しいでしょうか?」

 受付令嬢に声を掛けられ、ラトムは正面を向く。

「すみません」

 ラトムが頭を下げると受付嬢は営業スマイルを浮かべる。

「いえ。ではまずこの書類に記入を……」


「了解です」

 ラトムは身分証を渡して書類を受け取り、記入を始める。文字は幼い時に学んでいるため読み書きに特に不自由はしていない。

 書類と言っても登録書と誓約書、後は規約等だったため、書く所はそこまで多くなかった。


「ラトムさんは竜騎士候補生なんですね。何故冒険者に……」



「レーベルにある竜騎士学院に向かうまでの旅費を稼ぎながら行こうと思いまして」


 ラトムの言葉に受付嬢は頷く。


「成程。可愛い騎竜さんも一緒みたいですし、戦力としても十分ですね。短期間バイトみたいな物でも期待していますね」


 受付嬢に言われて

「お任せください」

 と元気に答えていた。ラトムの視線はおっぱいに釘付けであり、ヴェルサルユスの不機嫌さはさらに増していたのであるが、とにかく冒険者登録は無事に終えたのである。




☆☆☆☆☆☆



 ロエヌ駐留軍司令部に先程ラトムとヴェルサルユスの対応した衛兵の上官が司令官に訪れヴェルサルユスが来た事を報告した。


「そうか。ヴェルサルユス様が騎竜になられるためリュベルを離れられたと言う話は本当だったようだな。今はどこにおられる?」


「冒険者ギルトに行かれるとの事でした」


「冒険者ギルト?」

 司令官が首を傾げたので、対応した衛兵の上官は捕捉する。

「なんでも竜騎士候補のラトムがレーベルに向かうまでの旅費を稼ぎながら行くためとの事でした。」

 

「成程な。しかし、飛んで行けばもう少し長くリュベルの防衛に当たってもらっていた物だが……まあ、こちらとしては都合が良いがな」

 司令官はテーブルに置かれた1枚の報告書に目を向ける。

「ヴェルサルユス様が本物でその竜騎士候補が旅費を稼ぐのであればこの件を押し付ける事も出来るかもしれぬ。私はすぐに冒険者ギルトに向かう。ご苦労であった、下がって良い」


「はっ」

 部下が敬礼して立ち去ると、司令官はため息をつく。


「あの女の言う通りに進んでいるではないか。」

 司令官は再び1枚の報告書に目を向ける。

「だが私はやるしかないのだ。チーレム神よ、どうかか弱い私に慈悲を……」







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