学校の思い出
開演の合図のチャイムが鳴ると、先生という名の役者が登場する。
完全なる一人芝居。
独壇場とは、つまらない先生の為にあることばではないか。
ほとんどの生徒は退屈な劇が見ていられず、眠ってしまう。
修行僧の如き顔をして、言葉の洪水で滝修業をする青年が一人。
胎児のようなポーズで、机に顔を伏せる者もあり。
帰りの電車は、四角いゆりかごみたいだ。
ぽっかり空いた席に座って、赤子のように束の間の睡眠を貪る。
嗚呼、もう着いてしまったよ。
夢の中を歩くように家に帰る。
道は分かるのに、迷子の気持ちで家にたどり着く。