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約束

俺が振り向くとその拡声器で大声を発していたのは白い大型バイクに乗った人型のロボット警官、アンドロイドポリスだと分かった。

アンドロイドポリスは俺たちのそばまで来ると言った。


「フタリノリ、ゲンコウハン、タイホスル」


俺はその言葉に驚き言った。


「えっ? いつから反重力自転車の2人乗りが違反になったんだよ、それは普通の自転車のことだろ!」


「ナンダト、キサマ、ハムカウキカ、デハ、ココデ、ハイジョスル」


「は? 何言ってんだよ、正気か? 」


アンドロイドポリスは俺に向かって銃を構えた。

その瞬間、清盛が俺の前に飛び出しアンドロイドポリスに言った。


「お主は、わしが相手してしんぜよう」


とはいえ、もちろんアンドロイドポリスに清盛の声は聞こえず姿も見えてはいなかった。

清盛はアンドロイドポリスの目の前まで歩いて行くと鉄扇でアンドロイドポリスの銃を叩き落とした。


「ナ、ナンダ、ドウナッテル……ジュウガ、カッテニ……キンキュウジタイハッセイ……シキュウ、オウエンヲ……」


だが、アンドロイドポリスが応援要請をしようと下を向いた瞬間、清盛が鉄扇を勢いよくアンドロイドポリスの首元に打ち付けた。


ガンッ……ドゴォーン!!!!!!!!


その鉄扇の凄まじい衝撃でアンドロイドポリスの下半身は一瞬で地中に埋まったのだった。

さらに突然清盛の横をすり抜け弁慶が巨大な薙刀なぎなたをアンドロイドポリスの頭に打ち下ろした。


ガゴォーン!!!!!!!!


……ポロッ……コロコロコロコロ……


その弁慶の強烈な一撃で、無惨にもアンドロイドポリスの頭は吹っ飛び、道を転がっていったのだった……。




アンドロイドポリスの頭がコロコロと道を転がっていった次の瞬間、璃乃の叫び声が辺りに響いた。


「ちょっと、2人とも何してんのよー!!!!!!!!」


俺は無惨なアンドロイドポリスを見たまま数秒間呆然とした後、清盛と弁慶の方を向いて言った。


「えっ? 清盛と弁慶って物理攻撃が出来るんだな! しかも、ものすごい破壊力……す、すごいじゃん!!!!」


すると璃乃がすかさず言った。


「ちょっと瑠鬼! 感心してる場合じゃないでしょ! やりすぎよ、やりすぎ! これはどう見てもやりすぎよ…… どうするのよこれ」


「えっ、これって、俺たちの罪になるのかな?」


「当たり前でしょ! 清盛や弁慶は、私たちの持ち物みたいなもんなんだから!」


そう言って、ぷりぷり怒っている璃乃を見て清盛が言った。


「ちと、やりすぎたかの、璃乃姫、許せ……あとは任せたぞ、瑠鬼」


「では、我も帰るのするかの」


「おい、清盛、弁慶、帰んなよ……この後始末どうすんだよ」


清盛と弁慶がいなくなると俺は怒っている璃乃に恐る恐る聞いた。


「璃乃……誰も見てないしこのまま学校行っちゃおうか?」


「えっ? うーん……そ、そうね、それがいいかもね。だいたい、正当防衛なんだし、そうしましょう」


その時、突然あらぬ方向から声がした。


「えっ、璃乃ちゃん、私見てたけど……」


その声にハッとした俺と璃乃は声のする方を向いた。

すると別の道からやって来たのか、普通の自転車のハンドルを持ったまま立っている女子高生がいた。


「あっ、清華さやかちゃん……」


璃乃が清華さやかちゃんと言ったこの女子高生は俺も知っていた。


足利清華……晴明高校3年、俺たちのクラスの隣のクラスの子だ。ちなみに足利氏の末裔まつえいで璃乃の親戚だ。

前に聞いた璃乃の話によると俺たち同様、清華さやかは、霊とコミニュケーションがとれるらしかった。


清華は璃乃に言った。


「今、霊たちがアンドロイドポリスを襲ったわよね……」


俺は慌てて璃乃が答える前に清華に言った。


「あっ、清華さん、あのね、これは、その……」


「黙ってるわよ……」


「えっ?」


「だから、このことを黙ってるって言ってるの! あなた璃乃ちゃんの彼氏の瑠鬼君でしょ?」


「えっ、ああ、そうだけど……」


「てことは、私もそうだけど、璃乃ちゃんと一緒に、この春からエスカレーター式に晴明大学へ進学するのよね? だったら尚更言えないわ……このことが学校にバレたら2人とも進学どころか退学になるかもしれないし」


「退学? そうだよな……そうだよ、璃乃……退学はマズイよ! じゃあ、このまま……」


その時、俺たちの後ろから声がした。


「あら、逃げるのかしら?」


俺たちが振り向くと2人の女性がこちらへ歩いて来ていた。

その2人の女性は俺たちの前まで来ると、その中の見るからにお嬢様っぽい女性が俺たちに言った。


「私は学校にこの事を報告するかもよ、っていうか、まず警察だけどね……どのみち、もう少ししたらここに警官が来るんじゃないの?」


「えっ、誰だよ……ていうか、いつからそこに?」


「ああ、私は藤原さや夏。あなたが春に進学する晴明大学の1年よ……それであなたが平瑠鬼君ね」


「どうして俺の名前を……」


「さあ、どうしてかしら……」


その時、さや夏の後ろにいた女性が、小声でさや夏に言った。


「ねぇ、さや夏さや夏!」


「何よ、瀬里花、今いいところなんだけど!」


さや夏は、その瀬里花と呼んだ女性と急にひそひそ話を始めた。


1分程経ってもひそひそ話が終わる気配がない2人を見てイライラした俺は2人に話しかけた。


「ちょっと、何2人でゴニョニョ話し合ってるんスか?」


「えっ、ああ、ごめんなさい、お待たせしたわね。それで一つ提案なんだけど、この事を黙っててあげる……っていうか私警察庁にはちょっとしたコネがあるから、このこと自体揉み消してあげるわよ。でもその代わりに条件があるの」


「どういうことですか!!!!」


「いえ、簡単な事だから、そんな怖い顔しないでよ瑠鬼君」


「そうですね、藤原先輩……分かりました、それで条件というのは何ですか?」


「ええ、条件というのは晴明大学へ進学した際には私たちのサークルであるタイムトラベル研究会に璃乃さんと一緒に入って欲しいのよ」


「えっ、条件て、それだけですか?」


「ええ、それだけよ」


「璃乃、どうする?」


「いいんじゃない? それでみんなウィンウィンなら……」


「だよな……じゃあ、藤原先輩、分かりました、俺たち進学したら、タイムトラベル研究会に入ることにします」


「そう、良かった。瑠鬼君、この約束は絶対よ……ああ、あと足利清華さん」


「えっ、なんで私の名前……」


「あなたにもタイムトラベル研究会に入ってもらうわよ」


「な、なぜですか? 私何も……」


「それはもちろん、璃乃さんの親戚でもあるし、それに何より、私があなたのガーディアン・スピリッツに謎謎の義満がいることを知ってるからよ……この意味は分かるわよね」


「えっ、でも、よっちゃんはまだ人は殺してないわ……」


「よっちゃん? ああ、足利義満の霊体のことね。まあ、そうだといいんだけどね。で、どうするの? タイムトラベル研究会には入ってくれるの?」


「分かりました……璃乃ちゃんが入るなら私も入ります」


「そう、分かった。あなたもこの約束は絶対守ってね。よし、これで全て上手くいったわ。みんな遅刻しそうなんでしょう? 私今気分が良いから、みんなを学校まで送っていくわ」


さや夏はそばにあるATMを指さし続けて言った。


「じゃあ、あれに乗り込んでくれる?」


「あれに乗り込んでってあれはATMですけど……」


「は? あれはATMに見えるけどATMじゃなくて……まあ、何でもいいじゃないの! とにかくこれは反重力装置が付いている乗り物なのよ、さあ、乗って乗って!」


「えっ、は、はい、分かりました」


俺たちは自転車2台をATMの裏側についている物置に入れたあと全員でATMに乗り込んだがちょっと狭かったので俺はさや夏に言った。


「さすがにこの広さに5人は狭いんじゃないんですか?」


「えっ、瑠鬼君って細かいのね! ならそこにいる彼女を抱き締めてなさいよ! そうすればいくらか広くなるでしょ」


(えっ……えー!!!! 藤原先輩って実は良い人?)


「そ、そうですね……それしかないですね……じゃあ、璃乃、こっちこいよ、さあ」


「ちょっと瑠鬼、さあって言って両手広げなくていいから!! 藤原先輩、お気づかいなく、5人でも十分広いですから」


「あら、悪かったわね。じゃあ、私が瑠鬼君の胸に飛び込んじゃおうかしら、オーホッホッホッホッホ」


それを聞いた璃乃の表情が一瞬くもったのを俺は見逃さなかった


とにかく、こうして反重力装置が付いたATMはその場から、ゆっくりと浮かび上がり、ナビゲーションシステムに晴明高校の位置を入力し、ボタンを押すと次の瞬間、ATMは、ものすごい勢いで晴明高校目指し飛んで行ったのであった……。


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