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意気投合

俺のガーディアン・スピリッツのひとり、平清盛は俺の背後から前方に降り立つと璃乃の前に行き璃乃を、まじまじと見ると言った。


「ときに瑠鬼……この源氏の女子おなごは何者ぞ?」


「えっ、ああ……俺の彼女だけど」


「なんじゃと! わしは源氏の女子おなごとのつきあいは許さぬぞ!」


すると、璃乃のガーディアン・スピリッツのひとり、武蔵坊弁慶も璃乃の背後から前方に降り立ち清盛の目の前に行き言った。


「それは、こちらとて同じこと! われも璃乃姫様が平氏の者とつきあうことは認めぬ!」


睨み合う清盛と弁慶を見て俺は言った。


「ちょ、ちょっと待てよ……なんで璃乃と付き合うのに清盛や弁慶の許可がいるんだよ」


璃乃もすぐに俺に加勢して言った。


「そうよ、いくら先祖同士の遺恨いこんがあるからって、それはもう1000年以上前の事じゃないの!」


「知らぬ、とにかくすぐに別れるのじゃ!」


「いやだ! 璃乃とは別れない!」


「いやよ! 瑠鬼とは別れないわ!」


すると何か思うところがあったのか、突然弁慶がにこやかな表情になり言った。


「おお、まるで2人は遠き昔、憎き頼朝から逃亡する義経様と静御前様のようじゃ!」


すると清盛も落ち着きを取り戻したのか静かに言った。


「わしも平氏を滅ぼした頼朝が憎い……」


「ん? そういえば清盛殿は、我があるじ、義経様の敵ながら、かたきは同じ頼朝でしたな?」


「そうじゃ、弁慶殿……わしは義経殿の敵といえど、源頼朝こそが平氏を滅亡に追いやった張本人……その後、弟の義経殿にまで手にかけるとは……あやつは我らの共通のかたきなのじゃ! しからば、これからは共に手を取り頼朝を討ち果たそうぞ!!!!」


「おお、それはよい!!!! それならば是非とも、こちらの璃乃姫様をそちらの清盛殿の子孫、瑠鬼殿の嫁にもろうてくだされ!」


「おお、それは願ったり叶ったりじゃ! 瑠鬼! 良かったな! すぐに祝言しゅうげんじゃ!」


「おい清盛! すぐに祝言しゅうげんじゃ、じゃねーよ……何弁慶と2人で長々と勝手に盛り上がっちゃってんだよ! 俺はまだ高校生だし、璃乃とは付き合い始めたばかりなんだよ!」


「なんじゃ、また弱虫瑠鬼か……そういうことらしいぞ、弁慶殿」


「清盛殿、ではこの話はなかったことに……」


「ちょっと待てよ、誰も嫌だって言ってないだろ! 結婚は璃乃以外考えられないけど…… えっと、その、つまり俺が言いたいのは……」


すると突然、璃乃が話に割って入ってきて言った。


「ねぇ、瑠鬼、いいから、その人たちはほっときなさいよ、それより、早くしないと学校に遅刻するわよ!」


「あっ、ほんとだ! 璃乃行くぞ、早く後ろに乗って」


「ええ」


俺は急いで反重力自転車に乗り、後ろを向いて璃乃が乗るのを確認すると、自分の右手で璃乃の右手を取り自分のお腹の方へ持ってきて言った。


「璃乃、飛ばすから俺にしっかり掴まっとくんだぞ」


「ええ、分かった……私、瑠鬼のそういうとこ好きよ」


俺は璃乃のその言葉にドキッとしてさらに上半身を後ろに深くねじると璃乃の右手を持ったまま自分の顔を徐々に璃乃の顔に近づけていった。


「璃乃……」


だが、璃乃は自分の空いてる左手でサッと俺の口を抑えると言った。


「ちょっと、こんなとこで何しようとしてんのよ! いいから早く発進しなさいよ!」


「んぐっ……分かってるよ……じゃあ行くぞ!」


俺は自分の左手で璃乃の左手を掴んで口から離すとねたように、そう言って反重力自転車を発進させようとした瞬間、突然、後方から拡声器を使ったような大声が聞こえてきたのであった……。

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