第1話 殺人鬼+タイムリープ
僕は東京の某大学の学生で名前を地神新一という。
1人暮らしをしている20歳
大学の入試を首席で合格していて
IQは180オーバーである。(あのアインシュタインに並ぶ)
“チェスの世界ランキングでは1位”をキープしていて、今もなお無敗記録を更新中である。
そして僕は大学のボクシング部に所属していて成績はなんと無敗である。
将来有望選手としてマスメディアにも引っ張りだこだ。マスメディアでは大学生の現時点でも僕を世界最強のボクサーだと謳っている。プロ入りしたら間違いなく世界のスーパースターになり得るとも言われている。
僕の家族構成はこうだ。
父: 地神雨流 外務省大阪の広報担当(46)
母: 地神希望 大阪府警察本部 警部(44)
自分: 地神新一 大学2年生(ボクシング部)(20)
弟:地神宙 両親の許可を得て絶賛家出中(18)
核家族暮らしだ。
父方と母方の双方のおじいちゃんとおばあちゃんには一度も会ったことがない。
そして
僕には普通の人とは違う特技があるそれは
反射神経が異常に発達していることだ。
いや、正直に言おう。厳密にはこれは異能力であると自覚している。
僕の異能力の内容はこうだ。
自分が危機に瀕した時、目の前の世界がスローになり自分だけが少しだけ速く動ける(人知を超えた速度ではない)という異能力である
これのおかげで僕はボクシング無敗という成績を叩き出してる。
世界最強の男という表現はあながち間違いではない。僕は拳銃の弾丸をも避けられる自信がある。ボクシングではこの能力に感づかれないようわざと何発かパンチをもらっているに過ぎない。
2024/6/13 20時30分
ボクシングの練習を終えてストレッチをしている時、僕のスマホに非通知の連絡が入った。
僕はそれに出た。吉田さんという大阪府警の刑事からだった。
今日の“2024/6/13 19時15分”に母親:地神希望が死んだことを電話越しに伝えられた。
そしてそれと同時に父親:地神雨流が行方不明であることも伝えられた。
詳しい話は地元にある大阪警察本部に来てもらい面と向かって話をするとのことだった。
僕は言葉に表せないほどショックだった。
すぐさまボクシングジムを後にし、重い足を着実に一歩ずつ踏みしめながら
東京駅へと向かい大阪駅行きの新幹線に乗り地元へ戻った。
〜3時間後〜
大阪駅の改札を出るとすぐに大阪府警察本部の警官達に迎え入れられた。
そしてパトカーで大阪警察本部まで送ってもらった。
そして取調室でこの事件担当の吉田刑事と話をした。
別に取り調べをされたわけではなく、母の死の状況を淡々と伝えられた。
家族である僕には母の死の状況について知る権利があるらしい。
聞いた話によると
母親の死には不可解なことが多かった。
吉田刑事から伝えられた主な内容の要約は以下の通りだ。
・母は「田んぼ」で全裸の状態で死んでいたこと。
・心臓から肺にかけて大きな穴が空いていたこと。
・母の血痕が「田んぼ」と「親の寝室」の両方にあったこと。
・父が行方不明であること。
・検死によると母の死亡時刻は“2024/6/13 19時15分”であること
そして吉田刑事は実家でしばらく事件の調査を行うため、実家付近の団地住宅の一部屋を借り宿として僕に提供してくれた。あと、軽自動車のM-BOXを貸してくれた。
吉田刑事から鍵を受け取ったとき、“誰かに睨まれているという感覚がした”。
〜母が死んでから5日後の夜中〜
夜11時半ごろに僕はお腹が空いたのでコンビニでカップ麺でも買おうかと思い刑事から借りているM-BOXを取りに共用駐車場へと向かった。
そしたら、僕が借りている軽自動車の前に「顔が歪な形をした成人男性らしき“筋肉質な人”」が立っていた。
僕は「歪な顔?そんなことはない」と思い、目を細めて再度見てみる。体は成人男性で顔は蓮の葉が開いたような形状に液体金属素材の触手のようなものが何本か伸びていて先端が鋭い鎌の形をしている。そして蓮の葉の中心部分にはカタツムリの目のように2つの触手の先端に目が1つずつある(合計2つの目がある)この世のものとは思えない“化物”の姿に思わず大声で叫びそうになったが開いた口を無理やり両手で押さえ、声を殺した。
思考停止しそうな脳を無理やり回転させて共有駐車場の近くの白いワゴン車の影に身を潜めるという案に行き着いた。僕は必死に身を隠した。
そして、化物の様子を観察した。
化物はポケットから“写真を取り出し、その写真を眺めていた”。
次の瞬間、化物と僕の目があった。そして化物は僕に襲いかかってきた。
化物は遠くから液体金属の触手を鎌の形状の刃物に変えてその触手を伸ばし、僕が隠れ蓑にしていた白いワゴン車を真っ二つした。
僕はすぐさまその場を離れ、必死に逃げる。
触手の化物は僕を追走してくる。
僕は大声を出しながら集合住宅地特有の一本道の道路を走っていく。
近所の住民が騒ぎを聞いて外を眺める。
だが、団地地帯の街灯の本数が少な過ぎて、外を眺めてもそこはただの暗闇だ。
住民は男性の叫び声しか聞こえない。
僕は必死に走った。化物は僕よりも少しだけ速い速度で追走してくる。
このままだと追いつかれる。しかし僕はある策を思い付いた。
「あれ?待てよ?ここは僕の異能力の危機に瀕した時に世界が遅くなり自分だけが速く動ける異能力を利用出来るかも」と考えた。
僕は化物のいる方向を向きバック走をした。バック走はボクシングのメニューの一部だ。慣れている。僕は化物を直視して臨戦体制をとった。僕のこの異能力は差し迫る危機を視界に入れないと発動しない。だからバック走で距離をとりながら逃げるという手法をとった。バック走は普段の走りよりも少し遅いが問題ない。むしろバック走をした方が通常よりも速く走れる方法を僕は思い付いた。
化物は顔を刃物に変えて触手を伸ばしこちらを攻撃してきた。すると目の前の世界が遅くなった。僕は右、左、斜めの刃物の3連撃ひょいひょいと交わした。交わすのは簡単だ。僕は拳銃の弾丸をも避けれる。その後の5連撃も華麗に交わした。そして世界が遅くなるが自分はある程度速くなるこの異能力の性質は「体の全身に付与される」。つまり脚力にも反映される。その性質をうまく利用し、攻撃されたときにバック走の推進力も向上させみるみる距離を離していった。その速度は自転車を全速力で漕いだ速度に値する。
徐々に化物との差が開いていくのが感じ取れた。これを続ければいずれは逃げ切れる。僕はボクサーなので体力にも自信がある。そして次の2連撃をいとも簡単に交わした。
が、次の途端に僕の意識が突然飛んだ。
そして再び意識が戻った。
化物との間隔を見てみると約2秒間意識が飛んでいたようだ。
理由はすぐにわかった。ここはT字路であり、後方には一軒家が立っていた。その家を取り囲む壁にぶつかったのだ。僕はちらちらと後ろを見ながらバック走していた。だが、化物の攻撃の瞬間だけは後ろを見れない、それに追加して異能力によって増した推進力のままその壁にぶつかったのだ。
体が全く動かない。自転車の全速力と同じスピードで壁にぶつかったのだ。当たり前である。
そして、僕は抵抗する術もなく化物に首を切られた。
そして頭が地面に落ち、薄れゆく意識の中、最後に見えた景色は僕の腕時計だった。その時刻は“2024/6/18 23時45分”を刻んでいた。
--------
僕は目覚めた。そこはなぜか警察署内のオフィスだった。
「地神さんこの書類の処理お願いします。」と言われた。
相手の顔は見たことがないが何故か僕のことを知っているみたいだ。
とりあえず、トイレが近い、不可思議な現象がありつつも生理現象には逆らえない、急いで走り男子トイレに入ろうとした。この警察署のトイレは入り口正面に鏡がある建付だった。そして、僕は驚愕した。僕は“母さんの姿”をしていたのだった。
【作者コメント】
どうも、おはこんばんにちは。作者のいっちーです。
「タイムリープ+α」をお楽しみいただけていますでしょうか?
僕としてはこの作品が人生初の作品となるので皆様、温かい目でお見守りいただけると幸いです。
また、この作品をお楽しみいただく際、所々で出てくるダブルクオーテーションマーク「””」はこの物語の伏線となっておりますので、メモを取るなりして覚えておくと作品を読み返さずに楽しむことができます。引く続きよろしくお願いします。