誘拐事件から母上出動!
しばらくの家族団欒ののち
シャルル・アルベールです。
それは突然起こりました。
お母様は深紅の美しい軍服にマントを羽織り美しい軍神の如く神々しく光輝いています。
お母様素敵~~
「なんでそんな隣国の小競り合いに辺境地まで君が行かないといけないだ」
お父様ものすごく青ざめてて顔に縦線いっぱい入っています。
お母様どこに行くんでしょうか?
「だから皇命なんだから」
お母様珍しくいらだっています。
「だってアレクセイだけ行かせたらいいだろ。初陣なんだから」
叔父様にどこにいかせるんでしょうか?
初陣て何?
「いや危ないでしょう」
叔父様危ないとこ行くのですか?
「君だって危ないよ。
僕たちの身にもなってくれ。
君に何かあったら子供達にどう償えばいいんだ」
お母様どこかにいっちゃうんですか?
何はあるって何が起こるんですか?
「殿下は私が死ぬと思っているのですか」
死ぬ??て。
「いいや……いや心配なんだ」
お母様に膝間づいてしっかりお母様の手を握ってます。
「軍属の者の縁者は皆心配しています」
お母様は軍人です。
「君は二児の母だ」
そうですよ。
僕と姉の二人のお母様です。
「他の軍にもいますよ」
他に女の人の軍人がいるんだ。かっこいい!
「そうだろうが。君は……」
言葉に詰まってます。
「私が負けるとおもっているでしょう!」
何に負けるんでしょうか?
「いや」
まずい事を言ったというお父様の顔
「思ってますね」
お母様めっちゃ怖いです。
「アレキサンドリア!
考えなおしていたほうがいい。
軍籍を抜いてくれ!」
行こうとするお母様にお父様がしがみついています。
「だから無理!!皇命だといっているでしょ」
お母様はその手を思いっきり振り払っています。
「だから軍属を辞職したらいいから」
すでに涙目のお父様
「だから無理だって
殿下!私を否定するのですか?
殿下言いましたよね。女将軍のままでいいと」
お赤様は軍人さんでしかも一番偉い将軍様です。
「だってでないと結婚してくれなかったでしょう」
なんかすごいもめています。
何があったんでしょうか?
実はお姉様の誘拐事件でフェレ皇国と外交上もめていまして、フェレが嫌がらせをしているだって。
うちの連合国でフィヨルト侯国とフェレ皇国の連合国スラベレイド公国の間の国境でスラベレイド公国の公軍が越境した情報がフィヨルト侯国からあり、軍の協力要請があったそうです。
お祖父様は皇軍を出兵させるとフェレを刺激する。しかし協力要請を拒否する事は出来ない。
よって出した案が皇太子の初陣と皇太子の私軍である皇太子所有の騎士団の出兵でした。
しかし叔父様は初陣で戦争指揮した経験がなくて騎士団も同様でした。
優秀な指揮官が別に必要になりお母様に白羽の矢が立ったそうです。
お母様優秀な将軍様です。
ところがこれにお父様が大反対しています。
今まさにお祖父様皇命を受けにお母様が宮殿に行こうとしている所なんです。
「だから!お願い!辞職して!」
お父様の手を振りほどいてお母様が行ってしまいました。
お父様が床に崩れて悲痛な顔をしています。
お祖父様の皇命が降りればさすがに辞職は出来ません。
マントをひるがえしてお父様を蹴散らせて、そのまま非情にも馬車に乗って宮殿へ行ってしまいました。
お父様は僕を抱いて泣きまくっています。
「御前もいやだよな。お母様と離れ離れなのは
アレキサンドリア!我が妻」
号泣していますお父様。
この日を境に我が家は大騒動でした。
お父様は毎日広いお部屋の隅っこで暗い表情で三角座りしているか。
お母様に抱きついて大泣きしているか。
お姉様の救出作戦で大活躍した人と同じなんて思えません。
皇命を受けたお母様は出陣の準備に余念がありません。
さすがにお母様はお父様が可哀想になったのか、暇が出来るとお父様の傍にいるし。
僕達ともいっぱい遊んでくれます。
お父様は覚悟を決めたらしく、泣きながらも絶対に帰って来てほしいとギャン泣きしています。
お母様は笑いながら頭を撫でて慰めています。
出発の夜は四人で寝ました。
しばらくは会えません。
お母様それまで僕は頑張ります。
なんせ長男だから。
次の朝皆で朝の食卓を囲んでお母様を見送ります。
お母様は軍人の出動に慣例通り三人分のお母様の髪の毛と肖像画が入ったペンダントを渡して屋敷を馬車で行ってしまいました。
「こんな不吉な物!
あぁ~」
お父様がそれを見てまたガン泣きしています。
超ガン泣きです。
本当にお母様が大好きなんですね。
少し可哀想になりました。
お母様僕がしっかりしておうちを守りますね。
長男だから。
いってらっしゃいお母様。