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詩*日常から*

Lily

作者: a i o

彼女はいつも

百合の花を買う

蕾だったり

咲き綻びかけたものを

いくつか


フローリングに直置きした

ずっしりと重い

四角の透明な花瓶に

それを生け

満開になるのを

今か今かと待つのだ


そばで寛いでいた

老いた飼い猫は

白い毛を花粉だらけにして

黄色い首輪をつけたようになっても

昼日中の温もりに

まだ微睡みつづけている


彼女は

重たい花瓶を持ち上げ

シンクに古い水を捨てては

真新しい水を汲む

硝子越しに揺れる

澄んだ煌めきを

その一本一本が

吸い込めるように


清い緑色の美しい茎と

きゅっと閉じた蕾の

滑らかな膨らみ


部屋中の隅々まで

染み込んだ香りが

存分にその存在を

主張している いま


彼女はもう

ひとりではない


薄いカーテンの生地から

いつしか

夕闇の蒼が

透けて立ちあらわれ

深々とした夜が

訪れようとも


彼女は

さみしさの

一番明るい場所で

百合を咲かせるのだ







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― 新着の感想 ―
[良い点] 「さみしさの  一番明るい場所」 寂しいという一見すると暗さを感じさせる感情に対して 明るいという表現を当ててることで 百合の花がもたらす優しい感情を想起させる その表現が素敵だと思いま…
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