99.偽物?
リーフ・ケミストたちが、顔無しの化け物の調査に向かっている、一方その頃。
王都、冒険者ギルド【天与の原石】にて。
受付嬢のニィナが、不安げな表情を浮かべている。
「リーフさんたち、大丈夫かなー。ね、ヴァイスちゃん?」
「がー」
ニィナのかたには小さなドラゴン、ヴァイスが乗っかっている。
主人の不安に、同調するように鳴く。
「…………」
「あ! エリアルさん!」
天与の原石の玄関先に、Sランク冒険者のエリアルが現れたのだ。
ニィナは慌てて、エリアルの元へ向かう。
「どうしたんですか、エリアルさん?」
「…………」
「あの……」
ぼーっと突っ立っていたエリアルが、ニィナと顔を合わせると、にぃっと笑う。
「何でも無いよ。それより……ギルマスは?」
「ギルマスですか? 今ギルド協会本部に行ってますけど」
「そう……じゃあちょっと待たせてもらうね」
エリアルは一階の奥へと向かおうとする。
「あれ? エリアルさん。どこにくんですか?」
「ギルマスの部屋だけど」
「2階ですけど……」
ああ、とエリアルが頭を搔く。
「そうだった。2階だったね。ありがとう」
そう言って、エリアルは二階へ上がっていく。
「どうしたんだろう……? だってリーフさんと一緒に調査しにいったはずなのに……」
エリアル一人だけが帰ってきたのが、不思議だった。
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