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95.悩む女


 俺たちは村を襲っていた化け物を、ついにたおした。


「まあほとんど主のワンマンであったがな」

「…………」

「エリアル殿?」


 同じSランクの同僚冒険者、エリアルさんが沈んだ表情で居る。

 ど、どうしたんだろ……?


「大丈夫ですか?完全回復薬エリクサー飲みます?」


 エリアルさんは俺から薬を受け取って、空き瓶を返す。

 でもその表情は暗いままだった。


「…………ごめん。ちょっと一人にして」


 ふらふらと俺のそばから離れてしまった。は、はわわ……。


「た、大変だ……タイちゃんどうしよう! 完全回復薬エリクサーが効かない! こんな病気初めてだ! 未知のやばい病気かも知れないよ!」


 しかしタイちゃんは息をついた後、「大丈夫である」と妙に確信めいた言い方をする。

 大丈夫……?


「今は彼奴のいうとおり、そっとしてあげるのがいいのである」

「でも……元気がないの、気になるよ」


 問診して、どんな病気かきかないと。なおしてあげたい。だって俺は、エリアルさんにいつも迷惑かけてるし、世話にしてもらってるし。


 たまには俺がエリアルさんの役に立ちたい!


「問題ないのである。あれは、心の病気であるゆえな」


 心の……病気……。


「トラウマとか?」

「似たようなものである」

「なるほど……!」

「待つのである主よその溌剌とした表情はちょっと待つのである」


 タイちゃんが俺を後ろから羽交い締めにしてくる!

 ええい、離して欲しい!


「トラウマに効く薬ならあるんだ!」

「どんな薬?」

「飲めば嫌な記憶をぜーんぶ粉砕して二度と思い出せなくなる薬!」

「劇薬なのである……! それはやめるのであるよ!」


 そんな……トラウマは忘れた方がいいと思うのに。

 タイちゃんはふるふると首をふる。


「嫌な気持ちは、必要悪なのである」

「必要悪……?」

「たしかに抱えてて体調を崩すのであるが、それは時として前に進む原動力になるのであるよ」


 うーん……わかるような、わからないような。

 あ、でもドクオーナから婚約破棄されたあの辛いときの気持ちは、俺に村を出るって、前に出る選択をうながしてくれたな。


 そういうことか。


「ほっとけっていうならほっとくのである」

「そうだね……タイちゃんありがとう」

「なに、気にするでないのである」

「タイちゃんって生まれたばっかりなのに考え方がおばあちゃんだね!」


 しゅがっ、とタイちゃんの表情が恐くなる。


「吾輩はどうやら、先祖の記憶が少し混じってるようである」

「たしか……タイちゃんって先祖返りなんだっけ?」

「うむ……。どうやら力と共に先祖の記憶が付随されてるようだ。考えが少し老成してるのはその影響だろう」


 妙にしゃべり方がおばあちゃんなのはその影響なんだね。


「さ、我らは我らの仕事をしよう」

「だね。あの顔のない化け物を、操っていたやつらを探さないと」

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