94.汚物は消毒だぁ!
村の調査に来ている俺たち。
化け物の正体が、人を食って成り代わる力を持った何かであることを、村人から聞いた。
俺は村を支配する化け物をぶっ倒すために、薬を開発して、いざ残りの化け物退治だ!
俺が村の奥へ進んでいくと、村人が立ち塞がってきた。
さっき作った薬を、薬師の神杖のなかに充填。
「くらえ……! 消毒だ!」
薬師の神杖を使い、視界に入ってる化け物達に直接消毒薬を投与。
「ぐあああ……!」「ぎあぁあああ!」
「うげあぁあああああああああ!」
ドロドロと溶けていく化け物達。
だが次から次へ化け物達が沸いて出てくる。
「【調剤】!!!」
湧き出てくる偽村人達。
俺は薬を作っては投与しまくる。
投与された村人は、ドロドロに溶けて水たまりとなって、最後には蒸発する。
だが……。
「切りが無いのである!」
「リーフ君! 薬はどれくらいある!?」
タイちゃんが爪で、エリアルさんが剣で、敵が俺に来ないようにけん制する。
魔法カバンの蓋を開ける。
ちらっ、とタイちゃんが中を見て絶望の表所を浮かべた。
「主よ……薬草が少なくなってるのである!」
「そうか……くっ! かなり材料が必要なんだね!」
エリアルさんやタイちゃんが攻撃しても、敵は直ぐに再生する。
首を飛ばしても直ぐに生えてくるし、四肢を切断しても意味が無い。
結局、俺の消毒薬に頼るしかない状況だ。
やがて……。
「いかん! 主……薬草がもう尽きた……!」
「リーフ君! 敵がさらに増援を……!」
村人達は、にぃい……と笑った。
うぞうぞと集まってくる村人達。
それが合体して、巨大な、顔のない化け物になる。
「万策尽きたタイミングで、一気に殺しに来たようだな……」
「くっ! リーフ君……タイちゃん君と一緒ににげ……」
「このときを待ってた……!」
俺は薬師の神杖を振り上げる。
周囲に、蛍火のように緑の光が集まってくる。
「! なんだいこれは……!?」
「緑の精霊……まさか主! 薬草の素材を、採ってこさせていたのか!?」
その通り。
俺が薬を作る一方で、精霊達に周囲の森から、薬草を採ってきてもらっていたのだ。
「知性があるのはわかっていた。形勢不利とおもったら、一気に攻めてくるだろうってねえ!」
緑の精霊達が薬師の神杖の先に集まってきた。
大量に作られた薬を、敵に投与する。
「【調剤】!」
その瞬間、顔のない巨人の体が緑色に輝く。
どがんっ! という音を立てて体のパーツが飛び散る。
バラバラになったそれらは空中で霧となって消えた。
「よし! 消毒完了です! やりました、二人とも!」
唖然呆然とするタイちゃん達。
はぁ……とエリアルさんがため息をつく。
「なんかもう……すべてにおいて……なんか……もう……」
がくり、とエリアルさんがうなだれる。
あ、あれあれ? どうしたんだろう……。
「主のせいで落ち込んでいるんだろう」
「え!? お、俺が弱かったから? 小細工なんて使わないと倒せなかったから……?」
びきっ、とタイちゃんの額に血管が浮く。
「主が凄すぎて、エリアル殿が自信喪失してるのだろうがっ!」
「ふぇえええん……」
え、えええ……そんな……。
「俺なんて、まだまだ全然弱いのにっ!」
「ふぐううう……」
「主よ! 味方にもとどめを刺してどうするっ!」