88.調査依頼
俺、リーフは王都で冒険者をしている。
所属しているギルド、天与の原石に新しいメンバー、魔族のデルカさんが加わった。
数日後。俺はベヒモスのタイちゃんの背に乗って、とある村へ向かっていた。
タイちゃんは元の、猫みたいな魔獣の姿になっている。
【そこそこ】の速さで走るタイちゃんの上に、俺ともう一人が座ってる。
「後どれくらいでしょうかねえ、エリアルさん」
「あばべべべべべべべべべ!」
「あばべ?」
「ももも、もうちょっとすすすすすぴーど落としてほしいんだよぉおおおお!」
俺の後ろに座ってるのは、同じくSランク冒険者のエリアルさんだ。
今回の任務は、エリアルさんとバディを組むことになった。あと移動手段としてタイちゃんが同行。
三人で、ギルマスであるヘンリエッタさんから、調査の依頼を受けたのだ。
あれは昨日のこと……「スピード落としてよぉおおおおおおおお!」あ、忘れてた。
タイちゃんのおなかをポンポンとさすると、彼女が急に立ち止まる。
ぽーん!
「うぎゃぁああああああああああああ!」
弾丸のような速度ですっ飛んでいくエリアルさん。
どがぁああああああああああああああああああああああん!
『なんであるか?』
「エリアルさんが速いってさ」
『そんなに速度出してないのであるが?』
「ねー。って、あれ? エリアルさん? いずこに……」
俺は匂いでエリアルさんの居場所を探る。前方からエリアルさんのにおい!
タイちゃんに命令してそこに行ってもらうと、ボロボロのエリアルさんが!
「襲撃ですか! くそ、一体誰が!?」
「……だ、大丈夫、襲撃じゃないから」
「そうですか。はい、完全回復薬! どうぞ!」
「あ、ああ……ありがとう……」
俺から完全回復薬を受け取るエリアルさん。
「相変わらず超レアアイテムをぽんぽん作って出すね君は……」
「レアアイテム? なんのことです?」
「もういいよ……はぁ」
エリアルさんはポシェットから地図を広げる。
「このスピードならもう1時間もしないうちに、目当ての村に着きそうだ」
さて。
俺たちが何をしにいっているかというと、村の調査だ。
ギルマスのヘンリエッタさんから直々に受けたクエストである。
曰く、最近周辺の村で、神隠しに遭う事件が多発してるそうだ。
ある日突然に人が居なくなる現象のことらしい。
やばい連中が関わってるかもしれない、ということで、Sランクに依頼が来たんだってさ。
しかもだいぶ被害が拡大してることもあって、念には念をってことで、エリアルさんと俺の、Sランクコンビでバディを組むことになった次第。
「これから行くのは【シバタシ】という、王都北東部にある小さな村だ。そこからの連絡が最近取れないらしい」
「シバタシですね。わかりました! タイちゃん、レッツゴー!」
俺はタイちゃんの背中の上に乗る。だがエリアルさんが青い顔をしてふるふると首を振う。
「どうしたんですか?」
「速すぎてちょっと……乗り物に酔ってね……さっき。完全回復薬で直ったけども」
「なるほど! じゃあこれをどうぞ!」
俺は調剤スキルでちゃちゃっと、小さな緑色の飴を作り上げた。
「この飴は?」
「酔い止めの丸薬です! なめてると全状態異常耐性が丸1日つきます!」
「……よ、酔い止め……だよね?」
「はい! 乗り物酔いも状態異常ですよね?」
エリアルさんはなんだか、疲れたような調子で大きくため息をつく。
「……君は、本当にすごいね。Sランクとは、こんな化け物のためにある称号だと常々思うよ……」
「化け物!? どこですか、バトルですか、さぁこい!」
俺が身構えていると、さらにため息をついて、エリアルさんがタイちゃんの背中の上に乗った。むむむ! お疲れの様子!
「そんなときには完全回復薬!」
「…………」
「あ、あれ……? だ、大丈夫ですか?」
マーキュリーさんならいつ何どきでも突っ込んでくれるのに……。
どうやら、エリアルさんちょーお疲れの様子。
俺がなんとかしてあげないと! いつも世話になってるしな!
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