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84.魔王、リーフと同居する



 リーフ・ケミストに命を助けられた、魔王ヴァンデスデルカ。

 人間の姿で、邪神の手がかりを探すため、王都に潜伏した……はずが。


 王都に入る前に、リーフの仕掛けた忌避剤によって消滅しかけた。その後なんだかんだあって、現在ギルド天与てんよの原石にいる。


「わ、わたくしはこの辺で。おほほ、お世話になりましたわあ~」


 ヴァンデスデルカはギルドからそそくさと退散しようとする。

 リーフをはじめとした、やばい連中の中にいたら、命がいくらあってもたりない!


 ……しかし。


「待って!」

「ひぃいいい! 命だけはぁああああああああああ!」


 リーフに呼び止められ、ヴァンデスデルカはその場で土下座する。

 英雄村の連中に引けを取らない超絶化け物を怒らせてしまったのか!? 死ぬ! 死にたくない! と防衛本能が働き、光の速さで平伏してみせたのだ。


 しかしリーフはきょとんとしながら尋ねてくる。


「おかね……もってるんですか?」

「はい……? お金……?」

「はい。だって、無一文でしたよね? 今日の宿とかどうするんですか?」


 あ、と魔王は気づく。そういえば王都での活動資金がない。魔族なので人間の金など持っているわけがないのだ。

 

「いや、大丈夫っす」

「大丈夫なわけないでしょ。そうだ! ギルドに入るのは?」

「ひぃ! む、むむ、ムリッス! 自分なんてザコが、こんな化け物の巣窟に入れるわけがない!」


 リーフの異次元の育成術によって、今や天与てんよの原石には恐ろしい化け物がうじゃうじゃいる状態なのだ。


「でも、お金無いんですよね。住むとこもないんじゃ、ギルドに入ってた方が」

「まじでいいんで! ほんといいんで!」

「でも……」


 リーフは、無一文のヴァンデスデルカに同情していた。

 お金を落としたのかもしれない、と。純粋な善意から来る提案であった。


 しかしヴァンデスデルカからすれば、もう一秒だって早くこの場から去りたいのに、リーフがそれを止める。

 もしや自分の正体に気づいて、殺そうとしているのでは……と。


 そのときだ。


「あー、大丈夫。その子、うちで預かるから」

「マーキュリーさん!」


 彗星の魔女マーキュリーが、ため息交じりに魔王に近づいてくる。

 誰にも聞かれないよう、こっそりと耳打ちする。


「……マーリンばあさまから話は聞いてるわ。うちで面倒見る」


 なるほど、マーリンも単独でやらせるつもりはないらしい。この魔女の女が、協力してくれるよう、手配してくれていたようだ。


「良かったですね!」

「あ、はいっす……ご心配をおかけいたしました」


 ふぅ……とヴァンデスデルカは額の汗を拭う。これで化け物の巣と、そして目の前の規格外の怪物から逃れられる。

 ヴァンデスデルカはマーキュリーとともに、ギルドを出て、彼女の住処である彗星工房へやってきた。


「ここが私の店よ」

「しばらくご厄介になるっす」

「どうぞ!」


 ……………………はい?

 振り向くとそこには、笑顔のリーフがいた。頬がひきつるなか、尋ねる。


「な、なぜ君がここに……?」

「え、だって俺もここに住んでるから。言ってませんでしたっけ?」


 言ってない。聞いてない。マーキュリーとまさか同居してるとは。


(ってあれ? じゃあ、これからずっと、この怪物と一緒に暮らすの?)


 ……どさっ!


 多大なる精神的な負荷によって、ヴァンデスデルカはその場で気絶したのだった。


 


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