83.魔王、化け物集団の中に放り込まれ恐怖する
【★おしらせ】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
……リーフ・ケミストの元を訪れた、魔王ヴァンデスデルカ。
彼は聖女(人間)の姿に偽装し、王都へ潜伏を試みた。
しかしリーフの作った忌避剤(※猫避け。やばい)によって、死にかける。
リーフが危険を探知して、ベヒモスのタイちゃんに乗って現場へと急行。
ヴァンデスデルカは自分の持つ第六感の能力により、リーフの尋常じゃない覇気に当てられて失神した……。
「……ここは?」
ヴァンデスデルカは目を覚ますと、知らない天井を見上げていた。
「あ、起きましたか?」
「ひぅ……! って、お、おまえ……誰?」
そこに居たのは、淡い髪色をした美女だ。
ギルド職員の制服に身を包んでいる。
「初めまして、わたしは冒険者ギルド【天与の原石】の受付嬢、【ニィナ・インヴォーク】です!」
冒険者ギルド……。
何でも屋みたいなものだと聞いたことがある。
どこの国、街にも冒険者のギルドは存在している。
ということは、天与の原石とやらは、王都の冒険者ギルドということか……。
「!?」
ふと、ついくせで、ニィナに対して能力【第六感】を発動させた。
彼は弱いがゆえに、常に生き残る方法を模索している。
知らない人物とで会ったら、とにかくまずは第六感。
安全な人物なのか、危険人物なのか、まずは把握する。
……そして、ニィナは後者だった。
「なんじゃこりゃぁあああああああああああああああああああああああ!?」
ヴァンデスデルカは女子が出しては決していけない声を出す。
(あのリーフほどではないが、十二分すぎるほどの強者のオーラ! しかもなんだ……このまばゆいオーラは!)
第六感は、持ち主に危険を知らせる能力である。
彼はその能力を鍛え続けた結果、危険を色で判断できるようになった。
色が濃ければ濃いほど危険な人物。
また、オーラの色だけでなく、その人の力の性質から、オーラの形を見れるようになっていた。
(ニィナとかいう女のオーラは、赤! しかもかなり濃い……危険だ! しかもなんだこの、天使の羽のような形は!!!)
赤い天使の翼のオーラを持つニィナ。
かなり、やばい。(※ちなみにリーフはどす黒い、無数の骸骨のオーラが見えた。やばい通り越してる)
リーフほどではないにしても、近づきたくない相手。
恐る恐る、ニィナに質問する。
「お、おまえ……何者だ………?」
「? ただのギルドの受付嬢ですけど」
(うそをつけぇえええええええええ! ありえねえだろ!!!!)
きっと受付嬢を自称した、恐ろしい存在に違いない。
逃げる、一択であった。
「助けてくれたことは礼を言う。しかしわしは急いでいるでな。じゃ!」
「あ、待ってください」
ニィナが引き留めるのを無視して、ヴァンデスデルカは部屋の外に出る。
廊下を抜けると、下の階へ続く階段があった。
上の階から、眼下を見下ろせる……。
「なんっじゃこりゃぁああああああああああああああああああああ!?」
ヴァンデスデルカはまた絶叫した。
とても可憐な聖女(※見た目)が出していい声ではなかった。
武器や防具を身につけた男女が、一階にたむろしている。
おそらくは、このギルドに所属する冒険者たちのだろうとヴァンデスデルカは予想する。しかし……。
(どいつもこいつも! なんちゅーオーラの色してやがる! ニィナほどじゃあないが、どれも一級品の輝きを持った、凄まじい戦士じゃないかっっ!!!!)
強さ的には、
リーフ>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>越えられない壁>>>>>>>>>>>>>>>>>>ニィナ>>>>>>そのほか冒険者くらいだ。
しかしそれでも、それでもである。
「こんな強さの冒険者がこの数いるなんて……全員でせめられたら、魔族ほろびるんじゃね……?」
ガクガク震えながら、恐ろしい強さを持った冒険者達を見下ろす。
英雄には及ばないものの、誰もが一級品。
しかもこの数をそろえるなんて……。
「天与の原石……恐ろしいギルドだ……」
「まってくださいよぉう」
ニィナがふうふう、と息を切らしながらこっちに近づいてくる。
「もう。リーフさんから、目が覚めたら教えてって言われてるんですから、勝手に帰ってはいけませんよ」
めっ、とニィナがヴァンデスデルカの鼻先に、ちょんと触れる。
その瞬間……。
ボシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ……!!!
「きゃあ……! ど、どうしたんですかぁ!? 急に消滅してぇ……!!!」
ニィナに触れた瞬間、魔王の体は再び消滅し出す……。
(あ、これ駄目なやつだ……死ぬ……)
再び煙になって消えそうになる。それは、先ほどリーフが魔王に完全回復薬を飲ませたときと、同じ反応であった。
すなわち、神聖属性魔法である。
(この女……神聖属性を帯びてる……だと? ばかな……ただの人間が、ほいほい使えるわけないのだ……)
「ニィナさん!」
「リーフさん! この人が急にボッ……って消えて!」
ちょうどリーフが、様子を見にやってきたのだ。
彼は慌てて、魔族にきく完全回復薬を飲ませる。
すると一瞬で魔王は現世へ舞い戻ってきた。
ぐったりしながら……ヴァンデスデルカは言う。
「なんだ……なんなんだここは!? 魔境か!?」
するとリーフ、およびニィナがきょとんと首をかしげながら言う。
「「ただの、冒険者ギルドですけど?」」
「こんな化け物揃いのギルドがあるかぁああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
【★新作の短編投稿しました!】
タイトルは――
『時空勇者のやりなおし〜1周目の知識と時の魔剣で悲劇を全て回避する〜』
ページ下部にもリンクを用意してありますので、ぜひぜひ読んでみてください!
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