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82.魔王、化け物と出会い昇天する



 リーフ・ケミストの故郷、デッドエンド村の魔女、マーリンから依頼を受けた魔王ヴァンデスデルカ。


「さて、行くとするか」


 ヴァンデスデルカは現在、美しい聖女の見た目をしてる。

 マーリンの作った魔法の体だ。


 あの魔女がどこで聞いてるかわからない+変装のため、ヴァンデスデルカは口調も変えることにした(あくまで人前では)。


「リーフのそばには絶対に近寄らないでおこう」


 彼が魔女から任されたのは、邪神に協力する組織の調査。

 つまり、別にリーフのそばに居る必要はない。


「あの化け物村の出身なんだ。近づいたらろくなことにならんのは明白。絶対に関わらないようにしよう。絶対に近づかないようにしよう」


 ヴァンデスデルカがそういって、王都に近づいた……そのときだった。


「ん? なんかピリッとしてオギャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」


 足下から、ヴァンデスデルカの体が消滅して行くではないか!


「ひぃいい! うひぃいいいいいいいいいいいいいいいいい!」


 ヴァンデスデルカはその場に倒れ込んで、足を見る。

 下から徐々に、足が消えて言っていた。

「なんだこれ!? なんだこれはぁあああああああああああああああああ!?」


 リーフの作った忌避剤(※猫避け)である。

 彼は王都周辺に忌避剤をまいていたのだ。


 魔族であれば、足を踏み入れた瞬間に消滅する、超高度な神聖魔法が付与されている。

 魔王も魔族であるため、この薬が効果てきめん。


 もっとも、他の魔族と違って、魔法防御力の高い魔王は、クモの魔族のときみたいに、一瞬で滅されることはないのだが。


 とはいえ、効果抜群。体が足から消えていく。


「あ……なんかわれ……きもちよくなってきた……」


 ふわー……と意識が浮いてくる。死が近づいていた。


「あ……これ……死ぬ……」

 

 と、そのときだ。


「大丈夫ですかぁあーーーーーーーーーーーーーーーー!」


 空から何かが振ってきた。天使かな?

 違う……なんだか大きな……猫?


 見たことない巨大生物の背には、小柄で、幼い見た目の少年が乗っていた。

 ……否。


「おぇええええええええええええええええええええええええ!」


 可憐な聖女の見た目で、魔王は、吐いた。

 それはもう、盛大に。


「だ、大丈夫ですか!」

「無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理ぃ~~~~~~~~~~~~~~~~!」


 ……さて。

 ここで一つ、説明しておかねばならない。


 魔王の持つ、特別な【能力アビリティ】について。

 人間が女神から力をもらうのと同じように、魔族達は生まれ持った固有の力……【能力アビリティ】を持つ。


 魔王ヴァンデスデルカの能力……それは、【第六感】。


 感覚的に、敵の強さを、理解するという能力だ。

 鑑定眼に近いものである。


 鑑定眼はそのものに秘めた情報を、ランク付け(+詳細情報)を見抜く一方で、第六感は、そのものが【いかに強いか】(自分にとって強いか弱いか。そしてその度合い)を、かなり正確に推し量ることができる。


 魔王の場合、強者に会うと第六感が働き、逃げなきゃと防衛反応を起こす。

 英雄村にいたとき、気分が悪そうにしていたのはそのためだ。


 魔王はこの第六感を持つが故に、英雄たちと戦うなどという、愚かなことをしなくてすみ、結果生き残ることができたのである。


 そんな、魔王の持つ鋭敏な第六感が言ってる。

 目の前にいるのは、少年の皮を被った化け物……いや。


 人間の形をした、殺戮兵器であると。


「死ぬ死ぬぅうううう! 死んじゃうぅうううううううううううう!」


 一方、リーフはこれを、こう解釈していた。


「モンスターにでもやられたんですね!」


 ……と。誰かに攻撃されたから、こうして死にかけてるのだと勘違いしたのである。


「大丈夫! 俺に任せてください! 直ぐに良くなりますよ!」


 お願いだからもう近くに寄らないで……! と泣きそうになる魔王。

 だが恐怖で上手く言葉が出てこない。

 

 その間に、リーフは完全回復薬エリクサーを完成させ、魔王に飲ませる。


 彼の行動は善意から来る物だ。目の前で苦しんでいる【人】がいる。

 足が消えてる。怪我をしてるんだ。だから、回復薬を作って飲ませないと……と。


 ……それが、悪手だとも知らずに。


「あ」


 魔王の口に、完全回復薬エリクサーが入ってきた次の瞬間……。


 ボシュゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ…………………………!!!!


 ……魔王が、煙となって、消えたのである。


「あれ!?」

『わ、我が主よ!? これは一体……!?』

「わ、わかんない……完全回復薬エリクサー飲ませたら、急に消滅した!」


 ……さて。

 ここでまた一つ、説明せねばならない。

 魔族とって天敵といえる属性がある。それは、神聖属性魔法。

 回復薬のなかには、神聖属性魔法が微量に含まれている。


 リーフの作った凄まじい完成度の完全回復薬エリクサーには、それはもう高濃度の神聖属性魔法が含まれているわけで……。


 結果、魔王が消滅したという次第だ。


(さよなら……さよなら……さよなら……)


「あ! もしかして、魔族さんかも!」


 そう言うとリーフは、完全回復薬エリクサーを改良する。

 神聖属性の含まれていない、回復薬を、薬師の神杖で投与した。


 結果、消滅した肉体ごと、魔王が元に戻った。


「……え? あれ……あれぇえ……?」


 なぜ生き返る? どうして? なんで? わからない……。

 ただひとつ……確かなことは……。


「もうこれで、大丈夫ですよ!」

「…………」


 ぶくぶく……と泡を吹きながら、魔王が倒れる。

 一つ確かなことは、目の前のこの男が……もう理解不能の、超絶やばい存在であるということだった。

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